【あぐり】感想ネタバレ第36話 オムレツは家出の合図

『あぐり』あらすじ(ネタバレ)第36話

世津子がエイスケとあぐりの家を訪れた。
エイスケは、世津子に一週間後に原稿を書き上げるように言われていたが、約束を3日過ぎてもエイスケが原稿を持ってこないためしびれを切らしたのだ。

書けたところまででいいから編集長に見せようと世津子は言うが、エイスケは1行も書けていなかった。
「岡山に帰りなさい!」
さすがの世津子も声を荒げ、あぐりが気付かぬうちに帰ってしまった。
世津子のことを聞いても、反応もなく元気の無いままのエイスケ。

そこに望月家からの仕送りが届く。
あぐりは、エイスケを元気づけたい一心でまたすき焼きをやろうと、
今度はお隣の岩淵家を招いて豪勢なすき焼きを振る舞った。

 

その頃、燐太郎はカフェ・セ・ラ・ヴィでは新聞社から取材を受けていた。
そこに、すき焼きで使い卵を買いに行った酔っぱらったエイスケが訪れる。
エイスケは、世津子に岡山には帰らないと言い、取材に割り込んで燐太郎に絡むが、そのまま酔いつぶれて寝てしまう。

 

夜遅くなっても戻らないエイスケを待っていると、燐太郎がエイスケを背負ってきた。

あぐりは燐太郎にエイスケに力になって欲しいとお願いするが、燐太郎は今の自分はエイスケに何もしてやれないと答えた。l

翌日、
森潤はエイスケに「何を急いでいるのか?死に急いでいるようだ」と語り掛ける。
何を書けるか、探そうとしてはいけない。
川を流れる木の葉のように流れに身を任せることが大切。
そうすれば、おのずと書きたいものが見つかると、エイスケにアドバイス。

家に戻るとあぐりが、空の雲を眺めていた。
エイスケが、あの雲がどこに流れていくのかとあぐりに聞くと、あぐりは
さあ。それは風が決めることだから」
とあぐりは答えた。
「風」と聞いたエイスケは何やら閃いたよう。
エイスケの表情に笑顔が戻った。

エイスケはいきなりオムレツを作り始める。
エイスケが機嫌良くオムレツを作るときは、自分の目の前から姿を消す合図と気付いたあぐりは、
仕送りのお金をこっそりと隠し、あぐりは何も言わずに笑顔でエイスケとディナー。

翌朝、あぐりが目覚めると、エイスケはもう既にいない。
「しばらく出かけてきます、心配ご無用エイスケ」
と置手紙。
あぐりは、仕送りを隠した鍋を確認するとやはりお金は無くなっていた。
「仕送りの無断借用お許しください。再度の仕送り頼まれたし。エイスケ」
やられた、と思いながらも、あぐりは笑顔で「いってらっしゃいエイスケさん」と言った。


 

また、すき焼きぃっ!?

あぐりの世間知らず、しょーがねえなあ~とは思うけど…
今日のすき焼きリフレインには、庶民の私はさすがに怖くなった…!!!!

昨日、あぐり、着物を質屋で8円にしてお肉を買ってました。
当時の8円、どうも3万から5万くらいみたい。
それを一気に使ったんだから…!
仕送りは沢山貰えているとしても、どんだけ使っちゃううう!?
と震え上がりました。

エイスケの笑顔が見たいからって…。
すき焼き依存症www

当時、牛肉なんて、滅多に食べられない高級食材でしょ。
今みたいに、アメリカ産の安いお肉なんて売られてないでしょうし。

あぐりが、「すき焼きだーい好きですっ!!」って言えること自体、異常なんだよ!爆
大好きかどうか分かるくらい何度も食べてるってことなんだから。
しかも岡山育ちなのに。
どれだけセレブなんだかーーーーっ!!!

しかもお隣にも振る舞って…これは一気に5万以上使ったとみた…汗。

あぐり、望月家に嫁に行っても、台所を預かったわけでもないから仕方ないよね。
ってか、お金の事を何も教えずにいきなり東京に送り込む光代さんと健太郎さんもどうよっっ!!!笑

でも、そのくらいの無知じゃないと、エイスケさんとの東京生活ムリですね。
ケガの功名。

そしてあぐりのこの豪快さはエイスケさんの救いにもなる。

この組み合わせ、なかなか奇異であり、希少であり…。
これがなかったら吉行エイスケも吉行あぐりも生まれなかったのね、と思うと。
人の巡り合わせ、人のご縁ってつくづく奇跡なんだなあと思います。

そしてそんな縁を引き寄せること自体もその人の運というか、器と言うか…。

 

世津子さん、エイスケにイラッ!

エイスケさん、世津子さんに言われた期日までに小説間に合いませんでした。
間に合わないどころか、1行も書けず。

何を書きたいんだか、すっかり分からなくなっちゃってるでしょうね。
世津子さんのコネで編集長に見て貰えるとはいえ、書けないときは、書けないんだろう…。

世津子さん、エイスケさんが心配とはいえ、ちょっとお節介が過ぎる。
多くの文士をサポートしているんだから、それくらい分からないのかなあ?いい歳のマダムだし…と思うけど…
世津子さんになりにも焦りがあるのかもしれませんねえ。

頼りがいのある、迷いのない存在のはずの世津子さんにも、弱い部分が見え隠れ。

 

世津子さんと健太郎さんの関係も気になる

世津子さんは、「岡山に帰れ!」ってエイスケさんに言ってたのに、
健太郎さんからの電話には「エイスケは絶対に岡山に帰さない!絶対に物書きにさせる!」と啖呵を切ってました。

やっぱり世津子さんのエイスケ推しは、自分自身の過去も含めて何やら思い入れのある様子。
意固地になる世津子さんに健太郎さん、「昔のことはいい加減に忘れたらどうなんじゃ!」と言い返してた。
世津子さんの意固地は、健太郎さんとの過去にありそうですね。
健太郎さんも物書き志望だったって事ですよね、きっと。
里見浩太朗さんが物書きって、イメージじゃないけど。
若かりし頃、世津子さんは健太郎さんをバックアップしてたのに、健太郎さんは諦めて岡山に帰っちゃったってことでしょうか。
あの時の失敗を繰り返すまいと思っているって事ですねえきっと。

世津子さんにとって、健太郎さんを応援していたことは青春時代のかけがえのない思い出だったってことですかねえ。その後、他の人とも恋愛しただろうけど、健太郎さんが一番忘れられない人で。
そしてもっとも後悔しているのが健太郎さんとのことで。

世津子さんと健太郎さんとの過去も気になる気になる。

 

エイスケは産みの苦しみ

エイスケさん、かなりの煮詰まった様子。
手拭いで釣りしてるとか、無為に過ごす様子がリアルで身につまされる…。

一緒に頑張ってた親友の燐太郎さんは脚光を浴びるし。
きっついよねえ。
焦る一方だと思うわ…。

でも、これでただ机に向かってても書けないよねえ。
創作の苦しいところ。

そんなエイスケさんに森潤はアドバイス。
こういう時のための森本レオさんなんですねえー。

あの声が心地よく心に響きます。
ちょうど、「あぐり」の一年前に「ロンバケ」でキムタクのピアノの師匠役やってましたもんね。
森本レオさんのピアノの師匠、音楽を語り、愛について語り…若者に優しく語り掛けるアドバイザーとしてのイメージが定着。

確かにここでの森潤の言葉は、エイスケさん⒲優しく包み込むようでよかった。
木の葉が川を流れる様に、流れに身を任せないと書きたい物は見つからないよ~。
書こうと思っても書けるもんじゃないよと。

確かに、小説も脚本も詩も…何もかも「書こう!」と持ってできるものではない。
これは芸術全てに対して言えるものですが。
まず、自分自身がその時代、社会にどっぷりつかって、等身大になって様々な思いを実感しないと。
その時代の空気を感じないメッセージは溢れて来ないですからねえ。
「引き出し」という言い方もされるけど。
経験しないと書くことも出てこない…。

森潤は、だから旅してるんだなあ…。

 

そして家に帰るとあぐりが流れる雲を見ていた。
エイスケはあぐりに「あの雲はどこに流れるんだろうねえ」と聞くと、
あぐりは「風が決めることだから」と。
でも楽しそうに、眺めてる。
そんなあぐりにエイスケさんはインスパイアされたようです。

やっぱりあぐりじゃないとエイスケさんはダメだねえ。
世津子さんが健太郎さんに対して足りなかったのは、あぐりみたいなところだったのかも。

さあ、エイスケさんは、この閃きをどう形にするのか?

あぐりの「風」に閃いたエイスケはオムレツを作る

エイスケさん、またまたオムレツ作りました。
オムレツに、ワインに…。
ああ‼すき焼きに続いて、コレもいくらかかってるのおおおおー!?

卵だって決して安くないはずでしょ。
しかも、ワイン…!
テーブルワインなんか、当時はなかったはずdからああ・
ああ…怖い怖い。

さすがに、あぐりもお金には限界があることは分かってるみたいで、用心して隠してましたねえ。
この姿にちょっとホッとした。
あぐりの今回のすき焼き振る舞いは、無謀ではなかったんだろうなあと。

でも、エイスケさんは、あぐりの上を行ってお金をちゃっかり持って姿を消してしまった…。

でもエイスケさんの置手紙には、明るさを感じましたね。
作品への意欲が沸いて来たことが分かった。
これは書くために旅に出たという事ですよね。

エイスケさんの良き理解者であり、勘のいいあぐりはそれが分かった様子。

あぐりの笑顔の「行ってらっしゃい」にホッとしました。
にしても、あぐり、本当に器が大きいわー。
世津子さんもビックリだと思うわ、きっと。

来週は、あぐりは洋髪にするみたいですが、エイスケさんがいない間に、洋髪についてガンガンアプローチが始まるのかなあ?

じわじわといろいろな人の思いが見えてきて、面白くなってきていますが、来週からはあぐりの人生が開けて活きそうな予感。楽しみです。