【『澪つくし』】感想 第5週(第25回ー第30回)桜田淳子演じる律子の魅力4つ

【澪つくし】第5週(第25回ー第30回)感想


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桜田淳子さん演じる律子が魅力的過ぎる

今週の澪つくし、ついに桜田淳子さん演じる律子の逢引きがバレてしまいました。

当然ながらこのことが久兵衛の逆鱗に触れ、恋人の水橋は入兆をたたき出され、律子は外出禁止を言い渡されます。

律子は東京への脱出を試みますが見張り番をしていたかをるに見つかってしまい、さらに厳しい監視の下での謹慎生活を強いられてしまいます。

今週は、そんな律子さんのストーリーがクローズアップされていました。

桜田淳子さん演じる律子さん。
初登場のその時から本当に、心底魅力的で、ななはっちは一目見た瞬間に心を奪われてしまいました。
もう、ただの一視聴者なのに一目惚れ!笑笑

あの桜田淳子さんのクールで、スッとした顔立ちでのモガファッションを見た瞬間、ギュイーーン!!って来ちゃって。

さらには、かおるとのシーンでは近代文学の話をしたり、西洋音楽の話をしたり、フロイトが出てくるわ、ピアノをたしなむわ…知性溢れるお人柄。
大正ロマンの香りでいっぱいで、さらにさらにギュイーーーン!!!ってなっちゃうのです。

その上、実は共産主義者だという。
んで、同志である水橋と恋愛している。

美しさ、気高さ、激しさ、切なさ、孤独…律子のキャラクターの中には、様々な感情が研ぎ澄まされた状態でぎゅうぎゅうに詰まってて、おかげでその行動一つを見るたびに心がざわついてしまうのです。
さらに演者、桜田淳子さんの美しさが律子のキャラクターに心底マッチ!
桜田淳子さんの情熱を秘めたクールな美しさが律子の魅力を何倍増しにもしています。

今回、桜田淳子って、すごーーーくキレイだったんだあ!と改めて実感!
当時も好きだったけど、こういう感じに想像力を掻き立てられるような美しさとは!
当時の私は気づいていなかったよお!
自分、子供だったんだなあ!

こういう雰囲気をまとった女優さんって今はあんまり見られないのでは?

そして、ここまでギュイイーーーン!っと来る登場人物というのも、最近のドラマではあまり存在しないのではと思います。
時代が違う、求められるものが違うということなのかもしれないけど…。

ということで、今週は桜田淳子さん演じる律子の人物像について考えたいと思います。

 

律子の魅力1:なんといってもモガファッションが素敵!

律子さんの初登場でのいでたちは、典型的なモガファッション!

モボ・モガとはそえぞれ「モダンボーイ」、「モダンガール」の略。
1920年代に(大正9年ー昭和4年)に現れたに西洋文化の影響を受けた当時最も最先端の若い男女のことをそう呼んでいました。

男性は山高帽にロイド眼鏡、セーラーパンツ、細身のステッキ、まさにチャップリンのスタイル。
女性は、腰を絞めないひざ下丈のスカートに、釣鐘型の帽子。
髪型は断髪(ショートボブ)。

このファッション、当時流行したアールデコの影響を受けています。

ファッション的にもこのアールデコの時代、モボ・モガの時代って以前から憧れではありました。
律子さんの初登場シーンでは、それを実物で見られたーーー!っという感動が!
もうスゴイ似合ってるしさあ。

まさにギュイイーーーーン!でした笑

律子さんが身にまとうモガとは?

モボ・モガについてあらためてウィキペディアで調べてみました。

モボ・モガとはは、日本が第一次世界大戦の戦勝国となり国益を得たこと、国内も好景気に沸いたこと、産業の機械化・合理化により女性の社会進出が促され「職業婦人」が出てきたこと、舶来品に消費活動を刺激されていたことから、欧米の流行や風俗を取り入れるようになり誕生したファッション。

この時期日本では「大正デモクラシー」の時流により、ヨーロッパでも殆どの国がまだ行われていなかった普通選挙が実施。
教育では「大正自由教育運動」が起こり、個人の自由や自我の拡大が叫ばれ、最新のものを取り入れる気風が高まり西洋の先進文化を積極的に取り入れることが尊ばれていました。
その教育を受けた若い男女がこれまでの伝統の枠にとらわれないモダニズム思想を持つようになり、
彼らが好んで身をまとったファッションというのがモボ・モガということらしい。

モボ・モガとは、まさに身も心もニュージェネレーション!のファッションだったってことですねえ。

なんだ!本当は一目見ただけで、保守的な人から見たら律子さんヤバイ!手に負えない!ってなるものだったのね。
銚子の皆さん、田舎者過ぎてモボ・モガの真意が全然分からなかったってことかもね。
久兵衛さんも、自分の娘だからバイアスかかっちゃって気が付かなかったんだ…。

 

律子の魅力2:律子さんの言葉の端々に見える大正ロマン

なんだろうな、前にも書きましたが、幼児期の刷り込みなのか?遺伝子なのか?
なぜだか、ななはっちは大正ロマン、大正デモクラシーの匂いを感じるドラマにはワクワク、いやワクワクを通り越してザワザワ、ギュイーーーーン!と来てしまうことが多いです。

恐らく、その一つの理由は小学生の頃『はいからさんが通る』にハマったこと。
特に紅緒の女学生時代が大好きで。
だからファッションとか、当時のキラキラした東京の様子とかに憧れるのはここからじゃないかなあ~と。
そして大正デモクラシーに沸いた、あの時代の空気感も好きで。

日本史で単なる年表として見ると、この澪つくしの時代は第一次世界大戦と第二次世界大戦の合い間のちょっとした間しかないんだけど、第一次世界大戦後の好景気に沸いたひとときの華やかな時代だったのですね。
西洋から個人の自由や女性の社会進出などにも意識が向くようになってきて、日本自体もこれから広がる未来にワクワクしている、そんな若々しい空気を感じるのですよねー。

大正時代がそんな気風だからか当時の文学では、恋愛は純粋で情熱的でせつなくて…キラキラしたイメージがある。
偉そうにうんちくたれられるほど読んではいませんが、感情に素直で、若くて青いって印象で強く憧れます。

前にも書きましたが、初めてかをると律子が海辺に行き会話をしたシーンで、かをるが文学の話をしました。
竹久夢二の話や、国木田独歩、若山牧水、尾崎紅葉。田山花袋の近代文学の作家が続々。

おかげでこの名前が出てきただけで、あの時代の空気感!とワクワク、ゾクゾク。

そして竹久夢二が長谷川カタと出会ったのはこの海辺でとかをるに聞くと、律子さんは
「こういう風景は情熱的なロマンスが似合うわ」
「今でも恋愛関係が続いているのかしら~」
と楽しそうにかをるに話します。
「情熱的なロマンス」、「恋愛関係」、
当時にしたらこんなこと口にすることも憚れるような大胆すぎる言葉だったと思う。
でも一方でなんてハイカラな響きとも。
それをサラーっと言っちゃって普段から平然とこういう言葉を使って会話をしていると感じる律子さんとは、なんと都会的で新しい女性なのか!
かをるにとってはたまらなく憧れちゃったと思います。

こっちも憧れ過ぎで悶死っす!!!

でも一方で、この律子さんの言葉自体も、まだまだ恋に恋している青臭さも。
またそれが皮肉でたまらなくせつない。
今後辿るであろうと簡単に予測できる彼女の人生を思うと、またことさらにせつない。

さらには、東京の日本青年館で日響の予約演奏会と!
へえー日本青年館、このときからあったんだ!
日響=日本交響楽協会
指揮は山田耕
よく知らないけどすごーくハイカラですよね。
オーケストラ聞いちゃうんだから。
もうハイカラ臭プンプンー!

私の祖母も東京にオペラとか聞きに行っちゃってたと聞いたことありますが、この当時のハイカラはオーケストラ聞くのがテッパンだったのかなあ?

律子さんの魅力3:目指すは「新しい女」

モガ女子、ハイカラ女子の典型の律子さんは「新しい女」を目指しています。

律子さんの目指す「新しい女」とは以下の3つ。

  • 世の中をしっかりと見つめる女
  • 古いしきたりや因習に縛られない女
  • 権力や男の横暴に振り回されない女

 

先ほどモボ・モガについてのところで、大正自由教育運動が起こったと書きました。
個人の自由や自我の拡大が叫ばれたと。
律子さんはこの教育の影響を大きく受けているということですよね。
賢く知的な律子さんは、自由、自我の拡大ということにビビッドに反応したのだと思います。

そして思いのままに勉学を続けて東京へ。
そこで出会ったのが当時の究極の自由、マルクス主義ということだったのでしょうね。

当時のハイカラかつインテリな人々がハマるのは当然っちゃ当然ですね。

律子さん、かをるの夢の話にフロイトの『夢判断』の話を引用していました。
フロイトの夢判断は1900年に発表。
律子さんのこのセリフを聞いてまた時代感を感じでゾクゾク嬉しかったのですが、このフロイトにより、ヨーロッパでも精神分析が発達し、古いしきたりや慣習に人が縛り付けれられるのはおかしい!と、自己の開放を求める考えが広まっていきました。

ななはっちは高校生の頃、授業でフロイトを深堀りして学習したことがあったのですが、この律子さんの言葉で「ああ!この時代か!!」と初めて時代とフロイトが一致!
立体的に感じることができた。

律子さんが「新しい女」に目覚めているのも世界的な空気だったんだなあ!

 

律子さんの魅力4:しきたりや古い因習と対立する姿は、令和の今も同じ

大正時代を体現した存在でもある律子さん。

これまでの伝統にはとらわれない、自由な生き方を求めていきますが、その分これまでの体制とは完全に敵対関係になる。
身近で大きな壁となるのは、当然ながら自分の親。

銚子で、しかも280年もの伝統を誇る醤油屋を営んでいる久兵衛さんには、律子の考えなんてとても受け入れて貰えないでしょうねえ。
今にしたら、律子さんの求める自由は至極全うなことなのに…。
千代さんも、よその娘さんとは違う、難しいことがあるって言ってましたが、いやいやいや、ただ突出して賢いだけよ。
しかし、女が理想を持ったら必ず崩れるって言っちゃうんだから…。

律子さんはただ、自由に生きたいだけなのにね。
久兵衛さんの逆鱗に触れ、部屋に閉じ込められてしまっている律子さんを見ていると、どんなに苦しいだろうかと、令和の我々には考えられない、牢獄のような暮らしだよなあと同情してしまいます。

ただ、律子さんには、ただ同情するだけではなく、現代の我々にも共感できる部分も大きいですね。

律子さん、ただ知的で純粋なだけなのに、父・久兵衛さんには、東京にやったのが失敗だったとか余計なことを知ったせいで面倒なことになったみたいに言われてしまう。
そして千代さんにも理想なんて必ず崩れるものは持っちゃいけないとも言われ。

女だってことだけで、すべてを封じ込まれてしまうこと、今の時代でもあるあるだよなと。

法律はもちろん、社会のシステム的には昭和元年の当時より男女平等はずいぶんと進んでいると思いますが、精神的にはまだまだ。
たちが悪いのは差別されている側にもそういうものだと思い込んでしまって差別を受け入れてしまっているところがる。
千代さんみたいにね。
親世代は未だそうだよ。
だからジェンダー問題は解決に時間がかかるのでしょうけれど…。

なので律子さんが封じ込められている様子を見ると、つい自分もそういうこと言われて育ってたところあったよなあ~と自分を重ねたり、共感しながら、見ています。

そして100年前から女性が抱えている悩みは一進一退。あんまり変わってないなあ~とも。

 

今後、律子はどう生きていくのでしょうか?
どうにか家を抜け出して水橋の元へ行く?
作家の河原畑が気になるような表情をしていましたが、河原畑と何かある?
ちなみにこの河原畑とは誰がモデル?
川端康成?
川端康成は銚子にゆかりがある?

または叔母のぎんさんが律子は婿養子を取って入兆を継ぐのが良いとも。
律子さんが後を継いで商才発揮、今後の不況と戦中戦後の混乱を果敢に乗り越える?

破滅か再生か…どちらに転ぶかわからないけど、どっちに転んでも面白そうな予感しかない。

主軸となるかをると共に、律子さんの存在が魅力的だからこそ、このドラマ、深みを増してワクワク感が止まらないのです。