【澪つくし】感想・レビュー 第58話 律子は惣吉の元へ。かをるの潔白を伝えに走る!

『澪つくし』あらすじ(ネタバレ)第58話

水橋真吾と共に逮捕されたかをるは、一週間後処分保留で釈放された。
弁護士の手腕とかをるの沈黙戦術により証拠不十分とされたためである。

地元新聞社が入兆を嗅ぎまわっているため、かをるはほとぼりが冷めるまでるいの家に滞在することに。
真実を知らされないままのるいは、久兵衛にかをるは潔白だと言われても、かをるが世間に後ろ指を指される、律子の身代わりにされたのではと腹の虫がおさまらない。

かをるは世間に何を言われようと構わないが、惣吉にだけは自分の潔白を伝えたいと涙ながらに訴えるが、久兵衛は断固として許さず。

 

かをるが逮捕されたと言う噂は、外川の漁師たちにも知られることに。
源八は惣吉にかをるを信じるよう励ますが、漁師たちは惣吉とかをるの結婚を一層反対するようになってしまった。

 

4月に入ると『銚子日報』が、かをるの噂を裏付けるような記事を掲載。
「老舗の醤油元の某末娘」が思想犯水橋と恋人同士でつながっていたという記事内容。
惣吉がこの記事を見たらどう思うだろうと律子も英一郎も気がかりで仕方がない。

 

この新聞記事により入兆は大炎上。
国粋主義者が入兆の店先で刀を振り回す始末に。

律子は、思い切って惣吉を訪ね、正直に真実を話しかをるの潔白を証明した。

 

かをるの思いに涙

一週間後に無事釈放されたかをる。
一週間も拘束されていた割にはキラキラな笑顔www
『まんぷく』の萬平さんのときとは壮絶さが違うわ笑
まあ、沢口靖子さんがヨレヨレボロボロっていうのも辛すぎて見たくないから要りませんが。

かをるの釈放は、弁護士の手腕とかをるの“沈黙戦術”のおかげと。
“戦術”!
あの、落ち着いた態度は戦術のため、何もかもわきまえていたからか!
さすが科捜研の女(←しつこい)

 

かをる、気丈な態度で素晴らしい。
海底火山のかをる、その気丈さはやっぱり久兵衛の娘でもあるということですね。
久兵衛さんも事情が分かってくれて誤解がすっかり解けていて本当によかった!

その気丈なかをるのたった一つの泣き所は惣吉さん!
惣吉さんにだけは、ウソをつきたくない、自分の潔白を伝えたいと。

そうよねえ~牢屋の中でそればかりを反芻していたのでしょう。

ポロポロと真珠の粒のように流れ落ちる涙が美しくて切なくて…もらい泣き。
久兵衛さんダメ!って言ってるけど、結婚できるできない以前に、かをるの人としての信用を回復させてあげてー!とこっちもお願いしたい!

沢口靖子さん、いつの間に、こんなに素敵な演技ができるようになってるのお!
回を追うごとにどんどん素敵な演技をするようになっています!
未熟な部分はあるにはあるけど、そんな細かいことどうだっていいよっ!てなるくらい、心を打つ演技を見せてくださる~!!
さすが今でも第一線の女優さん!
この澪つくしですっかりファンになってしまったよ…!

今日の律子さんには…涙

これまで過激な行動ばかりで皆を振り回していた律子さんですが、とうとう窮地に追い込まれ…動きました。

ジェームス上手いよね。
これまで律子さん、自由な生き物として、久兵衛さんをはじめとする大人たちの既成の価値観に問題提起する存在として自由奔放に描かれていました。
こういうキャラ、下手をすると、書く側にとって都合よく使い過ぎて見る側の共感を得なくなってしまうところですが…。
ギリギリまで泳がして、皆が「えー…キライ…」ってなるところまで泳がせておいて、最後に律子さん自身を追い詰めた。
律子さんに対しても容赦なかった。

ウソが嫌いな律子、久兵衛にも恐れず言いたいことをぶつけてきた律子さんでしたが、今回のかをるの件はそうは行かない。
いつも通りに正直に言ったら全てが破滅する。
言ったら、かをるが罪に問われてしまう。

うん、追い詰めるの上手。

で、律子さんの本当の心を表現。
ハマーがいつも言う通り、心の中は純粋でこの上なく優しい。
うん、その通り…涙
もう、昨日までジワジワ律子さんをキライ…ってさせておいて…ジェームス騙すの上手いね!
こういうふうに騙されるの、好きだよ。

 

律子さんが、動いた決定的な出来事は、入兆の店先で国粋主義者が刀を振り回していたことでした。

国粋主義者が刀を振り回す…って、ハア~そういうこと、当時あったんだろうねと。
妙なリアルさに感心しました。
当時は今よりも昭和元年が近かったから、自然に思いつくシーンなんだろうけど。
今では思いもよらないですね。

しかし、真剣振り回されても表情一つ変えない律子さん。
さすが入兆当主、久兵衛の娘ですが…。

律子さんの気持ちに火を着け、外川の惣吉の元へ向かわせたのは、国粋主義者の
「貴様か、国賊の情婦か!」
という言葉。
“情婦”…今では日常的には使わないので、今の我々には既に生々しく衝撃的な言葉ですが。
昭和元年当時は、今よりも普通に使ってたと思います。
マレーナ・ディートリッヒの映画も『情婦』ってあったなあ~。
しかし、当時は普通と言っても女性をセクハラ的に蔑視した言い方ですよね。

この“情婦”という言葉が、かをるに向けられているということに律子さんはあらためてショックを受けたのだと思う。
そして惣吉にだけは誤解を晴らさないと、かをるの名誉を守らないと…!
と居ても立っても居られなくなって走り出したのでしょう。

これまで静かに椅子に座っていた律子さんが…走った!
走るというのも象徴的。
律子さんも、とうとう“新しい女”に向かって走り出したという意味か。

そして惣吉のところに辿りついて事情を話した律子さんは、本当に美しくて。
かをるさんに続き、律子さんの思いにも、もらい泣き。
律子さんの中の純情を見ました…涙
桜田淳子さん、やっぱり素敵よー!

惣吉に話をした後とねさんが来て、
「アンタ、大したもんだねえ」
と言ってくれました。
とねさん、超カッコいい!痺れるー!
惣吉さんと言い、吉武家は素敵すぎる!

律子さん、とねさんに言ってもらえてホッとしたでしょうね。
律子さん、とねさんこそ“新しい女”と尊敬していたから嬉しかったと思う。

そしてこのとねさんの言葉も、律子が“新しい女”になれたことを暗示。

ジェームス、憎いわ!
素敵すぎる…涙!

 

惣吉の爽やかな笑顔にも感動

惣吉さんは律子さんの話を聞いて、素直に頷いて笑顔。
「靄が晴れた」と。

この笑顔がとびきり素敵でねえ~。
惣吉さんは、人の心が分かる人。
律子さんの真摯な話しぶりにウソは無いと確信したのでしょう。
まっすぐな瞳でした。
静かで優しい眼差し、でも瞳の奥には力強い光が…。

ホント、頼もしい青年やよ…涙

かをるとの結婚を反対する漁師たちに対しても
「お前らの気持ちは分かる」
ときちんと皆の思いを受け止めつつ、でも時間をかけて皆にも分かってもらうと宣言。
かをると結婚する意志は何があっても貫く。
しかも皆の理解の上で成立させようと!

こんなに純粋で、頼もしい王子さまっているう!?
もう、かをる幸せ者だよ!

 

しきたりや既成の価値観に対峙する若者たち

 

  • かをるは、結婚できなくても惣吉への思いは貫く。律子と水橋の恋も守る。
  • 律子は水橋への思いを捨てない。かをると惣吉の恋も守る
  • 惣吉はかをるを信じる。時間をかけても皆に認めてもらう。

これまでの社会通念、既成概念や偏見とは相対する、かをると惣吉との恋、律子と水橋の恋。

がんじがらめの社会の中で、若者たちは自分の思いをどう実現するのか。
かをるも惣吉も律子も、これまではそれぞれが、社会と自分の思いのギャップに漠然と悩みながら、それぞれ一人の力で動いていました。
でも今日の律子をきっかけに、より意識的に協力的に動くことになるのでしょう。

これまで控えめだったかをるは、より気丈に、意志的に動くようになるだろうし。
律子は、自分だけでなくかをると惣吉の恋も守ろうとするだろうし。
そして惣吉は、かをるを信じて、より強く逞しくなっていく…。

そのきっかけが三・一五事件とは、なるほど象徴的な。

かをるたちの革命、しきたりに囚われない自由恋愛の成就を勝ち取るストーリーは、ここからがスタートということか!