一平はそう言って漆原の怒りを買い、漆畑は一平をボコボコに殴る。
漆原には辞めてほしくなかった。
でも新しい芝居に女形は要らない。
漆原には男役を演じてもらって一緒に新しい喜劇を作りたいと一平は思っていた。「頼むわ…」
一平は気絶してしまう。
再び千之助を失望させるのが怖いのではないかと…。
すると天晴と徳利が既に来ていた。
しかし千之助は全く。
笑いに卑怯も正々堂々も無い!とくすぐり攻撃に出るも、
「わし平気やねん。こちょこちょとか」
と全然。
一平は千之助の前に正座。
「お願いします俺の劇団に入ってください」
と頭を下げた。
千代たちも一同千之助の前に正座してお辞儀。
「俺はこの劇団を万太郎一座を超えて道頓堀一、いや日本一の喜劇一座にしたい」
「そのための新しい喜劇を一緒に作ってください。頼みます」
一平は深々と頭を下げた。
一平の瞼は腫れ上がりまるでお岩さん。
それを見た途端、千之助は笑い転げた。
皆の前で挨拶を始めようとする一平。
本当はもう一人いて欲しかった…と思っていると、
一人の背広姿の男性が。
髪を切り男役となった漆原だった。
「鶴亀家庭劇」
家族の皆が泣いて笑ってまた頑張ろうと思える芝居を作りたい。
一平自身は家庭を知らないが
「今日からここが俺の家庭や」
一平は、新しい喜劇を一緒に作ろうと皆に呼びかけた。
千之助から待ったが入る。
「おもろないんよな!いっこも!」
千之助は、一平の台本を放り投げ、却下。
別の脚本を持ってきた。
ベタだけどいい!!
もう、オチとしては、落ちるとこに落ちたって感じですよね。
セオリー通り。
でもそれがお見事!に決めてくれているのでスッキリ!
気持ちいいー!
あるあるだよって言う人もいるかもしれないけど、こういうのを見たいのよッとも思う。
漆原さん…!!涙!
一平は漆原さんをボロクソに言ってて、何を引き出したいのかなあ~と思ってましたが、
漆原さんの男を引き出したのね。
「できるやないか、男役」
と言い、一緒に新しい喜劇をやりたいんだと言いました。
なるほど、女形は終わり、一平にやる芝居には必要は無いけど演者としては漆原さんを欲しいと思ってる。
一平の漆原に辞めてほしいと言った意図はここにあった…。
このセリフの裏切り方、ウソの突き方…痺れたー!!
で、そう言われた漆原さん、すぐになびかず立ち去る。
これにも
ああ…やっぱり漆原さんには女形にこだわりがあるんだもんね。一平のご都合通りには動かないよねと思った。
これも漆原さんの生き様なんだろうとも…。
そしたら最後に…何このオチ!
漆原さん、女形卒業して男役になって現れたー!涙
一旦いなくなったのは、漆原さんが覚悟を決める時間と、髪切って背広作る時間のためだったのね!
「新しい劇団が上手く行くように…」
という漆原さんの伝言は、女形漆原の最後の言葉…。
もうこの裏切りが痛快でー!!
しかも、再登場がカーッコイイ!
帽子をパッと取ったときの、漆原さんたら…
キラキラのイケメンーーー!
うーん!カタルシス…!!!
こういうハッピーなオチ、大好きだよお…涙
漆原役の大川良太郎さん、初めて見ましたが、大阪の大衆演劇の役者さんなんですね!
いかにもそんな感じ。舞台向きの目鼻立ちのハッキリしたお顔立ち!
所作も美しく~!
大阪演劇界、層が厚いなあ~と感心。
千之助を笑わかすオチもお見事!
千之助も、とうとう笑いました。
一平、いままで千之助に対して臆病な部分があったけど、きちんと向き合いに来た。
そしてまっすぐに自分の気持ちを伝えてお願い。
「万太郎一座を超える道頓堀一、いや日本一の喜劇の一座を作りたい。そのための新しい喜劇を一緒に作ってください」
これがまた…天海さんが千之助さんを誘った言葉と重なる…涙。
ああ~来るよ来るよ~と思ってたけど、この来るよは欲しいんだよ!
ありがとう!もらったよ!
八津弘幸さん、見る側の気持ちを手玉に取るの上手いわwww
きちんと欲しさせて、最後にはその欲求をきちんと満たしてくれる。
しかもこれ聞いてる千之助さんの何とも言えない表情がねえ~。
回想シーンと重なって…涙涙よ。
でジーンとさせて、これでも十分なのにさ、一平の包帯!
お岩さんみたいな顔で、千之助はビックリして爆笑。
星田英利さんの笑い、すごいわー!
千代たちも一平の顔を初めて見てビックリ。
皆、爆笑!
この皆で笑う姿にもね…涙。
いろいろといささかいがあったり、気持ちのすれ違いが合ったりで揉めても、皆で大笑いすればどうでもよくなっちゃうものかも…。
笑いの力を見た…。
八津さんの脚本は、「○○ですよ!」ってわざわざ言ってないところに、何か深いメッセージが感じられるところがある。
ドラマの本筋とは関係ないような、ただの背景にも感じ取られて…それが心を揺さぶってくる。
昨日の福富で千代と一平がお茶してるシーンもそうだった。
楽器店として、繁盛している姿が、芝居茶屋は辞めちゃったんだ…っていうのが感じられて、どんどん時代は移り変わっていくのよねと…その賑わいもまた切なかったし。
『カチューシャの唄』のシーンもそう。
カフェーキネマでの月間ナンバーワン発表の紙吹雪のシーンもそうだった。
諸行無常。
ドラマのベースには常に諸行無常がある。
大笑いしても、大泣きしても、怒っても…それは瞬間瞬間のことでしかない。
いつか全てが消えてしまう。
ストーリーの運びがパワフルな分、その哀愁が際立つと言うか…。
おかげで心惹かれてしまうのです。
千之助さんの大爆笑。
これには、一平をボコボコにした漆原さんのお手柄でもあり。
そこもよくできてるー!
しかし千之助は脚本にダメ出し
これでホッ!いよいよ新劇団の稽古!
と思ったら千之助のダメ出し。
まあそらそうだろうね~一平はまだまだ若造だしね。
千之助にいろいろ学んだ方がいいわ。
にしても千之助さん、怖いから、来週もひともめなるんでしょうねえ~。
前途多難。
来週の内に芝居を打てるのだろうか…?
ちなみに、千代ちゃん、こんな一平のことを見てたら、で一緒にお芝居に取り組んだたら、好きに名ちゃうよねえ~と思った。