NHK朝ドラ『まんぷく』第 20回(第 4週)「私がみつけます!」感想 じわじわと迫る空襲の恐怖

『まんぷく』第 20回( 10月23日)あらすじ

※ネタバレ含みます。

昭和19年夏、日本の戦況は悪くなっていた。
このままでは本土攻撃もあり得る、大阪の空襲もあり得ると人々の中に不安が広がっていた。

そんな中、克子は子どもたちを連れて疎開。

福子は自分たちも疎開をした方がいいと提案するが、
鈴は家を守らないとと取り合わない。
そんなことより、いつ子どもができるのだと福子と萬平に催促。

 

昭和19年11月、東京が初めて空襲を受けた。

大規模な空襲ではなかったものの、人々は動揺。
敏子ちゃんも、ハナちゃんも家族で疎開することを決めた。
大阪に人がいなくなっていくことを不安に思う福子。

しかし鈴は咲が夢枕で家を守ってほしい、応援すると言っていたと聞く耳持たず。
一方で、福子にも咲が夢枕に。
福子の夢枕の咲は何があっても鈴と萬平の首根っこをつかんででも疎開しろと言っていた。

疎開をするしないで口論をする福子と鈴。
二人の意見は寄り合わず感情的になるばかり。

 

そんな中、大阪にも天王寺方面で空襲が。
ある日はB29が上空を飛行し威嚇。
さらには、B29が上空からビラを撒き空襲を予告。

恐怖が頂点に達した福が、慌てて帰宅すると、鈴が荷物をまとめていた。

疎開をする覚悟が決まった。
福子達が大阪を離れたのは大阪空襲の3日前だった。

 

 

『まんぷく』第20回( 10月23日)感想

今日はまずは克子さんが疎開。
克子さんの4人のお子ちゃまたち、本当に可愛いから…会えなくなっちゃうのが哀しいわ。

福ちゃんは不安を感じ始めてますが、鈴さん全く危機感なし。
よく非常ベルを聞いても、人はなかなか行動ができないと聞きますが、それと一緒だよね。
鈴さんも萬平さんも。
普段の生活が大切だったり、やるべきことがあるとそうなりがち。

そして鈴さんは当時の典型的な日本人。
絶対に戦争に勝つと信じてるしさぁ!
鈴さんは、ご主人亡くしてるし、家庭に納まる主婦で世の中知らないから、なおさらね。

そして福ちゃんの提案は即却下で、
「子どもはいつできる?」
と来たぁ!!
さすが、「産めよ、増やせよ」の当時の日本人。
もうホント、デリカシーない!

…でもこの感覚、最近まであったよねえ!

ナナコロビヤオキも結婚した頃…あーもう20年程前になりますが(怖!)
結婚した途端、親や親戚、職場の人に至るまで「子どもは?」とか日常的に言われたし!怒
職場でもよ! 妊娠したら産休とか今後のキャリアも、いろいろ難しい話につながるかもなんだよ!無責任に言うなっ!と怒りつつ、押さえて笑顔でスルーするのキツかったなあ…。
…きっと、あれも「産めよ、増やせよ」が染みついた感覚なんだなあ!と。

結婚を個で考えるか家で考えるかでも違うだろうしね。
…だからって「今日?」「明日?」ってもう!
昔の人、大変ですー!
今、セクハラとか言われるようになってきてホントよかったねえ。

…でもまあ、二人が寄り添って眠る姿が萌え~だったから救われました。いいわ。
ハセヒロ「おいで」だってーー!!
キャーキャー♪

 

そして鈴さん、気に入らないからって咲さんの夢を都合よく見るし。
咲さん、夢枕でまたまた座って(笑)。
福子も克子も、自分のことは大事じゃない、苦労して育てたのにって…おいおい!
夢枕の咲さん
「お母さんは立派よ。武士の娘ですもの」
ってもう! 咲さん、鈴さんの願望まんまって爆!

ここまでくると「武士の娘」ってフレーズが笑えて仕方ないですぅ!
これまでドラマで「武士の娘です!」みたいなフレーズが出ると必ずと言っていいほど、
その人の気高さを表現するカッコいい決め台詞だったと思いますが…

この古風かんじがらめ、古風を盾にエゴ丸出し、もういい加減こっちとしてはウザい!鈴さんに、「武士の娘」って言わせる…!(笑)
日本の古風に一石を投じてくれて嬉しい!
これも斬新ですねえ。

その一方で、福ちゃんにも咲さんが夢枕に現れた。
福ちゃんの見た咲さんは、ちゃんと立ってた(笑)。

咲さん、亡くなってもちょいちょい出ますと言ってましたが、
もしかして出るの、鈴さんのエゴの化身としてえ?っと心配してましたが
よかった。真実のお告げとしても出た。

 

古風な鈴さん、昔堅気のめんどくささと、
とにかく空襲への恐怖心が強い福ちゃんとの感情的な対立、
その二人の口論を見て、話しの論点がズレると戸惑う理系萬平さん。
こういう疎開=避難を決断する時の葛藤、リアル。
この三人のデコボコで今後もいろいろあるんだろうなあ~。

福ちゃん、ハナちゃんも大阪を離れ、
近隣での空襲、B29の威嚇、巻かれた宣伝ビラ…
福ちゃんの恐怖心が頂点に達したところで、
鈴さんも腹を決めた。
ギリギリセーフ。よかった。

 

今日の回では空襲前の、人々の中に不安がどんどんと広がって行く感じが非常によく描かれていると感心しました。
ざわざわと心の中に不安と恐怖が広がって行く様子が手に取るように分かったし、歴史的にも非常に参考になるなあと。

戦争のドラマと言うと、東京大空襲、原爆といった大きな出来事はよく見ます。
歴史の知識としても、日本各地で数え切れないほどの空襲があったこととか、サイパンで全滅したとか、アイテムごとに頭に入ってることは入っていますが、
それらが時系列的にどう起こっていたのか、国内外の出来事がどう関連づいて人々に影響を与えたのか、ナナコロビヤオキの中でリンクしていなかったので(恐らく戦争を知らない私たちの殆どはそうじゃないでしょうか。敢えて専門的に知識を得ない限りは)、
今日の回は、それぞれの出来事がどういった順番でどうリンクして起こって行ったのか、緊張感が増していったのか、その様子が分かり“歴史を知る”という意味でも意義深かったと思う。

今日の回を見たおかげで、なるほど、こういったタイミングで、コレが起こり、アレが起こり…人々の中にジワジワと恐怖が沁み渡って行ったんだなあと実感することができました。

そう、この脚本、そういった“マス”の心理がよく描かれてる!

今作品、ふくちゃんをきちんと賢い女子に描いてドタバタギャグに逃げないとか、
保科さんを意地悪なお局にしないとか、
横流しの件は火曜サスペンスだったりとか…
これまでにないパターンで描かれ、それがとても魅力的ですが、
今日のコレも空襲前の“空気感”を描いたということで非常に価値があるのではないかと。
こういった、じわじわと危険が近づき、人々の心がザワザワしてくる感じをきちんと描く。
そしてそれが見る側にきちんと伝わっている。表現成功してる。
これはまさに革命的なのでは!?
このミッションにきちんと向き合って丁寧に描いて下さっているおかげね。

…しかし、それにしても、第二次世界大戦っていうのは、
最初に真珠湾攻撃が成功したときは、皆ワールドカップで勝利したような気分でお祭り騒ぎ、「日本、強い!」って酔いしれたまま、新聞記事で騙し続けられ、
アレ?と思ったら急に空襲だ、サイパンだって不安が広がり…。

小市民だし、
当時は民主主義もまだまだ未熟だっただろうし、
江戸時代がまだ近いら、皆の中に身分制度が染みついてて“お上”に逆らえなかったんだろうけど…
それにしても庶民は、政治を任せきり、殆どの人は大局的に物事を見ることができなかったんだろうなあと。
この戦争は、人々の“無知”による罪も大きかったんだろうと実感します。
皆一人一人が、一生懸命考えなくてはいけませんね。
そのために知性と教養を磨かなければと切に思います。

そういった歴史的観点からもよく描けているし、勉強になるなあと。
子どもたちとも話しながら、あらためてじっくり見たいと思いました。
人の心の危うさについていろいろ考えたいですね。

 

「こんなときだからこそラーメン食べたい!」
福ちゃん、この時の思いもリアルにとどめてインスタントラーメンでもあるんだろうねえ。
恋の味だけじゃなくて。

ラーメン食べるにも思いが深くなりそうです。