【『澪つくし』感想ネタバレ】第16話 律子、かをるを女中姿で市中引き回しに

【澪つくし】第16話 あらすじネタバレ

 

入兆に引き取られたかをるは、行儀見習いの第一歩として女中見習いをしている。

 

ハマは、千代の世話役をるいに奪われたことが悔しくて仕方がない。
久兵衛にハマは病人の看病に向かないと言われたと千代にグチを言う。
そして本妻の世話を妾・るいにさせるとは、納得行かない。
毒でも盛られたらどうするつもりだと千代に訴える。

千代は、るいに自分の世話役をさせるのは自分に考えがあるから。
今に分かるとハマをなだめた…。

 

かをるは律子に、律子付きの女中になったと挨拶。
すると律子は、
「だったら何でも言うことを聞く?それなら出かけましょう。その格好のままで」
とかをるを女中姿のまま外に連れ出した。

かをるを従えて人力車に乗る律子は
どこに行くのでもなく町中をぐるぐると回る。

かをるは、女中姿で走るのが恥ずかしくて顔から火が出るような思いだった。
銚子高女出身と言えばこの町ではエリート。
銚子高女の袴姿で誇らしげに闊歩していたこの通りを
女中姿で走るとは。屈辱でしかない。

 

海辺についたかをると律子。
ハマに叱られるから帰ろうと言うかをるに、
律子は、高等教育を受けた受けた女性が不当に女中扱いされていることに何の疑問を持たないのか、
反発しないのかと、かをるに問いかける。
「良妻賢母の修業のためです」
かをるがいかにも優等生らしい答えをすると律子は大笑い。

律子は、良妻賢母になるにも、はっきりと自分を表明できないようでは「新しい女」にはなれないと言う。

律子の言う「新しい女」とは、
世の中をしっかりと見つめる女
古いしきたりや因習に縛られない女
権力や男の横暴に振り回されない女。

かをるはもっと強くならないといけない。
ハマや自分にもっと向かって来ないとダメだと、かをるを諭す。

かをるは、そんな事できるわけがないと、ただただ困惑した。

 

入兆では、奉公人たちは今年も花見をしたいと久兵衛に直談判。
今年は大正天皇崩御で服喪中であり、不景気でもある。
本来なら花見は見合わせたいところだが、
しかし、他の大手の醤油屋は花見は決行する予定だと
奉公人たちは花見を強く希望。

入兆だけがやらないとなると
使用人の士気も低下したり、
経営が危ういと噂されるかもしれない。
また使用人が他の醤油屋に流出する可能性もあるとの
梅木の意見を聞いて、
久兵衛は大々的に花見を行うことを決定。

かをると律子は帰宅。
女中姿のかをるを見た久兵衛は、ハマがるいとのことを根に持てのことかと激怒。
かをるが律子付きの女中になることを固く禁じた。

 

 

【澪つくし】第16話 感想

 

本妻・千代は…クロ!

先週、千代はるいの久兵衛への献身に心からの感謝を述べ、かをるを喜んで迎え入れてくれました。
心優しく懐の大きいお方。
るいさんも千代さんの人柄に感激し忠誠を誓うと。
これぞ本妻と妾の理想の姿…。

本妻と妾の友情。
『あさが来た』のリアルあさちゃん、広岡浅子さんも旦那様の妾に寛大だったと言うし、
昔はそういうこともあったのね~と思いつつ、
でも実際は顔で笑って、腹の中では怒りで煮えたぎっているというのが実際のところだったんじゃなかろうか?
そんなのキレイ事なのでは?と疑問でした。
だから、いくらこのドラマが時代ものとは言え、
こんなの男目線のご都合主義よ、
やっぱり男子の脚本、ジェームス三木の脚本だよと思っていましたが…
それだけでは納らなかったね、ジェームス三木!
私が甘かったわ、ジェームス。

 

千代さん、実はドロドロのブラックだった。
自分は手を出さずに、ハマを放置して、ハマの怒りをフツフツと熟成。
かをるを怒りの矛先に。
一方で、るいは懐柔し徐々に欺く計画か。
…やっぱりるいのこと恨んでるんじゃん!

絶対に自分が糸を引いているとは気付かせない。
尻尾を見せない。
自ら手は下さず、確実に人の心を操っていく…!!

怖いわ千代さん…。
さすが入兆本家の奥方様!!!

いやいや…
こんなに丁寧に積み上げてくれてたから
見ているこっちもすっかり騙されてたよ!

すごいぞジェームス!
私の負けだ、ジェームス!

しかも嵌められるのが加賀まりこさんとはっ!
逆を突いたな、ジェームス!
ナイス配役、ジェームス!!

 

かおるは市中引き回しの刑を食らう

かをるさん、律子さんの人力車について町中を走り回ることに。

かをる、人力車によく追いついて行ける!
しかも町中何周もグルグルでしょ?
よくもつなあ!
これリアルでやったらまじでマラソンランナー!
オリンピック狙えるんじゃあ?
金栗四三に弟子入りできるとか思っちゃいました(笑)

女中姿は、単に可愛い―!と思って見てました。
赤い着物で可愛らしいと。
でもこの着物、ひと目見て女中の格好って分かるものなのね。

そして銚子高女の袴姿はエリートの証だと。
女子の袴って、確かに普段は女学生だけが履くものね。
袴を来ている時点で、高等教育を受けている女子であり、
つまりは良家の子女と分かるということでもあったんだ!
「ハイカラさん」
とは、身分の高い女子、しかもインテリ女子という意味合いもだったのね。

なるほど、
当時、服装はファッションである前に身分を示すものだったんだ!
よく理解できました。

その上、かをるの着ていた三本線の袴は名門銚子高女のもの。
つまりかをるは、銚子ではセレブでありファッションリーダー的存在だったのか。
その上、ラブレターたくさんもらっちゃう美人。
銚子の町でも憧れられる有名な存在だったということ。
そのかをるが、最もダサイ女中ファッションでマラソン…
そら辛いわー。

そんな思いで走っているところに親友みずえちゃんにバッタリ。
みずえちゃんは名門銚子高女から、師範学校へ入学したエリート中のエリート。
そのみずえちゃんをぶつけてくるジェームス三木の容赦の無さ。
クセになるわー。

 

「新しい女」とは何かを説く律子。そのカッコよさにゾクゾク!

昨日の回で、久々に登場した律子さんは、
この前とは違って、初めて挨拶したときみたいにかをるに冷たかった。

この思いもよらない律子の態度には、こっちも少なからず動揺。
どーして?
また猫の眼みたいに態度が変わったよぉ。
やっぱり家に入るとなったら妾の娘として差別?
律子はハマと結託??
と不安になりましたが…。

 

そういうことじゃなかったんだ!律子さん!
かをるがいきなり女中姿で現れたから
「つまんないのー!」
って思ったんだ。
銚子文学のことで一緒に盛り上がったあの子が
平然と女中姿を受け入れるなんて!!
って、ひと目見るなり呆れたからなんだ!

そう考えると、初対面の時、かをるがるいと共に挨拶した時のあの態度にも合点が行きます。
「なんで妾とその娘が、本妻の娘の私に平気で頭下げるのよぉ!
あなたたち日蔭者で甘んじてていいの?」
と、昔然としている銚子のシステムにイラッとして、
それに疑問も持たないるいとかをるに
「ハンッ!田舎者―!つまんなーい!」
ってなったってことか。

うん!
面白―――――――いっ!

 

で、律子さんのこの市中引き回しは
銚子高女がエリート校であることを把握した上で、
わざと女中姿のままかをるを市中引き回しの刑に処したのね。
なるほど荒療治。

で、ただ意地悪な仕打ちをするだけではなく、
かをるに意味深な問いかけをする。
「新しい女」とは何かを説く。

かをるを妹として見込んでくれてるのよね。
真の意味でかをるを思ってくれている…涙
カッコイイ!
律子さん、カッコイイ!

でも、ゴメン!律子さん。
かをるにいきなりコレは、沢山詰め込み過ぎだよー(笑)
かをるは、女学校卒業したばかりで銚子から一歩も出たことがない田舎者なのよー。
周りの大人たちは、江戸時代とさして変わらない価値観でしか生きてないし。
律子さんにそんなこと言われても、とても理解が追いつかないと思う…。

かをるにとって、憧れて夢中で読んでる銚子文学の世界は、まだまだ夢物語の他人事で。
そんなこと叶えられるとも、叶えられるとさえ思ってなくて…。
だから、つまんないでしょうけど、見捨てないであげて~。

ナナコロビヤオキも高校生だったか?大学入りたての頃だったか?
まだ親の庇護の元でフワフワポッカーン!と呑気に生きていた頃に、
10歳くらい上の大人達に似たようなことを言われて
「えーそんな難しいこと言われたって…わーん!!」
ってなったのことをよく覚えてるから
かをるの気持ち、よく分かります…。

 

…でも、そう言っている律子さんも、入兆の娘。
モタモタしてると、親の思うままに結婚させられてしまう。
だからと言って、自由に身動きできる立場ではないし。
律子さんの、かをるへの言葉は、
自分に言い聞かせている言葉でもあるんだろうなあ…涙。

かをるは、戸惑いながらも、律子のメッセージを大切に抱いていくのでしょう。
そして、自分で自分の人生を生きる、「新しい女性」に成長するのでしょう。
つまりは、入兆の娘としての嫁入りは拒み、惣吉さんとの人生を選ぶ。
周りの全てを敵にしようとも、愛を貫く女性に。
かをるが、この人生の選択をしたときには、
律子さんは強力な理解者となるのでしょうね。

律子さんと、奉公人の小浜、村田雄浩さんとビビビッ!な仲の様子。
少なくとも小浜さんはひと目惚れみたい。
律子さん自身も、どんな恋愛をするのか、どういう生き方を選んで行くのかも楽しみです。

ちなみに醤油屋の男衆は、塩軍団みたいでいいなあ~。
こういうロール、この時からあったのね。

 

『澪つくし』 第16話
作 ジェームス三木

音楽 池辺晋一郎

【出演】

かをる…沢口靖子

坂東律子…桜田淳子

梅木健作…柴田恭兵

若林ハマ…根岸季衣

弥太郎…明石家さんま

小畑兵造…高品格
神山平六…牟田悌三

坂東千代…岩本多代
瀬田みずえ…香川三千

小浜…村田雄浩
早苗…速川明子

竹田…葛西和雄
赤川…吉村直
三村…秋山武史

猪熊…高野嗣郎
殿岡…重松収

西巻映子
小山由美子
劇団ひまわり
鳳プロ

古川るい…加賀まりこ

坂東久兵衛…津川雅彦