NHK朝ドラ『まんぷく』第 24回(第 4週)「私がみつけます!」感想 萬平さん、自分の不甲斐なさを叫ぶ!

『まんぷく』第 24回( 10月27日)あらすじ

※ネタバレ含みます。

激しい腹痛を訴え意識を失った萬平。
福子は眠らずに看病し、鈴は神社にお百度参りを続けた。

その甲斐もあり、萬平は一命を取り留めた。
萬平の回復を心から喜ぶ福子と鈴。
しかし、萬平はどこか嬉しそうではない。

 

萬平は回復したとはいえ、体調は万全ではない。
赤紙が来ていた萬平は、入隊前の身体検査を受けたが再び失格。
その日のうちに家に帰されてしまう。
落ち込む萬平。
鈴もついため息を着いてしまう。

 

福子は萬平を元気づけようと、萬平を誘い出す。
福子と萬平は農道を散歩していると権三、八重が農作業をしていた。
子どもたちもやってきて萬平の回復を喜んでいると、そこへ米軍の飛行機が飛来。
福子達に対して威嚇射撃してきた。

凍りつく福子たち。
驚いた鈴も駆け付けてきた。
皆怪我も無く無事だったが、萬平がいきなり叫び声を上げた。

自分は病気になって、こんな身体で情けない! お国に何の役にも立てない! と自分の不甲斐なさを嘆いて萬平は泣き崩れた。

しかし、そこで福子は
「そんなこと言わんといて!」
とキッパリ。
戦争に行かなくてもお国の役に立てることはできるはず。私は何があっても、誰に何を言われようとも萬平さんに生きて欲しいと福子は言った。

鈴も、福子の言う通りだ。身体を壊してしまったんだから仕方がない。
他のことでお国のお役に立つことはありますと。
福子の言うことに同意。萬平を慰める。

そして、他の方法でお国の役に立つことを私が見つけてあげる!と言う福子だった。

 

『まんぷく』第24回( 10月27日)感想

今週のタイトル「私が見つけます!」って、今日の福ちゃんの言葉だったのね~。

 

鈴さん、三途の川の向こう岸に先に回って、萬平さんが渡ろうとするのを追い払ってくれたそうです。
お百度参りの効力ってすごいのね。

こういうエピソード、この時代にはよくありますよね。
なんでだろ?こういうの、当時の雰囲気によく似合う。
今の時代にもあるでしょうけど、唐突に言われると、なんか迷信くさいとか、オカルトってなって違う方向に話が反れてしまいそうだけど、
この時代の空気の中では、ごくごく自然に受けとめられる不思議さがある。

当時は今より自然と近かったし、スピリチュアルなものが身近に感じられていたからかな。
あの時代の人々の持つ感覚に、憧れを覚えます。
…でも憧れる、と言っても、もれなく鈴さんのあの面倒くさい感覚も付いてくるので、やっぱりやりたくないけどさ(笑)。

 

鈴さん、お医者さんが萬平さんに鈴さんのお百度参りのことを話すと、
「昔の人ですから~」
と言ってました。
鈴さん昔の人って自覚があるんだなあ、一応。
「武士の娘」とは言わなかったな。
鈴さんの、とにかく萬平さんの回復を喜ぶ謙虚な思いが見えました。

 

農道を歩いていると、いきなり福ちゃんと萬平さんは米軍機に襲われました。
ナナコロビヤオキ、こういうの、母から聞いたことがあります。
ナナコロビヤオキ母、小学生でしたが、集団登校で農道を歩いてたら
まさにこんな感じで、急に米軍機が飛来して着て…
皆無事だったそうですが、恐怖で凍りついたって。
ナナコロビヤオキ母も田舎育ちですが、あんな田舎でもそんなことがって
話を聞いて驚いたものです。
今日のシーン、母が体験したのはまさにこういう感じだったんだって凍りました。

 

萬平さん、自分の不甲斐なさを思って泣き崩れ、叫びました。
あの時代の人、萬平さん自身もあんなに思っちゃうんだな。
三途の川を渡る渡らないって、生死の境をさまよったばっかりの人でも、
あんなに申し訳なく思っちゃうんだと…。

今なら「戦争に行けなかったラッキー!」で終わる話なのにね。
周囲の人たちも、「よかったねえ~」で終わりなのに。

負けが決まった無益な戦争と分かっていても、生きて帰れないと思っていても、
身近な人が次々と兵隊にとられて、周りに同世代の男性が全くいなくなっちゃったら、
病気とはいえ、自分が残っていることに肩身が狭いと思っちゃうんだなあと。

同時に、兵役検査で不合格=欠陥人間と烙印を押された感もあったってことかと。
まだ障害への理解も無く差別もある時代だったし。

鈴さんも、そんな感覚を持っているからついつい合格してね!なんて言っちゃったり、
今回ダメと聞いて、ついため息ついちゃうんだと。
娘の婿が健常者でないと決定づけられ周囲にそれを晒された状態になっちゃったってこと。
こういう感覚があるから昔の人って面倒くさくて相容れないんだともあらためて実感。

 

 

萬平さんの叫び声、胸に突き刺さったし考えさせられました。
おかげで当時の人の心の動きを感じ取ることができました。
当時戦争に向かった若者たちは、イヤイヤ戦争に向かったワケじゃない、主体性が無かったワケでもなく、「皆も入ってるから、自分も行かないと申し訳ない」って。
こういう真摯な思いからも毅然と向かったんだなあって。
一層、切ないね…涙。

日本人らしい謙虚さ、誠実さだけど…「皆が」って危険。
戦争に走るときは、政治家がどうのよりもこの「皆が」、「申し訳ない」が怖い。
こういう漠然としたマスの心理を見過ごしちゃいけないとつくづく思いました。
敏感にならないと。
おかしいことを「おかしい!」って言えないと。
当時より今はそれができるから、
だからやっぱり昔に返るのはいやだなあ。
でも、ちょっと気を抜いて「皆が」に流されると、すぐに危うい方向に逆戻りだなと。

こういう感覚に敏感にアンテナを張って、こんなこと二度と繰り返しちゃいけないですね。
そういう教訓も思い起こさせてくれるドラマでもあるなあと。感謝です。

 

泣き叫ぶ萬平さん、ハセヒロさんの迫真の演技に胸がキューっと締め付けられました。
ハセヒロさん、本当に素晴らしい演技!
演技でこんなに人の心を動かすことができるんだ、教訓を与えることができるんだと
あらためて感動しました。
俳優さんというお仕事にリスペクト。

昨日は苦しむ萬平さん。
今日は、自分の不甲斐なさに苦悩し絶叫する萬平さん。
福ちゃんに純粋に恋する萬平さんも超絶可愛いし、
どストレートに福ちゃんに告白する姿も素敵。
「おいで」と「なっ!」にも殺された…。
拷問だし(笑)
クルクルと、あらゆる表情のハセヒロさんを見られて本当に面白い。
見逃せないですね。

福ちゃんが萬平さんが出征できなくても優しかったのは、聡明な女性だったから。
本質を大切にする女性だったからなのね。
ただ萬平さんラブラブで兵役逃れてよかった~じゃなく。
「他の方法で役に立つことができるはず!それは私が見つける!」
って。
優しくたおやかだけど、芯が強く懐が大きい女性なのねえ。

そして福ちゃんの母鈴さんも。
福子の言葉に激しく同意。
本当についつい言っちゃうだけでした。
昔の人、ホント面倒くさいなー(笑)。
体面ばっか気にして本心をなかなか言葉にしない。
それによって一番大切な人を傷つけるかもしれないのよぉ!
気をつけてよね!

来週の予告で鈴さんのセリフが聞こえましたが、
終戦後も鈴さん
「発明家なら世の中に立つ物を考えられるんじゃないの?」
って萬平さんにハッパかけてるみたいでしたね。
鈴さん、発明家と言う職業を認めてくれるようにもなるんだ。
福ちゃんだけじゃなくて、鈴さんも萬平さんを応援することになるんだなあと楽しみ。

それと、期待通り闇市で可知谷が再登場!
今度は悪役、ルサンチマンの人ではなく、別の一面も見せてもらえそう。楽しみ。

このドラマ、人々の中にある善と悪の混沌が、キャラがぶれない状態でキチンと表現されていて面白い!
福田さん、登場人物のことを本当に多面的に見ているなあと、手を抜かないお仕事ぶりに感服です。

月曜日が待ち遠しいなあ♪