NHK朝ドラ『まんぷく』感想 第55回(第10週)「私は武士の娘の娘!」 立花塩業、クーデターの容疑!

『まんぷく』第55回( 12月 3日)あらすじ

※ネタバレ含みます。

ある朝、立花塩業に突如GHQが踏み込んできた。
立花塩業が武器を隠し持ちクーデターを企てているとの疑いで家宅捜索を行うと言う。

高木たち手榴弾組3人が倉庫に手榴弾があることを告白。
実際に倉庫に手榴弾が大量にあり、動かぬ証拠に。
萬平たち男性は全員逮捕・連行されてしまった。

 

福子と鈴だけが取り残されてしまった。

動揺する福子は香田家に連絡。
克子と忠彦はとにかく立花塩業に向かうことにした。

 

取り調べを受ける萬平、真一、塩軍団。
高木達が魚を獲るために手榴弾を使っていたと話しても全く信じてもらえない。

牢屋の中で事情を聞いた塩軍団は高木たち3人を責めるが、
3人はダネイホン作りに塩作り組みも駆り出され、
残された3人だけで魚を獲るには仕方無かったのだと言い、
高木は逆ギレ。

 

福子は手当たり次第弁護士事務所に問い合わせてみるが、
GHQと聞くといきなり電話を切られてしまう。
GHQを相手にケンカしようと言う弁護士はいない。

途方に暮れる福子。

鈴も、
「武士の娘はこういうときはうろたえてはダメ。落ち着かなければ」
と口だけは言うが、頭は真っ白。
お茶碗を片付ける以外は何もできずパニックで泣き崩れるだけ。

福子は、何の方法も分からないまま、手当たりしだい弁護士事務所に電話を掛けていた。

 

『まんぷく』第55( 12月 3日)感想

 

今週は、月曜から辛いですー。

萬平さん、史実でも脱税の疑いを掛けられたりとか何度か逮捕されているようなので
逮捕のシーンを描くのは免れられないのでしょうが…
バイオレンスシーンとか血の出るシーン全然ダメなナナコロビヤオキは…怖いっ!
苦しい一週間になりそうだわー。

 

手榴弾組の3人、きちんとすぐに自分たちがやったと、手榴弾のありかも報告しました。
とりあえずそれはよかったけど…。
魚獲りに使ってたって誰も信じてくれないー!
もお!怖いよぉ!
信じてよぉ!涙

 

日本人は敗戦国だから、
こうなっちゃったときどこまで人権が守られるのかとか、
非常に綱渡りで危ういですよねえ。

反逆を企ててるなんて疑い掛けられちゃったら、
何を言っても信じてもらえませんよねえ。
魚釣りなんて、いかにもウソ。
ちゃっちいウソにしか聞こえないよ…。
でも信じてよぉ!
事実は小説より奇なりよ…涙。

 

でも、魚が大漁だったことに誰も疑問を持たなかったのが…疑問。
ちょっと突っ込み。

先週森本さんかな?
「なんであんなに一杯獲れるの?」って聞いてはいましたが、
誰も異常とまでは思ってなかったよね。

福ちゃんや鈴さんが全然気付かなかったのも変だし、赤津も。
魚をさばくときに釣りざおの針の跡がないとか、
魚に不審な形跡があったんじゃないかと。
すぐに気付けば、こんなことにならなかったかも…と悔やまれて仕方が無い。

 

真一さんも一緒に連行されてしまいましたが、福ちゃん英語を使ってかばえず。
そうそう、そうよね。
4年も使ってないと反射的に出て来ないですー。

ナナコロビヤオキも帰国子女ではありませんが、
中学高校とミッション系の学校だったので外国人の先生に英語を習っていました。
大学は英文科で全て授業は英語だったし。

帰国子女とインター出身に囲まれ成績はドンジリでしたが、
喋る機会には恵まれてました。
そしてパパさんと結婚してから短期間ですがアメリカにいたこともあります。

当時は若くて怖いもの知らずだったということもあり、
現地の人のホームパーティにガンガン行っちゃったり、
電話で飛行機のチケット取ったり、問い合わせしたりとか
平気でできてたけど…。

子ども生まれてからは、
そのような機会も段々と無くなって…
そして10年以上。
今は、いきなり話せって言われても、もう話せないもん。
読むのと、聞くのはできるけど。

それに後天的に習得したタイプは、
経験したことないジャンルの語彙は持ってないのでね。
ナナコロビヤオキ、子どもが生まれて、
子育てに関する語彙が一切なく辞書なしでは子育ての話ができない自分に驚きました。
堅気の育ちの福ちゃんは、しょっ引かれるに当たって弁明するための語彙なんて
全然豊富じゃないでしょうし。
しかも、こんなシチュエーションでパニックになるのは当然。
そこらへんの描き方、まじで細かいなあ福田さん。

 

鈴さんは、英語を習わせようという先見の明はあったけど、
語学の勉強した経験のないので
そこら辺のビミョーな感覚は理解できず。
「英語喋れたはずでしょーっ!」
って脳天気に福ちゃんを責めちゃうもんね。
その辺の地雷も上手い。

…にしても、鈴さん、こういうときはうっとおしいわ(笑)

でもまあしょうがないよねえ。
こんなことになっちゃったんだから。
一般的な視聴者代表の声だし。

 

塩軍団は次々と取り調べ。
ちゃんと全員映ってたなあ!
あらためて、本当にきちんと一人一人に名前があって、
キャラクター設定できてるなあと。
しかし、
これ14人分ダラダラやるか!?15分に入る!?
と一瞬心配になりましたが、さすが。
テンポ良くわずか1,2分で14人全員やれましたね。

 

真一さんは、張り切って早く来ちゃったせいで…捕まっちゃった!
捕まらせるために早く出勤させたんだろうけど…
もう!って思っちゃったよ(笑)

証券会社に勤めていた真一さん。
財閥解体で恨みを持ったと思われちゃうってことねえ。

 

そして萬平さんも。
萬平さん、日本の憲兵にも逮捕され、GHQにも逮捕され…ホント、大変!

取り調べのときに日本語堪能なビンガム曹長は、
なぜ日本語を習得したかというと、
日本文化に興味を持ったからではなく、
アメリカは随分と前から日本が敵国になるであろうと仮定していて、
そのために日本語を習得したからだと。

ああ…『菊と刀』だっ!
アメリカは日本が将来敵国になるとして日本人の価値観について研究、
意見を求めたのが人類学者のルース・ベネディクト。
そして彼女の日本文化に関する著作が『菊と刀』。
日本の恥の文化について等、細かく解説してあります。

学生のときに読んだときは、
日本人はどういった精神構造をしているのか、
外国人は日本人をどう見ているかについて
この本で興味深く学んだ覚えがありますが…

今日のビンガム曹長の、あの冷たい表情に、
ああ『菊と刀』は、のん気に文化論を語る書ではなく、
敵を知るための本だったんだなあ…と、
初めて『菊と刀』の本来の意味を実感してゾッとしました。

 

 

福田さんの脚本、今に媚びずに、当時のありのままの状況を描写してくれるこの脚本に
ナナコロビヤオキは毎度新鮮な発見をしています。

  • 庶民は誰ひとり当事者意識がないままに戦争が深刻化して行った感じとか
  • 萬平さんは、戦争に行けなかったことにマジで負い目感じてたとか
  • 闇市で世良は「世の中不公平ばっかや」と平気で言うし
  • 鈴さんの「孫は?」もだし…

当時の人間の物の考え、価値観を忠実に再現してくれているおかげで、
当時を実感することができる。

 

萬平さんは、取り調べてこれまでの何をやってたのか聞かれますが、

  • 塩と栄養食品の製造販売 →毒物も製造可能?
  • 判子屋さん →身分査証できる
  • 根菜切断機 →武器?
  • 幻灯機 →スパイ?

ああああー!もう、皆怪しいよーーーーっ!

「君は一体何をやりたいんだ?」
と皮肉られていましたが…
もう見ている側はもうすっかり受け入れちゃっている不思議を
今GHQに突っ込ませる辣さ(笑)

…そして発明家なんて言っちゃったら
もう、もっと疑われちゃうよぉ!

 

  • 福ちゃん、英語で真一さんをかばえなかった。
  • 真一さんは、財閥解体の煽りを受けた証券会社の元社員。
  • 萬平さんは怪しい物ばかり作ってる。

あああ、今日は全てが裏目に出てしまう不思議!妙!

 

そして、源ちゃんは…可哀想に!
迫真迫る名演技でした!
マジで怖がってるよねえ~。
トラウマにならないようにねーとちょっと心配。

もうどうしましょーーーっ!