【澪つくし】感想・レビュー 第50話 かをる入兆に戻る。入兆では従業員が一致団結

『澪つくし』あらすじ 第50話

入兆では、給料カットの件で久兵衛と従業員が話し合い。
久兵衛は直接従業員の前に立ち、給料カットは自分の甘えだと謝罪・給料カット撤回。
今は日本国中はおろか世界中で不景気であること、醤油は国から値上げ禁止されているため利益が出ない現状を腹を割って話をした。
醤油醸造元の組合で政府に陳情しているからもう少し辛抱して欲しいと。

かをるも清次に連れられて入兆に戻ってきた。
久兵衛は、腰を低くして許しを請う清次に、かをるとは親子なのだから格式張る必要はないと嬉しそう。

かをるが入兆に戻ってきたことを、英一郎は、惣吉との連絡のやり取りに好都合と喜ぶ。
律子はこれで惣吉への気持ちをハッキリ自覚したのではと。
二人ともかをるの恋の応援体制に。
しかし、かをるは入兆が大変な時にこれ以上久兵衛を苦しませたくない。
英一郎と律子の気持ちがかをるには重く感じられた。

惣吉は、母とねにかをると結婚したいと打ち明けた。
とねは、陸者の娘が漁師の妻が務まるはずがないと言うが、惣吉はかをるはそんな娘じゃないと。
惣吉の決意の固い目を見て、とねは命がけでやってみろと惣吉の背中を押した。

 

入兆では、広敷の若い衆が中心となり、今こそ久兵衛の恩に報いるときだと自発的に作業量を増やすと言ってきた。
久兵衛は、やっと従業員と心が通じた、これぞ入兆の伝統だと感慨深げに言った。

 

久兵衛の嬉しい回

本日は、久兵衛さんにとっての嬉しい回。
久兵衛さんにとって見事なハッピーエンド。
…でも、このドラマ始まったばっかだから……怖っ!

かをるも帰ってきました。
ちょっと照れもあるようでまっすぐ「お帰り」とは言わず、親子なんだから、ここはかをるの家なんだから清次伴わなくてもいいんだよって。
お父さんのあるある~。

梅木も本当に嬉しそうでしたー。
かをるさんが帰ってきましたって久兵衛さんに伝えた後チラと見えた横顔が本当に嬉しそうで。
かをる推しがバレバレ。

 

そして、広敷の従業員たちは、久兵衛が腹を割って話してくれたことで一致団結。

給料カットは間違ったやり方だったと素直に謝ることができる久兵衛さんは、やはり人徳のある経営者。
人間的に魅力のある人ですね。
こんな経営者なら、気持ちに応えたい!って思うのよくわかる。
お仕事のモチベーションが上がる、まさに優良企業です。

久兵衛さんへの恩返しと、2割増しの仕事をしよう!って気持ちになるのは分からなくもない。
日本人って、「ご恩と奉公」の美学が1000年近く刷り込まれてるから…。

…でもコレ、まさに日本の会社員が当たり前にサービス残業しちゃうメンタル構造そのもの…。
久兵衛さん、経営者と労働者の心がつながった…と感動しているけれど…。
これは辞退しないといけないこと。
これが当たり前の流れになるとブラック企業なのよ…。

律子は度々子供は所有物じゃないと久兵衛を批判していますが、従業員も所有物じゃない。
久兵衛さん、そこがはき違えているところが盲点…。

コレ、オンエア当時の日本人は、純粋に「入兆、素敵な会社!」ってひたすら感動で見てたのかもしれませんね…。
令和の今では、いやいやこれぞブラックの起源よ…と複雑な思いで見てしまいますが。
この辺りのことまでジェームスは予見して描いたのかなあ?

そして労働者の権利を考えたい律子さんは、この広敷の人間の反応を見てどう思っているのだろう?
それについてはどう描くのかしら?

どちらにしても、あと一年もすれば世界恐慌。
ここでの踏ん張りも全てパアになる。
心が通じたなんて言ってる場合じゃなくなってしまうのよえねえ。
久兵衛さん…入兆はどうなってしまうのだろうか…。

 

律子は、東京に行きたい…!

律子は、政治に興味があると久兵衛に話しました。
東京に行って全国婦人同盟に参加して、女性労働者の地位向上と婦人賛成権のために尽力したいと。

しかし女に政治をやらせたら日本はダメになるとまで言う久兵衛は許さない。
それじゃあ何のために私を大学にやったのかという律子さん。

当時、律子さんと同じ気持ちの女性は山といたと思います。
そしてオンエア当時も。
ななはっちも大学に行かせてもらいましたが、両親は就職することは想定外でしたから。
娘を大学に行かせたのは将来のお見合いのための箔付けぐらいにしか考えていなかったみたいで。
ななはっちの場合は、律子さんとは違ってそんなの無視して、最終的には仕事も結婚も自分で決められましたが。

でも、自分もそういう親の考えにイライラしたし、自分自身も抗っているつもりでどこかそこに支配されていたので、自分のキャリアについての考えについて未だにモヤるところがあります。
だから、律子さんの「じゃあなぜ大学に行かせたんですか!?」というセリフが今の私にもグサグサ刺さります。

全国婦人同盟というのは、この翌年の1928年に初めて行われる普通選挙を前に政党に加入できない女性のために作った組織のようですね。
婦人の参政権といったら、平塚らいてう、市川房江…。
律子さん、そんなカッコいい人達を見ていたんだもの、銚子で黙ってられるワケはなかろう。

律子さんは、水橋が合田醤油の争議の中心メンバーだったと知って自分もこうしちゃおれん!とも思ったのでしょう。
律子さんのこれからの動向にも目が離せない…。

しかし、律子さん、ハマーがせっかく一生懸命フォローしてやってるのに…分からないくせに余計な口出しするなとは…苦笑
気持ち分からなくもないけど…すごい言い方www
でもそこが律子がハマーに甘えてる部分でもあり、まだ幼いところでもあるのよねえ…青臭さがよく出ている。
今日はハマーに同情よ。
かをるにも誤解したこと謝ってたし。
真面目で律儀な人なのよね…ハマー。

律子さんの東京行き、12月なら久兵衛さんも東京に行くからいいよと言ってましたが、1927年12月は何があるのだろうか?

 

惣吉は、ムラムラと闘志が!

惣吉、母・とねさんにかをると結婚したいと告げました。

とねさんは、陸者の娘が漁師の家の妻ができるはずないと言ってました。
漁師の家としてのしきたりも大変、漁師たちとその家庭の面倒も見なくてはならない。
大人数の飯炊きも、買い出しもしなくとだし…と確かにやることいっぱい。

見ている分には、かをるではとても務まらないと思う(笑)
とねさん、3か月で逃げ出すと予言。
私は、3日で逃げるに賭ける(笑)

そう言われると惣吉は「かをるはそんな女じゃねえ!」と目の色変わって真剣に言ってました。
惣吉さん…偉いわ。
信じてくれて嬉しい。
嬉しいけど…惣吉、どこを見て「そんな女じぇねえ!」と?(笑)
そんな女かどうか、君はまだ全然分かってないと思うけど。
少なくとも、雪でコケてた様子見た分にはとても体力派とは思えないが…。

まあ、これは一目惚れ前提だから。
それについてとやかくいうのはナンセンスということでwww

 

イワシの中にサンマが入るようなものだと、とねさんは言います。
かをるさん、イワシやらクジラやらいろいろたとえられてます。
大変。
それに対し、惣吉さんは俺がイワシに変えてやると言いました。
別に変えなくてもいいんじゃないかなあ~今なら炎上ネタだわwww

 

それはいいとして、とねさん、惣吉の意志の固い目を見て惣吉の思いに背中を押しました。
さっぱりしててカッコいいママ!
いいなあ~。
とねさん自身、旦那さんとの結婚、周囲の反対を押し切って結婚した人だから、人の気持ちは変えられないことがよくわかってて良き理解者。
草笛光子さんが演技がまた爽やかでカッコよくて魅力倍増。

そのうち久兵衛さんと対決するとも思いますが、そのときが楽しみです。

かをるはテンション低め

惣吉は、心を決めたら俄然やる気満々。
英一郎も律子も、かをるは惣吉と結婚するしかないってことで張り切っていますが、当のかをるはテンション落ち気味。

優しいかをるは周りに気遣って自分のやりたいことを押さえてしまおうとしているところ。
自分の希望と、周りの状況と…この2つをどう折り合わせて自分の信念を通すこと、これが意外と難しいものです。
特にこれまで大人に逆らうことのなかった素直な子供のかをるにとっては。
大人になるための通る道とも言えますが…。

今日は、

  • 入兆は、経営者と労働者心を一つにして困難を乗り越える美談の予感。
  • 律子は東京に行きたい、婦人同盟に参加したい。
  • かをるはテンション低下気味、それに反して惣吉やる気満々。

と今後に向けての様々な爆弾を投じたという感じの回。

世界恐慌前夜、世の中がどう動くのか、入兆は、かをるたちは大丈夫か…ジワジワ恐怖がせまってくる怖さがあります。