【あぐり】感想ネタバレ第59話 勇造のお披露目会

『あぐり』感想ネタバレ 第59話

大正15年正月。
あぐりたちは東京で新年を迎えたが、エイスケの浮かない表情。
「お前たちの夢や身勝手が勇造の夢を潰した」
エイスケは健太郎の言葉を思い返していた。

光代も、健太郎が別れ際に「俺も古ぼけてきた」と寂しげに言った姿が忘れられない。

エイスケも光代も勇造のお披露目会に出席するが、あぐりのせっかくだからと言う提案で
皆で岡山に帰ることにした。

 

岡山でのお披露目会当日。
勇造のお披露目は滞りなく行われ宴もたけなわに。

健太郎を労う光代。
しかし、健太郎は新しく入った女中頭アキに声を掛けられると返事もそこそこにアキの方に行ってしまう。

お披露目会にはあぐりの母美佐も招待されていた。
美佐は、健太郎はいつか分かって下さるからあぐりに美容師になることを諦めないように励ました。
「あぐりはのいいところは何があっても前に向かって突き進んでいくところ」
美佐は、あぐりの父 晃の言葉をあぐりの言葉を贈った。

 

エイスケは勇造と二人で酒を飲みかわす。
エイスケは、勇造に技師を目指した方がよかったのでは?と聞く。
自分の方が望月家の半纏が似合うかもと言うと、
勇造はこれは俺自身が決めた事。半端な気持ちで半纏を羽織っていないと言う。

土木業はこれからどんどん変わって行くという勇造。
自分が勉強したいことをこの仕事に生かしたいと、勇造は思いを語った。

 

夜、光代が健太郎にお茶を入れると「熱いから飲まない」と健太郎はつれない。
光代も、戻ってきたわけではない明日には帰ると相変わらずの平行線。

するとそこに女中頭のアキが玉子酒を持ってきた。
熱い玉子酒を嬉しそうに飲む健太郎。

光代は磯辺にアキのことをいろいろと聞き出す。
健太郎が東京から戻ってきた後に望月家に勤める様になった。
よく気が利いて別嬪のアキに健太郎が惚れているようだと光代は知る。

翌朝、光代は用事が出来たと、暫く淳之介と岡山に残ると言い出した。

 


 

 

美佐さん、久々の登場

美佐さん、久しぶりにお会いできて嬉しい~。
相変わらずの天然な様子にホッとする。

美佐さん、あぐりに対して美容師を諦めるなと言ってくれました。
天然で不思議なところあるけど、だからこそですね。
こういう新しい考えがきちんと心に響いて理解できるのは。

しかし
「諦めちゃだめよ。いつかお義父様、分かって下さるわ」
としっかりと言うところ、美佐さん強いわ~。

あぐりと妹の女学校の学費の負担を望月家にお願いしてたんだから
普通の庶民なら、健太郎さんに負い目を感じてハラハラしそうなものだけど…
そこは美佐子さんはお嬢様育ち。
学費くらいの額でたじろいだりはしないのねwww(←払えなかったくせに笑)
向こうが学費を払うって言ってくれたんだから、それはそれなんだろうなあ。

そういうところがしたたかというか、図太いと言うか…。
その豪快さ、お嬢様気質なんでしょう。

そしてそのセンスがあぐりに引き継がれているんだなあとつくづく実感。

そして美佐さん、あぐりにお父様の言っていた言葉を再びプレゼント。
「あぐりのいいところは、何があっても前に向かって突き進んでいくところ」
この父からの言葉は、あぐりの根幹にしっかりとありますよね。

あぐりも美佐さんも、こころからお父様を慕っているということが分かる。
そして、ことあるごとにこのお父様の言葉が出ると、今お父様がいたらあぐりにどんな言葉を掛けてくれただろう~
と幸せ気分での想像を書きたてられます。

いい言葉。いいシーン。

 

 

望月家=家長制度の闇

エイスケはやっと勇造とさしで話をしましたねえ…。

エイスケ、いざ勇造が継いでくれるとなったら、負い目を感じているみたいですね。

望月家の半纏が自分の方が似合うかも?なんて軽口叩いていたのは、
直接的に自分の代わりになってくれたことにお礼や謝罪を言いづらいからでしょうね。

ああやってかまかけて、勇造に、本音をぶちまけて欲しかったんだろうなあ。

ただ、勇造は自分なりの夢を望月組に見つけたみたいですね。

自動車技師になりたいという勇造の方が、小説家志望のエイスケさんよりも少しは土木業に近いんだろうなあとは思う。
まあ工学系の技術者志望としては、
当時自動車が最先端で最もカッコイイ職業だったんでしょうけど
土木だって、橋や道路や鉄道や…最先端の建築技術が必要となるわけで勇造さんにとってはつまらない仕事でもないんじゃない?
と思います。

でも、今日の話によると、まだ当時の土木業はそんなに技術を要するものだという認識はなかった様子。
そうするとただの肉体労働、泥臭いお仕事として、東京の大学を受けようとまでする勇造さんも敬遠したい職業。

でもそれを家を守る!という一心で望月組の跡取りを買って出た勇造は、本当にイケメン!
そして、この勇造さんの先見の明が、新しい技術をどんどん採用して、現代に通じる「建築業」として望月組を立派に反映させていくことになるのかも…!!!

勇造さんの今後の人生を心から応援するわー!!!

勇造さんは、エイスケさんとは対照的に、従来のしきたりやしがらみを受け入れながら、その中でこれまでにない新しい物を切り開く人になるんだろう~!!

勇造さん、エイスケの弟として貧乏くじ引いちゃう可哀想な存在と同情してましたが
それだけじゃ済まないのね!

私の中で、いきなり勇造さんの株が爆上がりーーーっ!

 

ただ、残念ながらエイスケさんと勇造さんは兄弟としての本音トークはできないまま。

これ家長制度の弊害だよなああ。
「人」より「家」が当時の文化だから仕方が無いけど…。
そのタブーを冒す発言が許されないから、エイスケさんは東京に行ったきり勝手に文士の道を目指すことになったわけで…。

家族がもっと「人」を大切にして普段から心を許して会話することができれば
エイスケさんがどういった経緯で文士を目指すことになったかもよく理解できて
後継ぎを強要することもなかっただろうに…。

ちょうど大正時代は、こういった「家」か「人」かの価値観の境目ではあるんだろうけど…。
お父さんはエライ!とか言ってないで話し合いが大切ですねとつくづく。

 

野村萬斎さんの表情が秀逸。惹きつけられる

エイスケさん、とうとうヘラヘラ~が無くなってしまいましたが、
野村萬斎さんの表情がいい!

普段からエイスケさんのあっからかーんとした笑顔に救われるところがありました。
昨日、一昨日のカフェ・セ・ラ・ヴィでのドタバタのときも
周囲の焦りを顧みないヘラヘラ~に救われて。

さらに昨日の、光代さんと健太郎さんの激しい夫婦の言い合いのとき
それぞれの言い分を聞いては
「ホオー!」
「出たー!」
「ウッキャッキャー!」
と面白そう~反応していた様子がおっかしくておかしくて、
あのバトルシーンを滑稽に仕上げてました~。

さすが狂言師!

そんなおちゃらけたエイスケさんも勇造さんのことを突き付けられると表情が変わった。

このエイスケさんの内面に隠された迷いやら、負い目やらがフッと現れるときの
その瞬間の表情の変化も見もの。
おかげでエイスケさんが画面に出ていると、ついエイスケさんはどんな心境なんだろう?
とエイスケさんの表情を覗き見してしまっています。

勇造が襲名すると決まった後のエイスケさんはなんとも浮かない表情で…。
自由を求めて、反発して反発してここまでやってきたけど
いざ解き放たれると、罪悪感が大きく残る、その複雑な心境を良く表しているなと思う。

野村萬斎さん、このドラマで一般的には知られるようになりメディア的にブレークしたそうですが
なるほどと納得しながら見ています。

 

 

光代さんと健太郎さんの中は

健太郎さん、光代さんが帰ってっこない。
寂しい、生活がままならないとなると…気の利く女中頭にぞっこん。

これもテッパン(笑)
そして、まだ90年代もこのパターンが当たり前の流れですね。
男って、自分自身で生活できるようになろうと思わんのか!爆

これも夫婦関係は、こういうもの!と決めつけたも役割、主従関係にがんじがらめになっている結果ですよね…。

健太郎さんも感情的になっちゃってるから仕方ないけど
光代さんが今後の人生どう考えているのかをきちんと聞いて、
どういう夫婦になりたいのかを2人で話さないとね~。

なのに、光代さんが思い通りにならないからって拗ねたままで、じゃあ他の女って…
解決にならないよねー。

でも、こじれていく夫婦関係っていつでもどこでもそんなもんかもしれないなあとも。
お互いが近い存在過ぎて、かえって面と向かって腹を割って話し合えなくて。
お互いが近い存在過ぎて、自分の思っていることが分かるはずだと思い過ぎちゃって…。

話し合いって必要だよねえ~。

江戸時代は、身分制度があり、家長制度が当然のものとなっていたけど、
大正時代に入り、デモクラシーが入ってくると、それぞれの立場で考え方が多様になって…
「○○のはずだ!」が通用しなくなるんだなあ~。

令和の時代に生きる我々も心柔らかくしていないと大変なことになりますね…。