【あぐり】感想ネタバレ第58話 健太郎の背中

『あぐり』あらすじ(ネタバレ)第58話

カフェ・セ・ラ・ヴィの2階ではあぐりが健太郎と口論。
奉公は辞めろと言う健太郎に、お義父様は美容師の仕事を勘違いしていると反論するあぐり。

1階ではエイスケが女性と一緒にいる。
光代はこんなところをあぐりに見られたらどうするのかとエイスケを咎める。

そんなところ、いつの間にか淳之介が2階に上がってしまい、
健太郎と光代が顔を合わせてしまった。

 

あぐり、光代、健太郎、エイスケは1階で話し合い。
カウンターでは世津子たちが固唾をのんで見守っている。

それぞれ忙しい、東京には東京の暮らしがあるんだから話があるならサッサと済ませてほしいとキツイ口調で言う光代。

健太郎は勇造が望月組を継ぐと言い出したことを告げ、
エイスケに本当にそれでいいのかと確認。
エイスケは勇造の人生だから勇造が選んだならいいと答える。

すると健太郎は、勇造が自分から後を継ぐと言ってくれたのは嬉しいが、自動車の技師になりたい勇造の夢を知っている健太郎は勇造が気の毒で仕方が無いと言う。

そして健太郎は再度、エイスケに望月組を継ぐ意志は無いのかと確認。
「頼む。もう一度考えてくれ」

「悪いけど僕にも夢があります」
エイスケは答えた。

「どいつもこいつも身勝手じゃ!」
吐き捨てるように健太郎が言うと、
「身勝手は旦那も同じだよね」
墓石屋の佐々木が口を挟んだ。

子どもには子どもの人生。
親の思い通りに行かないからって怒っちゃいけない。

子どもが親の言いなりにならないのは世の常。
それよりも自分の人生を考えた方がいいと言う佐々木。

世津子も、佐々木の言う通り、今は健太郎は自分と光代のことを考えるべきだと声を掛けた。

しかし健太郎と光代は平行線。

エイスケはそもそも光代が出てきた理由を聞きたいとちょっかいを出す。
「改まると言いにくいなあ…」
と言いつつ、「あなたはいつも身勝手なのです!」と
20年前のお伊勢参りの旅行から遡り愚痴を言い始めた。
健太郎は、いつでも光の楽しみを病気やケガで台無しにすると爆発。

さらにエイスケが生まれた時には健太郎は遊郭にいたとも暴露。
世津子とチェリーは必死に光代に同調。

森たちは「夫婦喧嘩は犬も食わないとはねえ~」と聞きながら苦笑。

光代と健太郎はお互い全く寄り合わない。

すると佐々木が、どんなに夫婦でいがみ合っても最後は同じ墓に入る。
どんな夫婦でも骨壺が2つ並べば仲良さそうに見える。
でも生きているうちに仲良くした方がいいとアドバイス。

「もうええ」
健太郎はお前たちの考えはよく分かった皆勝手にすればいい、わしは知らんと言った。

お前たちのそういう夢や身勝手が勇造の夢を潰したのだと言い席を立った。
そして年明けには勇造のお披露目には主席して欲しいと伝えて出て行った。

健太郎の忘れた帽子を渡しに外に出た光代。
歳のせいか最近涙もろくなったという健太郎。
「古ぼけたな」
そして光代にも無理をしないように言って立ち去った。

燐太郎は、健太郎の背中が小さくなっていたと話す。
そして関東大震災の時に会った時と同じ背中だと。
エイスケを捜しに岡山から来てもうダメだと諦め帰る時の背中も今日の背中のように小さくなっていたとても寂しそうだったと。

「お父様可哀想。…ごめんなさい」
あぐりは、実の父のように慕っていた健太郎が肩を落として寂しく帰って行ったことがどうしようもなく悲しかった。

昨日に引き続きのウェルメイド・プレイ

昨日は精巧な笑いの芝居。
それを大物俳優が勢揃いでやっていることに感動でしたが
今日も引き続きの会話劇が楽しくていいなあ~!

昨日、イギリスの舞台劇にこんな感じのあって好きだったなあ~と言いましたが
ウェルメイド・プレイというジャンルのお芝居でした。
ノエル・カワードとかのお芝居で。
1920~30年代とかのアールデコの時代のもの。
ハイソでお洒落な登場人物が、繰り広げるコミカルなお芝居で
セリフがウィットに富んでいて掛け合い芝居が面白い。

ちょうどあぐりの時代にピッタリとマッチしているし、
モダンでハイソなあぐりの登場人物たちのイメージともマッチしていて
なるほどだからウェルメイド!と。

なるほどー!

 

健太郎さんと光代さんは平行線

90年代のあたりから、「熟年離婚」という言葉が出て来て
これまで「亭主関白」があたりまえの夫婦関係からちょっと考え直しに入って来た頃ですよね。

健太郎さんと光代さんの平行線、光代さんのぶちまけは
当時の子育てが終わった頃の奥様方の気持ちを代弁したセリフでしょうねえー!
きっと共感を得ていたんだろなあ~。

光代さんは健太郎さんに対して「身勝手!」と怒ってますが
いざ語ってみてよと言われると口ごもるの、分かるー可愛い。

そして言い始まったら20年も前のしょーもない話からって言うのも…www
あるある…(笑)
いかにも夫婦喧嘩は犬も食わないで…上手い。

健太郎さんも、感情的に「うるさい!」オンリーみたいな感じも
いかにも、この時代の亭主関白夫って感じで面白いわ~。

 

後継ぎ問題は深刻

墓石屋の佐々木さんが、なかなかいいことを言ってくれてましたねえ。

子供には子供の人生がある。

骨壺になって並ぶとどんな仲の夫婦でも仲良さそうに見えるけど生きてるときに仲良くしてないとダメよ。
なるほど。

大正時代にしては佐々木さん、理解ありますね。

ただ…健太郎さんとしては、望月組の存続を考えないとだから…大変。
佐々木さんは墓石屋の後継者はどうするつもりでいるのかしら?
それを御大に教えてあげたらどうかと思うわ。

子供が後継ぐしか方法が無いと思い込んでるから行き詰まっちゃうんだろうから…。

ただ健太郎さんが、勇造の思いに不憫だと思うところは優しいお父さんの気持ちは分かる。

でもだからって勇造の決断はエイスケ達の身勝手の犠牲の上とされるのは、なんかちょっと…。
勇造に継がせてはならないとエイスケさんに押し付けるのも、エイスケさんを犠牲にすることよだよー。

でもアレ?おかしいと思うのも令和の今だからですよね、きっと。

何があっても長男であるエイスケが継ぐべきと考えるから。

家長制度って、大変。
長男が跡取りとして、その家の全権を握っているけど、その反面自分自身の人生を犠牲にしているという…。

ああ大変。
健太郎さんも発想の切り替えが欲しいところ…。

 

健太郎さんの寂しい背中

プンスカ怒ってた健太郎さんも、いざ帰るとなると弱気で…。

ちょっとかわいそうになってしまう。
確かに親子でも価値観が違ってしまっているし、見ている世界が違うしで分かり合えないようになってしまっているんですよね…。

自分の人生、やりたいことを精一杯やりたいけど、それはイコール親を傷つけることになる。
辛いけど、これが親を乗り越えていくということの一つでもある…。

自立すること。
親を超えること。
夢を叶えること。

わくわくキラキラだけでなく
慕っていた先人を切り捨てる部分もあるのよねえ…とも考えさせれられる。