NHK朝ドラ『まんぷく』感想 第83回(第15週) 「後悔してるんですか?」 萬平さん織田島製作所に夢中

『まんぷく』第83( 1月10日)あらすじ

※ネタバレ含みます。

織田島製作所を覗きに行った福子。
そこで活き活きと作業をする萬平を見て複雑な思いを抱いた。

福子は世良に相談。
しかし世良は「趣味を見つけたようなもんや」と楽観的。

鈴は萬平の入れ込みようは趣味で終わるはずが無いと克子に訴えるが、
克子は忠彦と同様に萬平も一処に留まることができない性格だろう、
自由にさせてあげればいい、
忠彦も何か別の絵を描きたいと悩んでいるが、
売れる売れないに関係なく自分の描きたい絵を描いてほしいと伝えたと得意顔。

 

一方で信用組合には梅田銀行から不況のため織田島製作所への融資はできないとの連絡が。
真一は萬平に相談に行くが、萬平は織田島製作所に向かいすでに退社。
秘書までもが織田島製作所に入れ込み過ぎなのではと心配する不穏な状況。

 

織田島製作所に通うことを許したとはいえ不安な福子は、
やはり子どもたちとの時間を持ってもらいたいと、
織田島製作所に萬平を呼びに行く。
するとそこでは萬平だけでなく神部も加わり夢中で仕事をしていた。

福子が子どもたちが待っているから今日は早めに帰って欲しいと伝えるが、
萬平はそっちのけ。
マッド萬平再び!

 

 

『まんぷく』第83回( 1月10日)感想

なんかな…。
テンション下がっちゃった上に、納得行かないことばかりで。

制作側としては、

  • 萬平さん、また開発の楽しさを思い出した。
  • 開発に夢中になると他は全てそっちのけ
  • マッド萬平スイッチオン!
  • マッド萬平に皆対処できぬまま結果信用組合破たん。

と行きたい。
しかし、ゴールありきで強引にもってきている感が満載で
おかげでいろいろ矛盾が出てきちゃって、
なんか変?なんで?って入り込めず共感もしてあげられない状況。

 

まず、福ちゃんの心情にも腑に落ちないところばかり。
だって福ちゃんは発明家である萬平さんが大好きだったんでしょ?
その萬平さんが理事長やって8年でしょ?
理事長職を就任するかどうかで悩んだ先週、
萬平さんは発明家だからって理事長は辞退した方がいいと
最後まで心配してたのは福ちゃんでしょ?

そういう福ちゃんなら
この8年間、萬平さんが理事長職に行き詰まらないか
常に心配しながら見守ってあげてきたんじゃないかと。
ナナコロビヤオキはそう思って見てたので、
何を今さら「理事長職は本当にやりたい仕事じゃなかったのか?」と心配し始める?と。
それより、本来の福ちゃんなら
「とうとう来たか!」
という表現にならないか?

だから先週末は、あんなに不安そうな顔で、それでも忠彦さんに励まされて
どうにか「うん、うん…」って頷いて納得して終わったんじゃないの?と…。

そうだ!それで今、気づきましたが
だから、今週の福ちゃんに違和感&不快感だったんだ!
そんな萬平さんの一番の理解者である福ちゃんならではの不安で終ったのに、
8年たったらそんな葛藤すっかり無かったことになってて
パーマかけておしゃれして「ざあます」な婦人になってたから。

あの牛乳瓶を取りに来た福ちゃん見た瞬間に、
な、な、なんだよ、アレはウソだったか!?
社会的地位と富が得られれば何でもOKだったか福ちゃんって思っちゃったんだ。
…納得。

 

それと世良も。
昨日は世良のシーンに救われたのですが、今日は世良に裏切られた気も。
だって世良の言動がこれまでと全然一致せずなんだん。

世良が、「趣味みたいなもんだ」って言うかなー???
世良は人の心を掴んだり弄んだりしながら、のし上がって来た敏腕経営者でしょ?
そして萬平さんとは長い付き合い。
皮肉屋でもある世良だったら福ちゃんの話を聞いた途端
「来た来た、また始まった―!!!」
って面白ろ可笑しくいじらないかと。

だって世良は、萬平さんがそういった直球で不器用な性格なの知ってたから「楽勝♪」って
塩ピンはねしたんでしょ?(笑)

だから本来の世良なら、
理事長やってる萬平さんのことを「大丈夫かー?」って時折おちょくりながら様子見てやってるんじゃないかと…。

ナナコロビヤオキ、世良の魅力は、野心家でずる賢いけど、その全ては「何かを成し遂げたい」という気持ちに忠実で、そのためには何でもするというポリシーに基づくものだからだと思っていて、だから憎めないしむしろ清々しいと思っているのよ。

なので、そういう人は萬平さんの理事長職に対しては前々から多少の疑問は持っているだろうと。福ちゃんに次ぐ萬平さんの理解者だしね。
「生活のためには理事長職は就いてもアンタそれだけじゃないでしょ」
くらいのカマ掛けは、この8年間常にしてきてるんじゃないかと。
終戦直後に再会した時の「はよう戻ってこい!発明家の萬平君」だっけ?あんなセリフのようにね。

なので世良が、萬平さんの理事長職に疑問を持たず、織田島製作所に通い詰めるのは「趣味」と言い切るのは、なんで世良?こいつも人が変わっちゃったか!?と。
世良もなんだかんだいって、お金さえ入ればなんでもOKな人だったってこと?と。

頼みの世良もキャラ変とは…。
残念過ぎる…。

昨日モンローが既に日本で大人気なのを全く知らなかったのも、新し物好きな世良には違和感でしたがね。
あれもね、萬平さんの浮気疑惑をブチ込みたいばかりのネタで、近い年代の『七年目の浮気』を強引に持って来たってことよね。

何もかもゴリ押し多すぎ。

 

そして当然ながら萬平さんにも違和感。

いくら発明大好きなマッド萬平さんを描きたいにしても、非常識過ぎじゃないと。
萬平さん、もう47歳なんでしょ?
理事長8年やってたんでしょ!?
三つ子の魂とは言え、萬平さんはまるで時間が止まったようで成長が一切ない。

ダネイホン開発のとき、塩組そっちのけで信用失いかけて、
周りの人への配慮が大切だと学んだんじゃなかったの??

 

理事長職の人が、一つの融資先に入れ込むのも、公人としても既におかしい。
福ちゃんのコネで持ち込まれてきた話を、
その場で即決しちゃったこと自体も不正融資と見られるかもしれないのに。

織田島製作所に思い入れるにしても表現が短絡的過ぎるから「ありえないでしょ」になるし、
そんなことしちゃう萬平さんって「非常識過ぎる」になっちゃって、
思考停止…。

萬平さんが、塩やダネイホンにノスタルジーを感じるのは分かるよ。
あのワクワク感を味わいたくて、織田島製作所に思い入れちゃう気持ちも分かるよ。
でもこれじゃあ、ただただ年甲斐もなく現実逃避じゃん!となってしまって、
開発に夢中マッドな萬平というより、
ただの自分勝手萬平だなと。

 

それには、やはり信用組合での8年間を描かないのは失敗だったなあと思います。
8年間なんて、塩やダネイホンよりも長い時間携わってきたんだから、
そこでも頑張って来た、お仕事に取り組んできた様子を描かないと。

これだとある日
「もっと面白いことがあったー!」って
思い出したら途端にやるべきこと放り投げちゃったという描写にしかならず。

信用組合のお仕事もそれなりに頑張ってたけど、なんかビミョーにやりたいことと違うかなあ…って8年間の中で漠然と思い続けてるシーンが欲しかったなあ。

 

それに8年間のうちには織田島製作所みたいなものづくりを手掛けて開発する町工場なんて、いっぱいあったんじゃないの?
ここで初めて織田島製作所と出会って入れ混んじゃってっていう描き方じゃなくて、
いくつかのものづくりの工場のサポートをする萬平さんを描けばよかっただけのことじゃないかなあ?
自分の経験をもとにいろいろサポートして会社を共に育て上げて行く、やりがいも信用も得て行くけど、でももっと自分が主体で開発したいなあ~とついつい思っちゃってる萬平さんがいたり。
そういう萬平さんを福ちゃんが寄り添い見守る姿を描けばよかったのに。

そういう8年間が無く、ただただ8年すっとんで裕福になった福ちゃん達をいきなり見せつけられるから、成金の体裁ばっかり気にするファミリーに成り変わっちゃったな…という不快感になってしまったのよね。

 

それと…織田島製作所の融資失敗が信用組合の破たんのきっかけになる?
そうだとしたらそれも疑問。
だって織田島製作所に対して100万円ポン!は大盤振る舞いではあるけど、
信用組合を潰すには、コレ一件では額が小さすぎるのでは??
まあ、織田島製作所に夢中で不況に転換を見過ごした図を描くのかもだけど…。

 

そして、ドラマ的にも、マイナスのストレスモードばかりの比重が大きすぎて、辛すぎ。
いい時も描かないと、こっちはいい加減疲れてしまいますね。
悲劇や辛いシーンを描くにはそれと同じボリュームの楽しいモード、面白いモードがないと。朝ドラはつくづくバランスが大切なのねえと思い知りました。

そういう意味でも、信用組合での成功話も描かないと、
単に「またかよー」「ついてないなあ」ってなるだけで、
何の思い入れもできない。

萬平さん、魅力あるマッド発明家だと思っていたし、
福ちゃんも、萬平さんに寄り添う素敵な奥さんだと思って見ていたので、
ただただ応援したいんだけど。
萬平さんと福ちゃんと共に、これから起こる困難も一緒に悔しがったり成功を喜んだりしたいのに…。
段々とそれができなさそうな感じが大きくなってきて、残念な気持ちがしています。

 

鈴さんのミカンの話しも、これまでのきめの細かい描き方なら楽しめたんでしょうが
唐突にぶっ込んできて、尺埋めか?としか。
それよりもちゃんと信用組合の話しを描いてほしいよ!