【おちょやん】感想ネタバレ 第20話 千代、岡安を出る

誰も居なくなった芝居小屋。
観客席から何もない舞台を見つめる千代に一平は礼を言う。
笑わかすだけが喜劇ではない、万太郎、千之助とは違う何かができるのではないかと。

千代も、これまで「なんで、うちが」と自分の境遇を恨み悔しくて仕方が無かったが楽しかった、よい思い出ができたと一平に礼を言った。

 

岡安では年季明けに女中にお祝いの贈り物をするのが習わし。
シズと宗助が何か欲しい物はないかと千代に聞くと、千代は「物やのうてもよろしいんやすか?」と。

千代が欲しいものは、岡安の家族と食事をすることだった。

「やっぱりアンタ、あほやろ!」
と呆れるみつえ。
しかし千代は、生まれてから家族と一緒にゆっくりとご飯を食べたことがなかったからと嬉しそう。今日は舞台に乗るハプニングもあり楽しいことばかかり。
そんな千代に、ハナは役者になれ、千代はいい役者になれると勧めた。

「お家さんにそないなこと言われたら、その気になってしまいますやんか。役者か…」

食事を終えた千代。
もう思い残すことは無いとお礼を言った。

 

夕方、借金取りがテルヲを伴って千代を引き取りに来た。
シズは千代の支度ができるまで奥の座敷に通し酒を出す。

 

岡安を出る支度を整えた千代。
そこにお茶子たちが来て逃げろと言い出す。
事情が分からず戸惑う千代。
これはシズのはからい。
最初から千代を逃がすつもりで考えていたのだ。
「なに、ごちゃごちゃ言ってる。行くで!」
みつえが来て千代を引っ張り出した。

みつえに手を引っ張られて道頓堀の街を走る千代。
「ほっとかれへんやろ。…友達としては」

「いとはん」から「みつえちゃん」に呼び方が変わる千代にみつえは
「みつえでええ!」
抱き合う千代とみつえ。
2人は初めて友情を確かめ合った。

そこの追手がやってきた。
みつえは船着き場にシズが待っているから行けと千代を送り出す。

みつえは仁王立ちになって追手を阻む…と思いきや、そこに乞食の皆さんが!
借金取りに抱きついて道を阻んだ。

千代が船着き場に着くとシズが。
千代は自分がいなくなったら大変なことになると岡安のことを心配すると、
「見くびりなはんな!」
とシズ。
そんなことでは岡安は潰れないから大丈夫だと言った。

そしてシズはこれからは自分のために生きろと言った。
「恩返ししたいならアンタが幸せになり。それがわての望みや」
そしてさらにこれは旅立ちだとも言った。
「だからしんどくなったらいつでも帰っておいで。アンタの家は岡安だと」

船に乗ると、船頭は乞食の小次郎さん。
「ウナギの恩は返さないと」
と小次郎は笑った。

「千代気張るんやで」
と言うシズに、千代はおおきにと何度も繰り返した。

 

岡安では借金取りとお茶子たちが睨み合い。
借金取りが今にも暴れそうなところにシズが戻ってきた。

「200円入ってます」
シズは封筒を出した。
2000円はどうせ利子が膨らんだもの、実質この程度だろうとウソを見破っていた。
この200円は道頓堀の皆が少しずつ出してくれたもの。
これ以上よそ者が調子乗ったらどうなるか分からない!
この前もよそから来たヤクザもんが道頓堀に浮かんでた。
「二度とこの街に足を踏み入れんこっちゃ!」

ビビったヤクザは貰うもん貰えたらいいと小さくなって帰って行った。

ヤクザが帰った途端、脱力のシズ。
全て芝居だった。

 

「なかなかのハマり約だしたなあ」
と言うハナにシズは
「ここは芝居の街だっせ!」
と笑った。

道頓堀を船に乗って行く千代。
途中、橋の上で一平がい降ろしていた。
千代は声を掛けようとしたが、芸子と行ってしまった。

川淵に咲く花を見つけて
「こないなどぶ川にも花は咲くねんな」

こうして千代は8年間過ごした道頓堀を後にした。

 

 

何もかもスッキリ!何もかも美しい!

シズさん、カッコいい!
これぞ篠原涼子!
ハケンの品格!
でもコレが見たいからー!
カタルシスー。

借金と取りに渡したお金200円は道頓堀皆様からのお金。

道頓堀を守る!という人々の意志の表れでもあり、千代ちゃんを守る思いも。
千代ちゃんは道頓堀の人々に愛されていたんだね…涙。

そしてこの200円に、道頓堀の人々のプライドも感じました。
それぞれのお店、一つ一つがきちんと独立して、自立して商いを行っていて、その気概のある人々の集合体が「道頓堀」なんだなあって。

「道頓堀」って有名な場所にお店があるから儲かってるんじゃなくて、お店一つ一つがきちんと良い商いやってる、その集合体だから道頓堀が盛り上がってるんだってこと…涙。

そして福富の菊さんもカッコイイ!
ウチの方が本家だって岡安にライバル心むき出しでも、こういういざという時には協力。
この気概がねえ!

そして乞食さんたち!
なるほどこういう形で協力とは!
乞食さんのユーモラスな絡み方に愛を感じる。

千代を逃がすときに、はお茶子たちも、乞食さんも、千代を取り巻く皆が協力。
そして千代の脱出計画は成功!

誰に対してもリスペクトがある。
登場人物皆への愛が生み出したのが本日のこの展開!

で、とどめに
「ここは芝居の街だっせ!」
だから!

道頓堀への愛に溢れてる!

痛快!
これぞドラマのカタルシス…!

そしてそんな興奮を癒すように道頓堀の灯りが優しく揺らめいて…。
何もかも、どもまでも美しい!!!

みつえとの友情も

みつえ、本当にいい子!
これまで照れくさくて仲良くできなかったんだね~。

みつえと千代の抱き合う姿にただただ涙。
そう、友達関係ってそんなものではないでしょうか。
お友達だからってベタベタしてないけど、その人のピンチの時は何としても助けたいと思う。

それが本当の友情。

みつえちゃん、不器用ではあるけど、その距離感素敵。
一見甘やかされたお嬢様に見えるのに、体張って…さすがシズの娘!

岡安の人たちは、本当に素敵な人たちだったのね…。

 

15分に見事に全てが詰まってた

本日も神回だったと思うー。

千代の脱出劇も見事。
お茶子さんたちも果敢に協力。
みつえとの友情も描かれて。
乞食さんたちの使い方も絶妙だし。

無事に船着き場に辿り着いた時のシズとのやりとりもグッときちゃう。
岡安を家族だと思って送り出しました。
冒頭の岡安の皆との食事シーンとも重なってジーンだし。

船を濃いでくれるのは小次郎さんだし!
もう乞食さん達可愛いし、素敵だよぉ!
実は道頓堀の癒しの存在なのよね、乞食さんたちは。

で、岡安に戻ってからのシズの啖呵はカッコイイ!
200円は道頓堀の皆の気持ち!
道頓堀、芝居の文化芸術は、暴力なんかに負けやしないよ!という強いメッセージ!

ああ…痺れるー。

で、とどめに一平!
橋の上から眺める一平!
そこで言葉交わさないところがまた粋な!

ああ…感動。

 

テルヲにも愛が…

橋の影?からテルヲ見ていました。

このドラマ、テルヲ強烈ですが、これは世の中の毒親代表って事なんだと思ってます。

このドラマはには毒親から解き放たれていいんだよ!というメッセージを送っている。
1人の人間として親や世間体に振り回されなくていいんだよ!
自分の道を自由に生きていいんだよという、
現代の、生きづらいさを感じる人々に送るメッセージでもある。

そんなドラマですが、ここにテルヲを登場させていました。
テルヲ、なんとも優しいせつない表情だった。
毒親ではあるが、毒親も悪気は無いのではというメッセージでもあるのでしょうね。
どこまでも、あらゆる方面に愛情を忘れない脚本。

とても信頼できる脚本だと思います。