【おちょやん】感想ネタバレ 第44話 女形、岡安…新しい時代の波

『おちょやん』あらすじ(ネタバレ)第44話

一平は漆原を一座を辞めてほしいと言い出した。

一平は女役は緒方ではなく女に演じさせたいと。
一平はこれまでにない芝居を打ちたい。
万太郎一座と張り合うには新しい芝居を打ち出さなくてはいけない。
だから女形はいらない。

一平のつくりたい芝居はただ大笑いして劇場を出たら忘れてしまうような喜劇ではなく、お客さんが自分のことのように笑って泣いて明日も頑張ろうって思ってもらえるような喜劇。
歌舞伎やシェークスピアみたいに10年後も50年後も忘れられないような喜劇を作りたい。

「作り物の芝居を本物にするには女の役は女の人が演じなきゃあかんのです」

そして一平は漆原に男の役をやって欲しいとお願い。

しかし、漆原は怒って出て行く。

 

一平は鼻歌を歌い奈良道頓堀を歩いている。
ついていく千代。
千代は「辛いくせに鼻歌なんか歌うな!」と一平に怒鳴る。
「歌っていると楽しくなる。喜劇と一緒や」と口答えする一平。

口ゲンカになりそうなところで、福富の女将菊に店に入れと言われた。
向かい合う千代と一平。
一平は、岡安の話をはじめる。
富士子が岡安の台所事情を察してシズに暇を貰いに言ったが、シズはお茶子の面倒を見られなくなったときは岡安の暖簾を下ろす、岡安の最後を自分で看取ると覚悟を決めていた。だから最後までつきあってほしいと富士子に言ったと。

岡安は最後までお茶子を抱えると覚悟を決めたが、
一平は新しい喜劇を作るという夢をかなえるために漆原を切った。
一平はシズとは逆だと言う。

しかし覚悟を決めたのは同じだと千代は一平を励ました。

 

千之助は、一人酒を飲みながら。
万太郎一座の頃から天海天海との出会いにいたるまでを回想。

千太郎が万太郎一座を切られ、一人腐って酒を飲んでいた時に一緒に芝居をしようと声を掛けてくれたのが天海天海だった。

「わしを笑わかしてみ」
店に入ってくるなり天海が千之助に言うと、そこに地震が。
機転を利かした千太郎は、一緒に揺れたら揺れてるの分からないと揺れた。
天海も店の人間も揺れて大うけ。

「わしと一緒に喜劇を一緒にやらへんか。万太郎一座を超える道頓堀一、いや日本一の喜劇を」
天海天海は千之助を誘った。

しかし天海天海は志半ばで他界。

「息子まで面倒見切れんわ」
「もっと一緒に芝居がしたかった…」
千之助は涙。

 

一平たち以外とは芝居をしたくない漆原は道頓堀を去ろうとしていた。
するとそこに一平たちを探す千代たちが。

一平は漆原の話を聞いた女形仲間に絡まれていた。
漆原は仲裁に入る。
しかし一平は

「これからの芝居に女形はいらない」
「これからはどんどん女優が活躍するようになる」
「あんたは時代遅れのお払い箱や」

「もういっぺん言ってみいくそったれが!」
一平と漆原は殴り合いに…。

道頓堀も、芝居も移り変わる…15分で見事に凝縮

昨日はそろそろお芝居の稽古シーン見たいなあ~なんて呑気な事言ってましたが…
さすが、来ましたねー!グサグサ刺さる回!

芝居茶屋の衰退も、女形の需要は少なくなっていくことも、そして千之助さんのこれまでも。
時代の変化を、町、演劇界、役者の変遷を交錯させて見事に表現。

15分が見事につまってました~!
つまってるだけでなくて、なんか情緒もたっぷりで。

なんか…言葉がないほど見事。

なんだろうな~筆力があるというか、ギュッと詰まってるし、グイグイ引っ張るパワーもあるし。深いし。

ここで私なんかがあーだこーだ言うこともちっぽけなんだろうなと思ってしまうけど…。

変わりゆくもの、時代に乗れるもの、取り残されるもの…。
変化を好むもの、好まないもの…。
私たちは誰もが、自分の生まれ落ちた場所で時代で、その空気を取り込みながら、大なり小なりそれに乗るか、抗うか、止まるかして、そしてそれぞれの道筋が少しずつ違っていくのよねえ…それが人生…と…。

で、なんだか涙が出てしまう。

 

千之助さんと天海天海

千之助さんのこれまでも分かりましたねえ~。
この短い時間で、セリフも少ないのに事情が一発で分かりましたよ~。
でもこの千之助さんの回想シーン、すごい手の込んだ映像だった。

千之助さん、天海天海に言われた初めての言葉が
「わいを笑わかしてみい」
だったんだ…。

感慨深いわ。
千代ちゃんに対してもただいじってただけじゃなかったのね。
思い出の言葉。

「もっと一緒にお芝居したかった」
て泣き崩れた千之助さん…涙

お芝居って、その場その場のライブだから!
瞬間瞬間は二度と戻らない。
人生の瞬間瞬間も。
そんなことをいろいろとグルグルと反芻させられるすごい回想シーンだった…。

 

千代と一平は福富でお茶

千代と一平は福富の菊さんに言われて福富でお茶。

菊さん、岡安と犬猿の仲って言ってるけど、いい人ね~。
競合店ではあるけど、嫌いってわけじゃないのね。

一平は岡安の事情を千代に話しますが、菊さん始め福富の皆さん耳ダンボ。
やっぱり皆岡安心配してる。

岡安は最後まで芝居茶屋でありつづけることを覚悟。
一平は変わるために女形漆原さんを切る。

そんな話を、商売替えした福富で…というのも、なんか胸いっぱいになってしまった。

これからは女優が沢山出てくる

新派が出てから女性が舞台に立つようになってくるという流れは知っていましたが…なるほど女形の需要がなくなるということでもあったのね…そうまでは思いは至らなかった。
王道の歌舞伎は生き残るとしても、こういった小さな劇団は!
一平はそれを見越していたのね。

一平、ニュージャンル開拓に意欲を示していました。
歌舞伎もあり、従来の喜劇もあり…演劇界、あたらしいようで古いしきたりてきなものも多いからそれを乗り越えるのも大変そうですね。

パワフルで役者経験の浅い千代は、一平をサポートするいいポストなのかも。

 

一平は漆原に女形は終わりってボロクソ!
これは一平、漆原を奮起させるためにわざとけしかけてるんだよねえ~。
でもグダグダだから、そこにも迷いがあったりするんだろうなあ。
一平自身も、迷いや父親に対するコンプレックスも強いから、結局ひねくれてるだけなのかもwww
この一平のない混ぜな感じのキャラも面白いわ。