【おちょやん】感想ネタバレ 第79話 メーテル、いや高城百合子

『おちょやん』あらすじ(ネタバレ)第79話

 

特高が押入れに眼を付けた。
ここはガラクタだらけだからダメ!と千代が言うと、
コトリと物音が。

特高が押入れを開けると、中には寛治がいた。

千代は一芝居を打つ。
「すみません!見逃しとくなはれ!」
寛治は世間に内緒にしている隠し子。
父の名前は口が裂けても言えないが、相手は陸軍のお偉いさん。
証拠に家庭劇の芝居の小道具の階級章を見せる。
「えらい昔のことやから、今はもっと偉くなってはりますやろな」
と脅しつつ、この子は見なかったことにして帰って欲しいと頭を下げた。

特高はすっかり騙されて帰った。

百合子たちは寛治がいた押入れの奥の方に入っていた。
一か八か、寛治が先に見つかったら奥の2人が目につかなくなると思ってやってみたが功を奏した。

 

「なかなかいいお芝居だったわよ」
百合子に褒められて嬉しくなる千代。

早朝、千代と一平は小暮と百合子を見送る。
百合子は歩き出すが、一旦戻って千代を抱擁してから去って行った。
「おおきに」
千代は、役者になるきっかけを作ってくれてありがとうと百合子の背中に感謝の言葉を述べた。

小暮と百合子は北の国に旅立った。

 

翌日、一平が芝居の準備金が見当たらなくなってしまったと言う。
一平は慌てて大山社長のところへ。
千代は家の中に細かに探す。
それ風の封筒を見つけるが、中身は違った。
「300円も入ってるのにそんなに薄いはずあらへんやろ」
なぜか金額を知っている寛治。

千代はピンとくるが気付かないフリ。
「もうええわ」
寛治がお金を出してくる。
「お人よし過ぎてアホらしなるわ」

なぜそんなことをしたのか理由を聞くと、
千代も一平もいい人過ぎてイラつくと寛治は答える。
いい人ぶっている人ほど、自分の事しか考えてない、父親もそうだったと寛治は父との関係を話し出した。

寛治は父に嫌われていたと言う。
小さい頃は優しかったが、子役としては才能が無いと見限られ見捨てられた。
二度と舞台に立つなと言われて雑用をやらされた。
だから父が病気で死んだときは心の中で万歳三唱してやった。

「堪忍な」
と千代は謝るが、寛治はそういうのがイラつく、どうせ自分のためだろう、自分が気持ちよくなりたいだけだろうと言う。
「何がお母ちゃんって呼びや!そんなもんいらんねん!」

さっさと警察つき出して全て終わりにしろと言う寛治を千代は大山社長のところに連れて行く。

 

「劇団の準備金盗ったんは、この子だす」
一平と千之助が大山社長と話し合っているところに、千代は寛治を連れて入る。

大山社長に謝れと言う千代。
お金を返したからいいじゃないか、もうどうなってもいいと言う寛治。

大山社長たちは実は寛治の扱いに困り果てていた。
鶴亀家庭劇だったら大丈夫かと思ったらどこでもダメだったかと。

「ほな、わしが引導渡したるわ」
大山社長は警察に連絡しろと熊田に指示。

すると千代が大山社長の前に出てきて、大山社長に謝る。
今感じの面倒を見ているのは自分。
寛治が謝らなかったら自分が代わって謝ると言う。
「うちら大人にはあの子を守る責任がありますのや」
人生はもっと楽しいといういことを自分たちが見せてあげないとという千代。

「もうやめてくれや!関係あらあへんやろ。赤の他人やで!せやのに…」

寛治は泣きながら社長室を出ていた。


 

メーテルと鉄郎は銀河鉄道

昨日、小暮さんと百合子のバランスがビミョー!
恋愛関係に見えない!と言っていましたが…。

ここは、それよりも、メーテルと鉄道だったってことね!!笑

ソビエトに行くからあの毛皮の帽子からのメーテル!!
で小暮さんも鉄郎に寄せて。

リアル百合子さんである岡田嘉子さんが一緒に亡命した恋人 杉山良吉は岡田嘉子さんより5歳年下だったみたいです。
年下は年下ですが、小暮さん程歳の離れた相手にしたのは、ここで鉄郎やりたかったのねwww

ラストも汽笛の音で〆てたし。
銀河鉄道999オマージュwww

なるほどユーモア!!

ってか百合子さん、こんなところからそんな格好してたら目立ち過ぎ!ソビエト行きバレバレwww

千代と高城百合子との別れ

別れ際、メーテルいや高城百合子さんは引き返してきて千代を抱擁。
言葉は無いまま抱擁。

昨日の、2人の会話素敵でした。
百合子さんはプロレタリア運動として芝居を。
千代はお客さんを喜ばせるために芝居を。

2人は考え方が違うけど、それぞれに芝居に情熱を傾けることへの誓いの抱擁。

同士と認めた抱擁ですね…。
憧れの百合子さんに、認めて貰えた瞬間でもある。
千代としては震えるだろうー!

千代は、百合子さんの後姿に「おおきに」と涙ながらに感謝の言葉を。
ここは、じーんと来てしまいました。
百合子さんは千代の憧れであり、芝居に誘ってくれた人だもんね…。

その人がソビエトに行ってしまうんだから今生の別れになるかもしれないから。

このシーンのBGM、「カチューシャの唄」がまた涙を誘う。
百合子さんが道頓堀を去ったときのあの日と重なって…。
人生はいろんな別れがあるなあと…。

カチューシャの唄って、ホント、いい歌だったのね!
あの時代の曲としか認識なかったけど、歳のせいか、こうやって聞くと沁みるよ…。

百合子さんは、自由を求めて、自分のやりたい表現を求めて旅をする人孤高の人。
そんな百合子さんの空気感にもカチューシャの唄のせつなさがピッタリ。

そして永遠の旅を続けるという意味でも999のメーテルなのね。

 

寛治と父との葛藤

寛治でも親子との葛藤を。

千代とテルヲとの関係を描き、一平と天海天海の関係を描き、そして寛治と寛治の父。

三周目はさすがにお腹一杯という気もしなくてもない。
テルヲと千代との関係を完結させた後すぐだし。

ただ、新喜劇も世襲っぽいところがありますよね。
親子が師弟関係になることも多いですからいろいろ葛藤はあるのでしょう。

今回は、寛治は思春期くらい?
一平のように幼いうちに父を亡くしてしまったパターンでは描けない複雑な気持ちを描くためよね。

ただ、コレは子役さんを使ってもよかった?
今回のお金の件もそうですが、百合子さんたちのことをサッサと通報しちぇという感じとか、実際どの程度の年齢の子が言ってる??どういう意味?と戸惑ってしまう。
20代の発言と思春期の子の発言とでは意味合いが違いますもんねぇ。

大山社長が「引導を渡す!」って言ってたあの感じはやはり10代だよね?
モデルとなった藤山寛美さんだとこの時期10歳くらいみたいです。
寛治役の前田旺志郎さんの演技はいいけど、どうしても混乱してしまうwww

12歳くらいの子役さんを使った方が、お金の件も、千代が「お母ちゃんって呼び」という件も、全てしっくりくると思うんだけど…。

そうね、12歳くらいの子役だったら、今回の親子の葛藤も、繰り返しとは思わず、今度は千代が親の立場としてかかわって行くお話なのねとスッと理解して入り込めたような気がするわ。

前田旺史郎さんに罪は無いけど…。
藤山寛美さんがモデルだというから、後々も出てくるんだよね?
ここは子役を使って後で出せば十分じゃない?とも思う~。
そうはいかない事情がいろいろあるんでしょうか???

 

「大人にはあの子を守る責任がある」が刺さる

千代が大山社長に寛治を心を入れ替える時間を欲しい、もう一度自分に預けてほしいと千代は訴えます。

「うちら大人にはあの子を守る責任がありますのや」
この言葉は刺さりました。

これまで千代とテルヲの葛藤を描き、千代を救った人々を描き、血のつながりが無い人からも無償の愛を受けるし、強いきずなで結ばれることを繰り返し描いてきました。

千代と岡安の人々がそう。
一平のケースもそう。
そして舞台の上ではマットン婆さん。

千代は岡安の人に恵まれたから全うに育ったけど、周りの人に恵まれなければヨシヲになってしまう。

ヨシヲはヨシヲが悪いのではない。
そうさせてしまった大人のせい。
社会のせい。

この千代の言葉は今の社会にも重なりますよね。

子どもは社会で育てる、社会全体で大切にするという意識がもっと必要だと思う。