【おちょやん】感想ネタバレ 第64話 一平、二代目天海天海を襲名。テーマは毒親

『おちょやん』あらすじ(ネタバレ)第64話

 

捨てられたのは母・夕ではなく、天海と一平だった。
天海は、お母ちゃんが大好きだった一平のために悪役を買っていたのだ。

千代たちが夕の元を尋ねていた頃、千之助は座員たちにこの真実を話していた。

このことを知るのはあともう一人。
岡安のお家さん、ハナ。

ハナは珍しく台所に立っていた。
疲れ果てて戻ってくるだろう一平と千代のためにせめて精のつくものを食べさせてあげたいと。

呆然としたまま道頓堀に戻って来た千代と一平。
千代は岡安に寄っていけばと言うが、一平は「今日はもうしんどい」と断った。

「堪忍な」
千代は、自分が言わなければこんな目に遭わなかったと一平に詫びた。

一平は襲名を受けることを決めたと千代に告げる。
これまでボロクソに言ってきた父へのせめてもの罪滅ぼしだと。

「ほな、してやったりだわ」
「まんまとな」

その翌日、一平が二代目天海天海を襲名することが発表された。
岡安にももさっそく襲名公演の予約の電話が入る。
一平も時間が許す限り贔屓筋への挨拶回りを精力的に行った。

襲名公演初日を明日に控え、座員たちは稽古に力が入り過ぎてもめごとを起こすが、一平はその揉め事も見事に収める。

天晴たちは、かえって一平がしっかりしたと、明日の襲名も大丈夫だと安心するが、千代は何か変だと気にする。

千代がハナに一平のことを話すと、ハナは千代に初代天海についての昔話を始めた。
「そないなことが…」
「千代、あんたしかおれへん」

 

一平は、マッチを擦り、一斗缶に火を燃やし台本を燃やし始める。
一平が母を思って書いた「母に捧ぐる記」も一斗缶の中へ。

そこに千代が駆け付けた。
「アンタ役者やめるつもりなんやな」
千代は、一平がご贔屓さんへの挨拶周りの時に自分のこと一座のことを頼んでいたと指摘。
自分が辞めた後、座員がやっていけるように根回ししていたんだろうと。

「あんたいつまでそない嘘臭い顔してわろてんの?」
たとえ辛いことがあってもまた顔を上げて生きて行こうと思えるお芝居を作るんじゃなかったのか、
10年後も50年後も忘れられない芝居を作るんじゃなかったのか、
勝手に一抜けするなんて許さないと千代は一平に訴える。

「かなわんなあ千代には…もうあかねんねん」
一平はずっと天海を憎み続けてきた。
なのに天海は自分を守るために嘘をついてくれていた。
今更そんなこと言われても、どうしていいかわからない。

だから永久に天海天海の名を葬り去ってやる。
派手に幕引きしてやる。
二代目天海天海の最初で最後の芝居。
「面白いがな」

「いっこも面白ない」
千代は、お家さんに聞いた昔のことを話し始める。
天海天海は、夕に出て行かれた後、何もかも嫌になって役者を辞めようとしたことがあった。
しかし、天海は役者を辞めなかった。

「なんでか分かるか?」
千代は一平に問いかけた。

明日が気になるーーー!!

「なんでか分かるか?」
うっ!あと、もうちょっと!
1分、2分でいいから、もちっと頂戴ー!
と、気になるところで終わってしまいした。

上手いねえ、明日が待ち遠しいじゃないかあ!

 

ハナさんが話してくれて昔話による回想シーン。
夕が出て行った後、天海のところをいなり寿司の差し入れ持参で訪問すると、天海はハナにも「食べている場合か!」と怒鳴り散らすほどの自暴自棄に。
そこに一平が「お父ちゃん」と声を掛けますが、その一平の後ろ姿だけで終わり。

このときの一平が何をしていたかが明日のカギですねえ。
きっとここに父子の絆があるんだろうなあ。

天海の女遊びのせいで母・夕がいなくなったと思い込んでいた一平は、天海天海を罵りまくったことを後悔していました。
そうね、父は狙っていたとしても、辛かっただろうねえ。
でも天海が亡くなったのは千代が奉公に来た直後だったから9歳の時。
罵ったと言ってもまだその年頃でよかったかも…なんて思ってしまった。

 

一平は、嘘臭い顔して笑う

千代が一平に言った
「いつまで嘘臭い顔して笑ってる?」
が刺さった~。

一平がいつもヘラヘラ、ヨレヨレってしてるとこ、嘘臭い顔なんだ。
父母に愛を受けた自信がないから何事にも向き合う前にヘラヘラ~として誤魔化して来たんだよねえ。

千代はそこも心配でいたんだろうな。
だからお母ちゃんに会えば…とカンフル剤を投入しようとしたんだけど…。
逆効果に。

かえって絶望しちゃって、全てを無くそうという方向へ。
そらそうだろう。
一平にとって人格崩壊になりかねないような、思いもよらない事実の確認だったんだから。

「いつまで嘘臭い顔して笑ってる?」
は、まだまだ一平は親と向き合いきれてない。
もっと自分の過去と親と向き合って考えろと言う、八津さんのメッセージでもあるよね。
八津さんの、一平にだけでなく、視聴者すべてに対するメッセージ。

 

 

テーマは毒親

千代はテルヲに苦しめられ。
一平は天海が敵だと思ってたら、裏切ったのは母だった。

おちょやんのテーマは毒親を乗り越えて生きて行くことになのね。

リアル千代ちゃん、浪花千栄子さんの人生はチラと見ただけですが、ちょっと想像を絶するほどハード。
親はテルヲ以上にクズ。
テレビ用に精一杯キレイにまとめて、その結果がテルヲ!!爆

この事実を盛り込みながら、いかにして現代の視聴者の共感を得るように描くかと考えた時に、
最近世に自覚され始めた「毒親」をキーワードに描くことにしたんだなあと。

毒親。
親子関係についてのネガティブ表現は、朝ドラでこれが初めてではないですかね。

そして、ただ毒親を描くだけでなく、

  • 親子関係は美しいとは限らないということ
  • 子供も毒親を否定していいこと、

この2点を明確に言ってくれているのが今を生きる我々には心強いメッセージ。
そして千代の姿に、親を切り離しても大丈夫と励まされる。

 

それからマットン婆さんにも。
親に限らず、無償の愛をくれる人は周囲に必ずいるはず。
身近な人の愛に気付くことも大切だよと。

核家族がが進み、家という制度があいまいになって、それにより家族関係に悩むいまどきの日本人へのメッセージだと思う。

今の自分にとって傍にいてくれる人たちにこそ感謝を忘れないでいようと思う。
そして、このメッセージ通りの心の距離を取れたら、毒親も毒親でなくなるのかも…?と。

八津さんは、一平に台本を焼いて役者引退するのでは許してくれない。
ただ知らんふり、避けるだけでなく、自分の中の「毒親」をどう解決していくのか。
明日の一平をしかと見守ろうと思います。