【澪つくし】感想・レビュー 第49話 久兵衛の泣き落とし作戦。

『澪つくし』あらすじ 第49話

英一郎は、久兵衛が吉武家に梅木と清次を送り込み、かをると会わないよう釘を刺したことを善吉から聞いて憤慨。

それを聞いた律子は、それはかえってかをると惣吉の本心が試されることになると冷静。
久兵衛はリトマス試験紙を投げ入れたも同然と言う。

由岐がかをるを訪ねに来た。
ツエにも勧められ、かをるはこれまでのことを由岐に相談しようというところに久兵衛が。
久兵衛は話があると、かをるを連れ出した。

久兵衛に連れられてきたのは君ヶ浜。
かつて千代と、かをると三人で御前籠を持って遊びに来たところだ。

久兵衛は千代はもう長くはないとかをるに話した。
入兆の経営も上手く行かず、今年は一つも思惑通りに行かない。
自分の不調を整える薬は子供たちだが、律子は劇薬、英一郎は小児用で効き目が薄い。
一番ちょうどいいかをるは薬箱からいなくなってしまったと…。

そんな父・久兵衛の寂しそうな顔を見て父が可哀想になったかをるは、入兆に戻ることを決意した。

 

久兵衛、泣き落とし作戦

久兵衛さん、なんか説教しに来た?無理矢理連れ戻しに来た?と…ちょっと緊張しましたが…。
泣き落としに入りましたあ!www

かをると海にドライブ。
君ヶ浜に行って。
君ヶ浜は、かをると千代と遊びに行った思い出の地ですね。
久兵衛さんと千代さんシーンの後『恋あら』がかかった。
御膳籠を持って…今で言うピクニックしてました。
料理人を抱えて、その場で魚をお造りにさせて。
あの日がが入兆の豪勢な時代の最後かも…。

世の中、どんどん不景気になっているみたいですね。
当時1927年は金融恐慌が起こりました。
それまで景気が良かったのがいきなり急降下。
この当時もバブルはじけたって感じだったんだろうなあ。
そしてジワジワと庶民の生活が苦しくなって不景気を実感せざるを得なくなってきたのがこの頃。

この2年後の1929年に世界恐慌が起こり、その後1931年満州事変、第二位世界大戦へ…と続きますが…。
これもまだ不幸へのシナリオの序章でしかないんだけど。

入兆の経営も危うい。
家族的な経営をしてきた久兵衛さんにとって従業員の給与をカットをするというのは、プライドも傷つくし屈辱的なこと。
そして従業員は不満爆発で全然聞き入れない。
当時の広敷の従業員って無学だから、こういうとき説明しても全然通じなくて大変だっただろうなとつくづく。

こんな状況下あることをあらためて知らされ、久兵衛さんにとっては、かをるの醤油屋との縁組は藁をもすがる思いでのことだったのだと思い知らされました。
久兵衛生さんただの見栄ではなく生き残りのため。
入兆もそうだし、かをる自身も路頭に迷わせないための策…。

久兵衛さん、ただ必死に入兆と家族を守ってるだけなんだ…。

 

ジェームス、憎いわ…。
惣吉さんの登場で、すっかりヒール状態になっていた久兵衛さんのことも持ち上げてくる…。
体面ばっかりに振り回されてるただのオヤジになり下がってた久兵衛さんのことも、ただの欲にまみれた人じゃないよって。

主人公に困難を与えるのは、ただのわがままでなく、それぞれが逃げられない事情を抱えているからで…。
誰のことも責められないじゃんよお!

また津川雅彦さんの演技がねえ、カッコよくもあり、威厳もあり、哀しさもあり…せつないパパ。
浜辺を歩く姿、ただそれだけで久兵衛父さんのいじらしさが感じられて、すごく印象的でした。

そんなお父さんに、子供たちが自分の痛みを和らげてくれる薬。
でも律子は劇薬、英一郎は小児用の薬だから弱すぎ、かをるが調度いいなんて言われちゃうと…。
そして、そのかをるをせっかく薬箱に入れたのに、薬箱からどこかにいなくなった…なんてせつないこと言われちゃうと…。
これはつい、優しいかをるたんは、コロッと行っちゃうよねえ…。
久兵衛さん、罪だよお!

さすが、久兵衛さん、入兆の社長、商売人でもあるんだなあと思っちゃった…(笑)
狙ってるワケじゃなくても人柄でコレできちゃうんだろうねえ…。

 

泣き落としでもあるけど、久兵衛さん、本音でもそういう優しいところあるんでしょ?
なら、かをるの気持ちも分かろうとしてあげてーと思うけど。
かをるの話も聞いてあげて、惣吉さんを見てみてよと思うけど…。
それは昭和元年だからムリか。

それに第一、かをるに話を聞くって言っても、かをる自身、惣吉のこと細かく知らないもんね爆
まあまあ、とかくこういうタイプのドラマは“一目惚れ”ってことで、そういうこと細々と突っ込むのもナンセンスだということでwww

でも、きっと惣吉さん、一度会ったら久兵衛も気に入ると思う。

醤油屋と漁師と仲良すればコラボ商品できるじゃん?
いわしのつくだ煮とか?
新たなビジネスチャンスに恵まれるのではと思うけど~…。
お互いウィンウィンなハズよ。
でもそれは昭和元年は無しか。

 

律子、水橋の情報をゲット

梅木と清次が惣吉のところに釘を刺しに行ったと聞いて憤慨する英一郎に対して律子さんはエラく冷静。
かをると惣吉にとって、これがかえって自分たちの気持ちがどれだけ本気かを自覚する良いきっかけとなると言っていました。
リトマス試験紙を投入したのだと言って。

“リトマス試験紙”、なんか懐かしーい。
そして昭和元年当時では、インテリしか知らないものだったでしょうね。
いかにも律子さんらしい。
こういう言葉の遣い方が、ジェームス、その時代の空気をすごく分かってらっさるなあと。

その律子さん、合田醤油の争議の記事を新聞で見ていて…そこに水橋が負傷したとう情報をゲット。
水橋、合田醤油の先導をしていたのですね。

律子さん、やっぱり水橋のことは今でも現在進行形。
かをると話したとき、水橋のことまだ好きって言ってたけど、その言葉に自分は今も好きだけどもうムリかな…という寂しさがありました。
かをるを海底火山と言った時も。
でも、水橋の名前、しかも負傷したと聞くと必死な表情で反応してしまう。

律子さん、自分はなんだかんだ言って入兆と両親を捨てられないって思ってたんだろうけど…。
今日の新聞記事を見て、律子さんの中で何かが変わりかけているかもしれない…。

しかし河原畑さん、物書きなんだから、律子さんの様子からすぐにピンと来なさいよぉ(笑)
「知り合いですか?」
なんて呑気に言ってる場合じゃないよ?
やっぱり所詮、銚子の田舎文士ってこと…?

 

かをるは久兵衛に丸め込まれ…

由岐ちゃんも心配してきてくれました。
ツエさんに、もっと親友にいろいろ話して相談しちゃって!とアドバイスされて、やっとかをるが口開こうとすると…ちょうど久兵衛が!
ナイスなタイミングで結婚させる同盟の動きを遮ってくれました…。
もうちょっと遅かったら、由岐ちゃんと恋バナで盛り上がって、由岐ちゃんも同盟に加入してくれたのに…。
そしたらきっとみずえちゃんも。

で、由岐ちゃんと話しそびれたかをるは久兵衛さんの話を聞いて同情し、入兆に戻ることを決意。
ああ~難しいけど、分かる…。
恋愛の相手って、生まれ育ったこれまでの人となりと違うところからポーンって入ってくる人なんだもんね。
その人が好きで、その人は外せないのはもちろんなんだけど。
でも、これまでの人となりの結束が強いから、それを乱すことになると動揺しますよね。
特に親を哀しませると思うと…押さえちゃう。

でも、周りのしがらみを聞き入れてしまうと、自分の一番大切な人を遠ざけてしまうことになって、自分が最もしたい生き方を放棄してしまうことになって…。
恋愛結婚は面倒くさい、お見合いの方がいいという意見はここにあるわけで…。
若くて優しい性格のかをるは、久兵衛の意見を受け入れてしまうことは当然だけど…見失わないで!と言いたい。

入兆に帰っても、英一郎がいるし、律子がいるし、惣吉を諦めないってモチベーションはキープできるかな。
久兵衛さんをサポートするために帰るけど、かをるはその後、どうしたら惣吉とコンタクトを取るのか?
結婚させる同盟発動ですかねえ?
どうにかして惣吉と久兵衛を引き合わせてほしいわー。
今日のツエさんの、最後のガックリ良かった。
ツエさんには結婚させる同盟でぜひ活躍して欲しいです。