【澪つくし】感想・レビュー 第59話 「勘当、大いに結構!」とね(草笛光子)の豪快さに、るい(加賀まりこ)も心が動く

『澪つくし』あらすじ(ネタバレ)第59話

かをるのいる古川家に律子が突然やってきた。

律子はかをるに惣吉に会い、事の次第を何もかも話してきたと伝えた。
もちろん、かをるが純潔であることも。
そして、惣吉が今でもかをるを愛しているから希望を捨てないようにとも伝えた。

英一郎は、惣吉からの久兵衛への手紙を預かってきた。
手紙の内容は、これまでの度重なる訪問の非礼の詫びと、改めて一席設けてお願いしたい事があるというもの。

手紙を読み、律子が惣吉に会いに行ったと知った久兵衛はカンカン。
どんなことがあってもかをるは漁師の嫁にはさせないと意固地。

 

昭和3年4月20日の新聞では合田醤油の争議の解決が報じられた。
結果は組合側の惨敗。
水橋の立ち上げた総同盟関東醸造労働組合合田支部は壊滅。
水橋はなおも拘留され続けた。

 

るいは惣吉の手紙を返しに吉武家に行きとねと対面。
かをると惣吉の結婚に後ろ向きなるいに、とねはあんなに惚れ合っている2人を引き離してはいけないと話す。
そして、自分たちも若い頃があったはず。
昔のことを思い出して2人を応援してみないかとるいに提案。

そんなことをすれば、かをるは久兵衛に勘当されてしまうと恐れるるい。
すると、とねは
「勘当大いに結構!そしたら、アンタもかをるさんもウチにおいで!」
と豪快に笑った。

 

律子とかをる、姉妹の絆

律子さん…ううっ…涙
昨日に引き続き、素敵…。

「コレで借りを返せたとは思わないけど、あなたの気が晴れたらホッとするわ」
律子さんが最後に見せてくれた笑顔がすごく優しくて…。
お姉さんが妹に向ける優しい笑顔だった…涙

血のつながった姉妹。
禁じられた恋に苦しむ者同士。

そんな律子だからこそ、できた行動。
そんな律子さんを見上げて目にいっぱい涙を浮かべるかをるさんにも涙。

もう、正真正銘の姉妹じゃんーーっ!!

かをるの「ありがとうございました」って気品溢れるお辞儀にも心奪われます。
その静かな佇まい中に、律子への溢れる感謝の思いを感じられて。

 

かをるは、律子の話に「お嬢様…!」と言って感謝しました。
これまで律子さんからのリクエストで「律子さん」と呼んでいましたが、今日は久しぶりに「お嬢様」。

これは、かをるとしては本当は「お姉様」と呼びたいところだったのでしょうね…。

「律子さん」って言う呼び方は、かをるとしてはきっと目上に対しては悪いなあと思うところもあって、いまいちフィットしないのでしょう。
かをるとしては頑張って言ってた言い方だったのでしょうね。
そして本日のここで律子に最大の敬意を表したいと思えば、やはり「律子さん」では足りない。
「お姉様」と言いたいけれど、それも馴れ馴れしい感じ。
一気にハードル超え過ぎな感じ。
というところでの「お嬢様」だったのでしょう。

こんな繊細な距離感を感じ取れるセリフの言葉選びも素敵。

 

奥の部屋では、由岐ちゃんみずえちゃんが、朝ドラあるあるの盗み聞き。
2人がかをるの事情を理解できてよかったですが…。
由岐ちゃんもみずえちゃんも、アレだけで全てを悟るとは!
あの会話が全部聞こえたとしても2人が理解できるワードは“惣吉さん”だけのはず…。
2人とも察しが良過ぎるぞ!!爆
科捜研の女の友達は、やはり推理力にたけているのか?

 

しかし、由岐ちゃんったら「水臭い…」って。
ちょっとアータ!
アンタたちが決めつけてたじゃないのさ!
2人とも新聞記事の内容をまんな信じ込んでたじゃん~。
だからかをるは一層言えなかったのよお!
由岐ちゃん、母になるんだから、もうちょっと思慮深くおなりなさいよー!笑
まあ、かをるもね、あまりにも言わな過ぎだから良くなかったけど…。

しかし、由岐ちゃんも、みずえちゃんも泣き崩れる姿は~相変わらずの見事な棒棒!!!!
そしてかをるさんも!
三人で共に泣く姿は…トリプル棒!爆

女学校時代の棒棒演技が再び…!!!

この3人の棒も、重い内容に爽やかな笑いを提供してくれて…コレもコレでありがたいわww

ツエさん、最近出番少なかったから今日はツエさんに会えてよかったです。
ツエさんの滑りに妙に昭和を感じましたwww
三人の棒の背景のツエさんの泣き顔も面白かったわ。

 

惣吉は手紙を久兵衛にしたためる

惣吉さんの書いた手紙は…

  • かをるについて安心したこと=まだ全然結婚するつもり!
  • これまでの非礼の詫び
  • 改めてオフィシャルに一席設けたい

実に非の打ち所の無い内容。
惣吉の礼儀正しさ、賢さがよく分かるー。
漁師だからと言って脳みそ筋肉じゃないプリンス!

そしてさらに達筆ということも判明!
もう…もう、非の打ちどころ無し!
英一郎もこんな素晴らしいお手紙、まだまだ書けないんじゃないのー?

 

英一郎もかをるを救えるのは惣吉しかいないと援護射撃。
そうよー世間では、かをるはいろいろ言われちゃってるんだか、見合い話は皆無でしょう。
さらに律子も、かをるは惣吉と結婚できないなら一生独身を貫く覚悟だと援護射撃。

小畑さんもあっちゅう間にほだされたし。
ハマーも惣吉さんのこと、一目でお気に入りだし。

状況的には惣吉との結婚が一番良い道になってきた…!
こうなると、かをるの逮捕はかえってラッキーだったとも言えるわね。

かをるの世間的な信用の失墜。
今まで通りかをるを信じられる人は、名誉や体裁よりも人を信じられる人。
かをるの逮捕は、心と心でつながれる人かどうかのリトマス試験紙となりました。

残念ながら久兵衛さんの周りにはそれを超えられる人はいない。
久兵衛さん…完全に敵に包囲されましたなwww

 

律子の“新しい女”への道は厳しい

律子さんのシーンのBGMはショパン『革命のエチュード』。

合田醤油の争議で組合側が惨敗。
律子たちの政治運動は絶望的。
水橋の釈放も絶望的な状態。

荒れた海を一人で眺める律子さん。
革命をイメージさせる真っ赤なドレスがとてもお似合い。

荒れた海が大好きな律子さんですが、今の気持ちで見る荒波はキツイだろうなあ…。

 

河原畑がやってきて何を見ているのか聞くと律子さんは
「昨日、今日、そして明日」
あなたの明日はどんな風に見えるか聞かれると、
「あの波のように。岩にぶつかって砕けるの」

律子さん…破滅の予感…涙。

空気の読めない河原畑は律子の見ている波=明日を
「逞しくうねりながら次から次へと希望を運んでくる」
と言います。
…これはコレまでの自信たっぷりな頃の律子さんの心理状態ね。
しかし、河原畑さん、物書きなのに表現が大味過ぎるwww

 

かをるの恋に味方が増えて光が見えそうになってきている一方で、律子の恋は八方塞がりになりつつある。
せっかく新しい女に向かって、あの部屋から一歩踏み出せたのに…。

 

そして律子さんにとっては親も捨てられない。

先ほどの惣吉さんの手紙を巡ってのシーンで、久兵衛さんは「石頭だなあ~」と言った英一郎を殴ろうとして空振り。
四十肩でイテテ…となりました。
津川雅彦さん、その貫禄で四十肩か!ww
そんな律子さんはすぐに久兵衛のそばに寄り添って英一郎を「殴られていればいいのよ」とたしなめますが…。
律子さんの、久兵衛さんに対する態度はずっとそれだったか。
久兵衛パパをいつも怒らせてるけど、その怒りも愛と受けて止めていた。
パパを丸ごと大好きだった。

さらに、病気の千代さんも捨てられない。

千代さんたら、皆が悩みを抱えていることを心配して「お祓いしてもらったらどうか」と言っちゃうくらいの旧来の価値観の典型。
その千代さんのことも、新しい女に憧れながら律子は、なんだかんだ言って捨てられない。

そんな律子の性格をよーーーーーーく把握している千代さんは、
「こうなったらアンタだけが頼り」
「いい子になってや」
と圧かける。

…今で言えば毒親ね…。

律子さんが新しい女になるのは、かをるよりもハードルが高い。

 

「勘当大いに結構!」とねの説得にるいも寝返る…!?

とねさん、草笛光子さんのメインのシーン、やっときましたー!
惣吉さん以上に焦らされました~。

とねさん、惣吉さんからの手紙を読んでいないとはさすが!
随分と他人事ですねというるいに対して、子供は子供、親は親だと。

あーカッコいい!
律子さんーあなたがいつも言ってる「子供は親の所有物じゃない」って分かってる大人がここにいましたよぉ!

さすが、律子さんのいう通りの新しい女、とねさん。

こうやって、子供は子供と、適度な距離を取っているからこそ、惣吉さんはまっすぐにカッコいい男に育ったのね~。
ジェームス脚本、登場人物それぞれの性格描写が素晴らしいですが、惣吉さんととねさんは特に素晴らしい。
惣吉さんの言動のひとつひとつにとねさんの影を感じる。
とねさん見てても、こういう母の元で惣吉さんみたいなイケメンが育ったのよねと納得する。
まさに、この親にしてこの子あり!

 

るいさんは、惣吉を困った存在と思っているから、とねさんと対峙したらブチ切れる?とヒヤヒヤしていましたが…思わぬ展開に!

気風のいい女将、とねさんは、しがらみに囚われたるいさんのグチグチした思いもまるっと受け入れ、その上で一緒に飛び越えよう!と励ましてくれました。

かをるのことは好きだよと迷いなく言ってくれるし。
漁師の家の嫁としてじゃなく、息子惣吉が好きな娘として、1人の人として見てくれる。

陸者は嫌われるといった漁師の因習も全然平気。
「私の目の黒いうちは大丈夫!」と。
ずーーーーっと目が黒くいて下さいよ。
よろしくお願いしますよ。

とねさんが言ってくれるとなんだかすごーーーく安心する。

そして2人がどんなにお互いを好きあっているかもきちんと理解してくれて。
2人が惚れ合っている姿は涙ものだよと。
かをると惣吉を温かく見守っていてくれてました!
さすが、自分も周りの反対を押しのけて恋愛成就させたんだもんね。
そしてお互い若い頃の気持ちに戻って2人の恋を応援しましょうと!るいさんに提案。

さらに意地になってる久兵衛を説得するのはるいさんしかいない!とるいさんに重要任務を課しますが
「かをるが勘当されるかも」とるいさんが心配すると
「勘当!大歓迎!」
と、かをるもるいさんも丸ごと引き取るよー!
と明るく言ってくれた。

ああ、ありがたい…。
るいさんも、かをるが勘当されたらお手当ゼロになるリスクがあるんだもんね。
るいさんの一番の不安はそれなんだもんね。
それも分かった上で、るいさんにそうと言わせないうちに、受け止めて応える器の大きさ。

久兵衛さんにお願いするとき心細かったら私も一緒に行くよっ!
とまで言ってくれて。

もう…ホント、心強い!
とねさんカッコいい!

この感じ、惣吉さんが「正攻法で行こう!!」って言ってたのと同じ。
さすが親子!
この2人の言葉にはパワーが宿っている。
2人の話を聞いていると、どんな困難でも乗り越えられるとワクワクしてくる。

るいさんも、何かを乗り越えられる気がするわ!
るいさんも、“新しい女”に向かってジャーンプッ♪

とねさんの影響を受けるのがるいさんなんて!
意外で嬉しいです。
当初は好印象だったるいさんですが、最近のかをると惣吉の結婚に反対するるいさんは、入兆にしがみつく残念な人だったから。
これも昨日の律子さんパターンと一緒ですねwww
ギリギリまで嫌いにさせておいてクルッと裏切ってくれる。
ジェームス、憎らしいわ。

古いしきたりの中の人だと思っていたるいさんですが…。
そうよね、るいさんも妾の地位を甘んじて受け入れていた人。
旧来の女性蔑視の考え方の犠牲者なんだから!

一見かをるの敵でもあるるいさんにも救いを与えるジェームス!

どんな登場人物も愛を持って描いて…ジェームス、なんて愛情深い!
素敵だわー!