【おちょやん】感想ネタバレ 第88話 福助、百久利が戦死

『おちょやん』あらすじ(ネタバレ)第88話

大阪には6月に4回7月に2回の大規模な空襲があった。

その日の晩も空襲が。
一平たちが避難しようとすると、千代がいない。
千代は夜遅く出かけていた。

千代は昼間、転寝をすることも多い。
どうも夜な夜な出かけている様子。

みつえは千代が誰かと「密会」しているのでは、
寛治の件で悲しんでいた千代を慰めなかったからだと一平をからかう。

ある晩、家を出て行く千代を一平は尾行。
すると、千代は家庭劇の稽古場で猫を相手にセリフの練習をしていた。

一平が声を掛けると、このままだと役者じゃなくなる気がするのだと言った。
とにかくお芝居がやりたい。
人を喜ばせたいとか偉そうなことを言っていたが、自分がやりたいから芝居をやっていたのだと千代は話した。

千代と一平が帰ってくると、みつえと一福の様子が尾魁夷。
怒っているのかと思ったが…ちゃぶ台の上に福助の戦死の公報が。

その日から、みつえは床に臥せってしまう。

シズと宗助がみつえを訪ねに来た。
シズはみつえを叱咤激励する。

一福は、父福助の敵を取るために来んd野こそ少年兵に志願すると言っている。

その頃、家庭劇の百久利の戦死の知らせも届いた。
一平は毎日酒を飲み酔っ払ってはケンカしてボロボロ。

家庭劇で愛国物を演っていた自分のせいえ多くの人を戦地に送り込んでしまったと自責の念を抱いていた。

農家に食糧を分けて貰いに行くと、役者をしていたという千代に冷たい。
「少しは世の中の役に立つことしてみい」
と言われてしまう。

帰り道、千代は歩きながらセリフを言い続ける。
途中、よろけて倒れ込んでしまう。
「あかん、セリフ、忘れてしもうた…」
千代はその場で号泣。

 

今のコロナ禍に重なる

千代ちゃんが農家の人に「ちっとは世の中の役に立つことをしてみい」って言われました。
昨日も練習してたら警察が来て、周りの人にも不謹慎だと責められてました。

千代は、現在のコロナ禍で、エンタテインメント業界の人々が立たされている立場と同じことですね。

この先どうなるか不安の中で次々と戦地に行った仲間の戦士の知らせが届く。
これも分かる。
今に重なる。

やりたいことは分かるんだけど…何か「流れ」みたいなものが感じられないので、一つ一つがブツ切れで、見ていてこっちの気持ちが繋がらないなあと…残念。

なんでしょうねえ。
いろいろもったいないなと思ってしまいました。

私は残酷なのかなあ?
みつえちゃんも、福助も、百久利さんも好きだったけど…。
人が亡くなることって、それだけで哀しい。
哀しいのは当たり前すぎる。
だから、それで哀しいを押し付けないでと思ってしまった。

 

満州は?今日は出鼻から肩透かしを食らった気分

満州の話は?
と今日はいきなり肩透かし。
昨日の、寛治がテルヲ化しちゃってたの、衝撃的で、その後何か描写はあるのかなと思ってましたが、
そんなのすっかりスルーされてしまったなあと。

ってことは、寛治のアレはオチってことで一旦終わりなのね。
私が読み違えてたんだってことよね。
でもこの戦争ターンであのオチだけで終わりってどうよ?と。


でもまあ満州まで広げるとやっぱり大変だしね、やはり描くべきは戦時下の大阪、千代たちの話よねと気持ちを切り替えてみ始めましたが…。
しかし、それはそれで始まったのが千代の「密会」疑惑と。

なんか…暢気すぎないか?

 

 

背景としての戦時下が描かれていない

福助の死、百久利の死…そういう大きなトピックは描かれても、背景となるものに戦時下を感じないのも思い入れられないことの大きな要因ですねえ。

女性陣の来ている着物はキレイだし。
一平は今日絶望してヨレヨレ歩いている姿はちょっと汚れてたけどそれまでは何ともだったし。

みつえが千代は誰かと密会してる!ってキャッキャ話してたのも違和感。
そんな恋バナを妄想する心の余裕なんて無いんでない?
お腹は空いているし、毎晩空襲あるし…。
実の両親をいっぺんに亡くしたみつえがまだこのタイミングでそんな話できる?と。

ちなみに、千代が夜な夜などこかにいっていること自体にも少々違和感。
毎晩空襲に怯えている状態で、お互い常に居場所が分かる状態にしてないかな?

…とまあ、ほかにもいろいろありますが、昭和20年7月を描いているとは思えないの。

その割に、福助や百久利の戦士の知らせが来るから…。
それは哀しい事なんだけど、無理矢理泣かせようとしている感じに見えてしまう。

さらに2人の死についての千代の気持ちが描かれてないので、そこもまたね。

 

シズさんが、今日はちょっと残念な…

福助の戦死にショックを受け床に臥せったままのみつえにシズさんは
「ええ加減にしなはれ!」
「傷ついているのはあんただけやない!」
「一福かているのにアンタがしっかりせんと!」
と、みつえを叱咤激励しますが…。

この今日のシズさんにもちょっと違和感。
普段の気風のいいシズさん、大好きなんですが…。

ここでは、「しっかりしろ!」って言いながらシズさん自身も泣き崩れてみつえと抱き合っておいおい泣くっていう方が心に刺さった気がする。
だってシズさんみつえちゃんのママなんだから。
ママとしては最愛の娘の絶望感が分かるでしょ。
シズさんにとても、菊さんを始めとする、親愛なる福富のファミリー亡くしたんだから。

そして シズがみつえを叱咤激励した後のシーンで、千代に対しては優しい言い方で話しているのも変。
やっぱりシズさん、みつえよりも千代が可愛い?みたいな気がしちゃいました。

なんか、ちょっといろいろ表現方法が違う気がする。

千代のセリフの独白は迫真の演技だけど

農家の人にきついことを言われての帰り道。

竹やぶを背景に、芝居のセリフを呟きながら、最後にはよろけてしまい「セリフ忘れてしもうた…」と泣き崩れるシーン。
これもドラマチック、杉咲花さんの迫真の演技は分かるのですが…。

残念ながら千代たちの生活が本当に切羽詰まってるように見えないし。
戦時下の、誰もが精神的に追い詰められた感じが見られないし。
元々そうだったのに、今日は密会コントだったし…。

そんなこんなで積み上げが全くない状態なので、健気に役者を忘れないようセリフを練習し続ける千代にも、泣き崩れる千代ちゃんにも共感できないままでした。

おちょやん大ファンの方は盛り上がっているみたいなので、不快に思わせたら申し訳ないですが。

客観的に見る分には、なんだかつながらないし、急に呑気なコントを入れるのも違和感だし。
戦争の悲壮感とか、理不尽さとかが一切伝わってこない。
この状態で福助と百久利の戦死を聞いても、お涙頂戴に利用されたとしか。
だから戦争を描きながら、戦争に向き合うことを放棄しているように思える。

千代ちゃんのソロのシーンは映像的にはキレイだったけど、内輪受けな表現に見えたわー。