NHK朝ドラ『半分、青い。』第156回(第26週)感想&あらすじ 東日本大震災はしれっとスルー。扇風機は販売決定。でもなぜか傘。空っぽ過ぎな最終回で脱力

『半分、青い。』第156回( 9月29日)あらすじ

 

2011年7月7日。
つくし食堂では、そよ風ファンの販売決定パーティの準備で大忙し。
会場には七夕の笹、中央にそよ風ファンを置き、七夕飾りがそよ風に揺れるという演出だ。

そこに扇風機の取材に新聞記者が現れた。
こばやんだった。

鈴愛は、そよ風ファンの風を浴びて七夕の飾り付けをする晴を見て、そよ風ファンの名前を思い付く。
その名前は「マザー」。

 

梱包箱、取り扱い説明書もすでに「そよ風ファン」で印刷済みだったが、
「マザー」が最高にカッコいい名前ということで、津曲もあっけなく同意。

 

「マザー」の名を掲げ、梟町の面々、まーくん、ボクテまでもが訪れ、扇風機の発売記念パーティが始まる。
鈴愛、続いて晴、律と次々とスピーチ。
鈴愛は感動の涙。

 

夜もふけてパーティも終わり、律を見送ろうと店の前に出てきた鈴愛。
二人きりになったところで律は鈴愛に誕生日プレゼントを渡す。
プレゼントは律が作った雨の音がきれいに聞こえる傘だった。
高校卒業時、律は鈴愛にリクエストされたことを覚えていたのだ。

これまでプレゼントを交換をしたことがなかった鈴愛、お返しの用意がないと戸惑うと、
律は「もう貰ってる、というか盗んだからいい」と。
律の手にあったのは、パーティ会場に飾られていた鈴愛の短冊。
そこには「リツのそばにいられますように」と書いてあった。

「俺でいいの?」
とたずねる律に、鈴愛は
「律しかダメだ。私の律は律だけなんで。一人だけなんで」
律も、
「じゃあ、俺の願い事も言っていいですか?」
「鈴愛を幸せにできますように」
と二人はハグ。

 

その後、すぐには雨が降らなかったが、
ある日天気雨が降る。
外に出て律から貰った傘をさす鈴愛。
花野、晴も入り、律が作った傘の下で、キレイな雨の音を聞く。

 

『半分、青い。』第156回( 9月29日)感想

 

 

いやはや…。

大体ドラマって、最終回はまとめにかかることが多いので、話しが動かないことは覚悟済みですが。ましてやテンテーですから。
それにしても、ここまで空っぽ&ご都合主義とは!
こんなの前代未聞。見たことないでっす。

開いた口がふさがらないとは、このこと。
演出も、なにもかも、やっつけ感がハンパなかったし。

 

こんなチープな内容で何が「人が試される週」だか????
何を試す???
テンテー、まずはご自分をお試しください。

人としての生き様とかなんとか、そんな高尚なことじゃなく、テンテーの嫌がらせにどこまで耐えられるかってことは確かに試された。
我慢大会だったということは認めます。

テンテーが9/24のツイッターで、「まだ直しが来る」とか言っていましたが、元の内容がさすがにNGばかりで、突貫工事で当たり障りなく納めたってことかもしれませんね。

 

 

つくし食堂でそよ風ファンの発売記念パーティすること自体、もうすでに解せないし。
最後に梟町のメンバーを出したいにしても、強引すぎ。
だって普通シェアオフィスでやるでしょ。 まずは出資者を招くでしょう。

もしや前のパーティも、地震に遭わせるためだけに東京でやったか!?

まず出資者向けのパーティを東京でやり、律と鈴愛にゆかりのある人々を呼んで地元でパーティしてるなら分かるけど。
それこそ、ばーちゃんナレで説明しちゃえばいいのに。

でも、まーくんとボクテがいたから、岐阜でしかやってないみたいね。
事情も何も考えず、鈴愛のお気に入り&視聴者に受けのいい人だけご招待。

そう! 津曲さんも働かせるだけ働かせて、パーティには呼ばず。東京でお留守番。
一番の功労者なのにね。ひどい仕打ちだわ。

パーティ開始前に取材に来てくれた、こばやんも招待してない。
普通、そのままパーティに参加してもらうでしょ。プレス発表なんだから。
こばやんは、つけ足しエピソードでしかないってこと。

ちなみに鈴愛が、こばやんと会って新聞記者になってると分かった瞬間、「初志貫徹!」と言ってたけど、これもずーっとおんなじ仕事やってる人をバカにしているような言い方で。
すごーく不愉快。嫌悪感だったわ。

 

で、なぜだかつくし食堂でパーティやって不愉快な件に戻りますが、
岐阜でやるにしても、メインでスパロウリズムを設立したのは、律でしょ?
そして扇風機を開発したのは、律。
鈴愛さん、アンタは発案者(ただ口からついて出ただけだけど大目に見てあげて)でしかない。

こんなの普通なら萩尾家でやらないか??
あのグランドピアノがあるお部屋、広くてオシャレだからパーティにふさわしいわよ。
そして草太の料理をケータリングすればいいのに。
草太が「お!これもビジネスチャンス」って閃くのも、未来を感じて楽しいのに。
まあ、どうせ草太は脇役だから、どうでもいいか。愛がないから。
しかも、つくし食堂は行列の店なんだから、やたらに店使えないはずよ。

 

で、パーティは主催者面の鈴愛のスピーチから始まりますが、
これもまた実に不愉快。
普通はまずスパロウリズム代表者&開発者である律がメインで挨拶して「アイデアをくれたのは鈴愛です」って紹介を受け、鈴愛が登壇する流れじゃない?

なのに律が到着する前にパーティを初めちゃって、鈴愛がしゃしゃり出てきてスピーチ。
「このアイデアは母のため!」と晴にマイクを渡す。
晴は、
「こうしてみると、私が病気になったこともよかったこと」
って、随分とお気楽な闘病生活だったくせにお涙頂戴を強要。
ろくに描かずキレイ事だけ言われると、ホント腹が立つものだなあと。

そこに駆け付けた律に晴さんは
「ほら、律くんもしゃべりなさい」
って、なんだか温情でスピーチやらせてあげるからみたいな感じで
律につけ足しのようにマイクを渡す…。

もう、すっかりそよ風ファンは鈴愛様のお手柄!
楡野家の物!
律くん、完全脇役のお披露目会でしたーっ!

律がいきなりスピーチ振られてオドオドしてたのも、この想定外の事態に戸惑いを隠せなかったのではと、うがった目で見ちゃったよ。
弥一さん、静かに、見守るようにスピーチを聞いてましたが、理不尽を感じながらも文句を言えずに耐えているようにも見えた。

 

商品名、「そよ風ファン」も、鈴愛の閃き一発で「マザー」になっちゃうし。

「そよ風ファン」で全て発注済み、間に合わないよぉ!と困る津曲さんも、律が

  • スパロウリズム そよ風ファン
  • スパロウリズム マザー

と、呪文のように言うと、魔法にかかったように
「おお!マザーの方が断然カッコいい!」
と一発で快諾。

 

うーん…「マザー」なんて、いかにも過ぎて。重すぎて気持ち悪いと思うー。
「そよ風ファン」の方が機能も分かりやすくて、つかみOKだと思うー。
電博堂出身の津曲さんなら、すぐに分かると思うー。
そもそも、こんなタイミングで「マザー」しか出ないなんて、もっと前から名前考えなよ。

津曲さんが、即「カッコいい!」と快諾する様子も、
律に「鈴愛様のご意向だ。分かるよな」と、圧かけられたとしか見えなかった。
津曲さん、データ盗もうとしたこと、今も脅迫されてるのかしら。
津曲さん、ちゃんとお給料貰えてるのかも心配。
律も、クレジットカードのローンにも手を出してるのに、鈴愛様には逆らえない様子。

 

律のスピーチの内容は抜粋すると、
和子さんが生きてたらこの風を浴びさせたいと思ってそよ風ファンの開発をした。
鈴愛もユーコに届けるために商品化を頑張った。
この風は天にも届くと思ってる。
そして亡くなった人の思いを僕たちは受け継いでいくんだと思ったと言い、
震災で被災した方々のことも含めて丸ごとキレイ話にしてまとめ。
上っ面の言葉の数々に辟易…。

 

この律のスピーチの、ユーコのくだりを聞いていたボクテは涙を流していました。
ナナコロビヤオキは、ボクテの涙は、自分を差し置いて勝手にユーコの弔問に行ってしまった鈴愛への憤りの涙に見えました。

 

さらに最後のまとめにマイクは鈴愛様に渡され、鈴愛は感激の涙。
「なんも言えん。ありがとう。みんなありがとう。ユーコも和子おばさんも、ここにおる人もおらん人も、皆ありがとう」
というと、晴さんが
「違うよ、鈴愛。皆おるよ」
って。…オカルトか。

 

勢ぞろいした役者さんたち、表情を見ていると、
皆さん上滑りな寒いセリフだけど、大丈夫かなあ、どう受け取られるかなあ…どうにか丸くおさまってくれという、願いにも似たようなものを感じました。

 

で、律と鈴愛との関係のオチは、結局くっつきましたね。
ソウルメイトだなんだかんだ言いながら。
でもこの前みたいなチューはなし。
ハグだけでライトに片付けて、どっちとも取れる感じで。
…要はお茶を濁しただけ。
半年も引っ張っておきながら。

 

律がプレゼントした、雨の音がキレイに聞こえる傘、律はいつ作ってた??
そよ風ファン商品化で大変だったんじゃないの??

雀だろうけど雀に見えない、あの鳥の形の手作りチャームも付けちゃって。
40男が、ずいぶんと少女趣味で。
高校時代の鈴愛が言ったリクエストを覚えてたと。
この執着ぶりも気色悪く、律もやはりストーカー体質なのねと。

で、最後にお天気雨が降り。
鈴愛、晴、花野が入って
「雨のメロディーや」
と鈴愛。主題歌の「モノラルのメロディー」に引っかけて終わり。

 

花野のスケートも、いじめ問題も、アキコの件も…もちろん震災も、なんもかんも無かったことに。
丸めこんで、「もう皆ハッピーなんだぞ!いいか!分かったな!」と、一方的に突きつけて、終わり。

要するに、このドラマは、片耳失調で聞こえる雨の音だけがエピソードだったらしい。
ラストの、鈴愛、晴、花野が傘の中で背景青空のCG画像も安っぽくてダサくて引いたし。

 

…ちなみに扇風機はどこへっ!?
最後の数分で、扇風機より律の作った傘がメインに擦り変わっちゃったし!
存在感はすっかり傘!
最後のメインテーマなはずの扇風機までほっぽらかしだよ!
最終的にヒットしたかどうかも分からないままで終わらせた。

とにかく空っぽ、ペラペラのあちら都合の、何の感じようもないドラマでした。

 

*****

ナナコロビヤオキは最終回まで見ましたが、ブログで感想を描き始めてしまったから最後まできちんと見届けようと、けじめという思いで最後まで見届けました。
決してこのドラマが好きだったわけじゃないです。

そもそもブログに描き始めたのも、内容のレベルの低さにイライラしだしたからで、なら自分なりに批評してみようと思ったわけで。

ナナコロビヤオキのように、ヘンだと思うからこそ、どうおとしまえ付けてくれのるのかと思って見届けた人も多かったと思う。あと半分ホラーのために!
だから視聴率どうので浮かれて欲しくないです。

 

それと、ナナコロビヤオキは、若い頃演劇をかじり、一時期シナリオライターを目指していたことがありました。
その頃ちょうど「ロンバケ」や「愛していると言ってくれ」が流行っていて、当時ナナコロビヤオキが最も憧れていた脚本家が北川悦吏子さんでした。
だから、彼女が朝ドラをどう書くかと期待して見始めました。

ポエムセリフは今の時代にはさすがに寒いわ…と当初から違和感を感じていましたが、だんだんとモラル的にもおかしいんじゃないかと思うことが目立ち、
脚本家の作品作りの姿勢にも疑問を感じ、
更には、SNSを使っての言い訳や炎上狙い…
…脚本家ご本人の人間性にも非常に疑問を覚えショックを受けまして。

そして大好きだった「ロンバケ」や「愛していると言ってくれ」への感動も、あれは私の間違いだったか、騙されていたのかとも思うように。
あの頃の思い出全てもけなされたような気分になりました。

そして、この「人を試す」だか?の最終週は、本当に見るに堪えないもので。
こんなに多くの人を傷つけても、脚本家であればエライのか?大先生なのかと…。
怒りでも何でも炎上すれば視聴率を取れれば名作と評価されるのか?と…憤りを覚えました。

最終局面では、脚本家、北川悦吏子の終焉を見届ける思いで見てました。
若い頃憧れた脚本家の、最期を看取ろうという思いで。

東日本大震災を、このポエムドラマのキラキラアイテムに、マンガや扇風機と同じレベルに扱った罪は、深いと思います。

北川テンテー、昨日ツイッターにも書き込みしたけど、今回のドラマは、71年生まれの鈴愛の20歳までのストーリーにしてすればよかったのよ。そうすれば震災も描かずに済み、シングルマザーにならなくてもいい、可哀想な子ども達もいなくて済んだ。十分ドラマは成立したよ。

バブル時の時代考証を細かくやってトレンディドラマ職人として徹底再現すればよかったのに。そうすればそれこそ“神”として賞賛されたと思います。

でも、テンテーご本人が自分の“売り”は何かを追究する姿勢は無く…ご自分は全能だと思ってるんでしょうね。その上自分を客観視しない。だから、こういう事態になってしまったんだろうなと。

 

そして、震災を報道していたNHKが、なんでこんな、ちゃっちいレベルの内容にOK出したのかも大いに疑問。
彼女の暴走を止める人は誰もいなかったの?
NHKという組織は、北川悦吏子氏に対等に意見できる人が誰もいなかったってこと?

その点が、実は一番の解せないところで、
それが今回のとんでもない事態を招いた一番の原因ですよね。

なのに、組織の人でない華丸さんに、突っ込み役を押し付けて、インタビューまでさせ矢面に立たせて、視聴者の怒りを納めるために利用。
当のNHKの幹部およびドラマスタッフは知らぬ存ぜず…??
華丸さん上手に言ってくれるからって、
華丸さん使って誤魔化せばいいと思ってるの??
華丸さんにも大変失礼ですよ。

今回のドラマではNHKの組織の在り方についても考えが及びました。
NHKにも重大な責任があると思います。

 

北川さん、今回のドラマであなたは高視聴率を取ったかもしれません。
朝ドラに“革命”とやらを起こしたかもしれない。
でもその代償に人の信用というものを完全に失ったということを、お忘れなく。

私はもう金輪際、北川悦吏子の名を見たら絶対に見ないし、本気で筆を折って欲しいと思いました。

ただ、役者の皆さまは、この脚本で本当によくやり抜いたなと、本当に頭の下がる思いです。
本当にお疲れ様でした。