『おちょやん』あらすじ(ネタバレ)第75話
千代が奉公に出た日。
「うちは捨てられたんやない。うちがアンタを捨てたんや!」
振り帰ることもなく足早に立ち去る幼い千代の後ろで、
テルヲは嗚咽し泣き崩れていた。
「堪忍…堪忍…」
泣きながら謝り続けるテルヲ。
「お母ちゃん、うちどないしたらええ?」
千代は心の中の母に問いかける。
千代は母の写真をテルヲに見せる。
「お母ちゃんにも謝り」
千代は、自分はテルヲは許すことは絶対にできないけど、お母ちゃんだけは許してくれるかもと。
号泣しながら写真のサエに謝るテルヲ。
千代は、これまでくじけそうになったときはいつもこの写真に救われてきた。
あの時この写真をくれたことには感謝してると千代は話す。
「悔しいけど、アンタはうちのお父ちゃんや」
千代が「お父ちゃん」という言葉を口にすると、
ヨシヲはそんなこと言ってくれると、いつ死んでもいいと思っていたのに未練が出てしまうと泣きわめく。
「しぶといだけがアンタの取り柄やないか!」
どんなにえげつない手を使っても、もういっぺん自分い「お父ちゃん」と呼ばせてみろと千代は檄を飛ばす。
「しっかりせえ!!」
千代の言葉に気を取り直したテルヲ。
「上等や!やったろやないけ」
病気なんてあっという間に治しておまえらの芝居を観に行ってやる。
「上等の席用意しとけ!」
今まで見たことも無いような面白いもん見せてやると答える千代。
「楽しみにしとき」
立ち去る千代。
「おまんは、ほんまにお月さんみたいやなあ」
テルヲは千代緒背中に声を掛けた。
「なんや。それ」
千代は出て行った。
その日の晩、テルヲは静かにこの世を去った。
千代は母の写真と共にテルヲの写真を飾る。
一平が撮影した笑顔いっぱいのテルヲの写真。
テルヲの訃報をヨシヲに知らせようとツテを辿ったがヨシヲは消息不明のまま。
「ごめんやす」
玄関をあけるとご寮さんと旦さんが。
「テルヲさんには助けて貰ったお礼、ちゃんといわれへんかったさかいな」
「わてらだけとちゃいまっせ」
岡安、福富、家庭劇…皆がテルヲの弔いに駆け付けてくれた。
どうして?
と驚く千代に、みんなはテルヲに「千代をよろしく」と何べんも頭を下げられたからと。
今思ったらあの人なりに必死だったんだろうと。
家庭劇の皆も、稽古場で千代が稽古する姿を見るテルヲは嬉しそうだったと口々に言う。
そして千之助は、千代のことを褒めたらテルヲにおいおい泣かれて参ったと。
皆でテルヲの思い出話に沸く。
「よっしゃ。弔い酒じゃ」
「地獄のテルヲはんに、乾杯!」
千之助は、床に杯を向けて皆のツッコミを受ける。
千之助は、後で密かに天を仰いで乾杯をした。
皆が帰り、2人になった千代。
千代は、みつえから芝居のことばっかり考えていて本当に幸せなのかと聞かれたことを一平に話す。
一平と一緒になれてよかったと思う。
でも芝居も役者も辞めたくない。
「それでもええ?」
「当たり前や」
「たまには2人で温泉にでも行かへんか」
「そうやな…」
いい雰囲気になる2人。
一平がキスしようとすると…
「あかーーーーん!」
テルヲの声が。
ハッとする千代。
でも千代はテルヲの声に逆らうようにして一平にキスをする。
「お父ちゃん、うちは幸せになんで」
あさイチ出演 中村勘九郎さんの号泣。これ、最大の賛辞
今日のあさイチ、プレミアムトークは中村勘九郎さんでしたが、勘九郎さん号泣!
話していて声にならなくなっちゃう程でした。
それ見て私も貰い泣き。
今日のこの勘九郎さんの涙が全てを語ってるんじゃないでしょうかー!
私なんかがこんなところでちまちま書いてるよりよっぽど説得力ある!!
歌舞伎の世襲の世界に生きる勘九郎さんの涙っていうのがまた…涙。
プレミアムトークのお話の中で、亡きお父様、中村勘三郎さんへの思い出話では、父親の愛情を十分過ぎるほどに感じ取られているようでしたが…それでもテルヲを父親に重ねて心がぐちゃぐちゃになっちゃうんだから!
勘九郎さんが、テルヲに勘三郎さんを重ねてた!!
親子の感情って、ただまっすぐで温かい愛情だけではないんですよね。
憎しみと、悔しさと、憐憫と…。
マイナス感情もふんだんに、ごちゃまぜになってて。
どうにも言い表せない複雑な感情。
自分自身でも、どれだけ言葉にしようとも、どうしても整理がつかないほどのもの。
勘九郎さん、昨日から続いた千代とテルヲのシーンは、朝ドラでは後々語り草になるだろうと言ってました。
まさにその通り!
朝ドラ史上に残る名シーンだったと思う。
テルヲ「上等の席用意しとけ!」、千代「楽しみにしとき!」が親子の答え
千代は、涙ながらに、どうしようもないけど「アンタはウチのお父ちゃんや」と言いました。
うん…そうだよね。
「悔しいけど」の冠が着いたの、すごく共感。
そうなのよ。
親子だから、どんなに傷ついてても、怒っても、悔しくても、切り離せない。
切り離せないから辛い。
切り離せないのも、優しさからというより、
なんとしても決着付けなくちゃいけないって、いきり立っちゃうものがあるから切り離せない、というのか。
他人ならこんなマイナス感情を持ったらとっくに切り離してるのにね。
親だとなんとしてもこの気持ちの答えを得ようとする、というか…。
千代の選んだテルヲに対する結果は、テルヲの身元引受人には手を挙げず。
でもただ無視、放置ではない。
千代はもう一度自分に「お父ちゃん」と呼ばせられるようになってみろと檄を飛ばしました。
「しぶといだけがアンタの取り柄やないか!」
「しぶとい」という言葉選びになるほど。
そうだよ、千代の中ではテルヲはしぶとい存在なんだよね。
いつまでも千代の中に棲み続けて呪縛するモンスターだから。
それに対して、テルヲは
「上等や。やったろやないけ!」
病気なんてあっという間に治しておまえらの芝居を観に行ってやると、受けて立ちます。
「上等の席用意しとけ!」
そうだよ。
親子関係、ただただ優しいだけの温かいものではない。
かといって怒りや憎しみだけで塗りつくされたものでもなく…。
大人になるまでの過程で多くの人は親の毒に翻弄されるものだと思います。
その際に沸き起こる親に対する、怒りや憎しみ。
この思いは、どこまでいってもやり場のない苦しいものですが…。
千代は、そのどうしょうもない気持ちの矛先を、とことん親と張り合うことにしました。
そしてそれを生きる原動力にすることと。
絶対に親を超えてみせる。
それが千代の答え。
なるほど。
確かに親に対するぐちゃぐちゃな思いは、「親を超えてやる」に集中することで昇華できるのかもしれない。
千代が出て行った後、「お前にも身内がいたか」と看守に言われたテルヲは
「わいの自慢の娘やぞ!」
と誇らしげ。
そうだね。
和解しなくても、自分のことを憎んでもいい。
気張って強く生きて行け。
それを望むのが親の姿かもしれない。
なるほどと思う親子の着地点。
そして自分も救われる思いがしました。
親に対して、ある部分についてはどうしても許せないとか、悔しい思いがある。
そんな自分に対して、どうしていつまでも固執するのか、優しくなれないのかと自分自身でも良心の呵責を覚えることもあるけど…
「それでいい。その代わり前に進め」と言って貰えたようでホッとした。
感謝。
テルヲ、逝く…涙
「おまんは、ほんまにお月さんみたいやなあ」
テルヲは、そう言って千代を見送り、
その晩月明かりの下で息絶えます。
「月」
お母ちゃんとの思い出の月、千代にとっては母のメタファーでもある月。
テルヲにとっては千代のメタファーとなった。
母と千代は、「月」で重なる。
この流れすごいな…涙
月明かりの中で、テルヲは息を引き取りますが、臨終のテルヲの前には
千代とチビ千代の幻影が。
チビ千代は笑顔で。
千代は微笑みながら涙を流して。
千代との別れの日、
「うちがアンタを捨てたんや!」
と千代に言い捨てられたテルヲは、千代の背後で泣き崩れてました。
あの日はテルヲにとっても忘れられない、どれだけ償っても償いきれない後悔の日となってました。
千代を傷つけたことは、たとえ和解しようともそれで赦されるとは、テルヲも思っちゃいなかったんだね…涙
チビ千代と千代の幻影を見つめるテルヲ。
テルヲは千代の内面のぐちゃぐちゃまで実は理解してるのか。
自分でやらかしておきながら!とも思いますが…。
親ってそういうものなのかも。
自分も子育てしてる中で、振り返るとあの言い方はきっと傷つけたなあって思うエピソード、ちょいちょいあります。
どんなにいい親子関係でも、あるタイミングや構図では親の言動が毒になったりもする。
その毒は、間違いというより、その人自身でもあるし…なんか、上手く言うのが難しいけど。
自分が子供を傷つけたことについては、いつもごめんなさいという気持ちでいます。
何度でも謝るけど、だからって子供に許してもらおうとは思ってないなあと。
それが親ってものかもしれないねえ。
だからまたすれ違っちゃうのかもしれないけど…。
テルヲは千代と、チビ千代の幻影を見ながら涙を流しながら息を引き取ります。
こんな感じにテルヲみたいに、親は心の中では常に子供に懺悔し続けてるものなのかも…。
親子って、本来こんな感じで壮絶なもの。
そのリアルが千代とテルヲで見事に再現されていたと思う。
皆で弔い酒。
テルヲが逝った後、皆が千代と一平の家に押しかけて弔い酒。
壮絶なシーンの後でのこの、ほっこりして賑やかなシーンは癒し…。
そしてさらに涙を誘いますね。
ここで初めて、千代はテルヲの父親らしいエピソードを皆から聞きます。
これもそんなもんなんだろうなあ。
皮肉にも、親らしい温かさんんて、子供は直接には分からないものではないかなと。
実は、子供が見ている親像は、子供の時からの様々なコンプレックスでバイアスかかってて
真の親のパーソナリティは他人の方が良く見えてるものなのかも。
そして、そんな姿を知らされたときは、もう親はいない。
「地獄のテルヲはんに、乾杯!」
ってキョーレツなギャグもいい。
そしてその後、密かに密かに天を仰いで乾杯した千之助さん。
粋だなあ!
これぞ泣き笑いじゃん…。
千之助さんの真の優しさに涙。
ラストの千代と一平のキスシーン
ラストの、千代と一平がキスしようとすると、
テルヲの「あかーーーん!」
最後はテルヲの楽しい部分を思い出させてくれての締めくくり。
爽やかで可愛い終わり方で、ほっこり。
杉咲花ちゃんの、このシーンについてのコメント見ました。
実際キスするところは台本には無く。
演出さんと千代なら、テルヲに逆らって敢えてやるだろうと考えてキスをすることに。
一平役の成田さんには内緒でサプライズ。
確かにその方がオチが決まるし可愛くていい。
お昼にその意識で見たら、成田さんがビックリしてる!
あれ演技だけじゃなかったんだ。
照れてるのが、また可愛い。
その後、腕を組む千代も、一平も照れ笑いしてたけど、本当に照れてたのね。
可愛い。
眼福。
なんだかんだいってテルヲロスになっテルヲ!
ドラマの始めの頃、ダメー!見られないー!と思ってたテルヲですが、
いつの間にか、テルヲ耐性ができて
刺激材料にテルヲが欲しいなあと思うようになってきて笑
テルヲが出てくると、
キターーーーーーーッ!!
とワクワクするようになってた…笑
それはもちろんトータス松本さんの演技そのものもコミカルで面白かったからでもありますが。
でも、それだけではなく、テルヲの人生の裏も見えるようになっていたから。
私は、ヨシヲが迷子になった時に泣きわめいて探しているテルヲに、
ああこの人、サエさん亡くしてから絶望で壊れちゃったんだろうなあ、
当時の社会ではそういう弱い人たちを救う術がなくて闇に落ちて行っちゃったんだろうなあ…と思って涙。
そこからテルヲのことがただの悪、不快な存在ではなくなっていました。
プレミアムトークにトータス松本さんが出ていた時に、やはりトータスさんも、
過去に気持ちがズタズタになっちゃって立ち直れないままでいる人みたいにテルヲのことを言ってたから、
やっぱりそうなのねと思って見届けました。
その描かれていない部分を十分に感じられるようにトータスさん、見事に演じていたなあと。
そして可愛いし。
すごいバカだしwww
トータス松本さんだから、テルヲの魅力が何倍にも何十倍にも膨らんで最終的には愛されキャラになっていったんだと思うー。
トータス松本さん、俳優としても素晴らしいわ!
おかげでしばらくテルヲロスだわー。