【あぐり】感想ネタバレ第102話 エイスケ、淳之介たちと未来を語る

『あぐり』あらすじ(ネタバレ)第102話

編集者がエイスケに原稿を差し戻した。
これではまるでプロレタリア文学。
編集者がもとめているのは自由奔放に男女の恋愛を描く望月エイスケの世界。

「人の不幸の上に成り立つ自由なんて、くそくらえだ!」
エイスケは編集者の目の前で原稿を破り捨ててしまう。

 

婦人現代の最終号ができ、民子があぐりの元に最終号を届けに来た。
民子の夫五十嵐の葬式には呼んでもらえなかったと言う。
民子は正式に五十嵐の家から離縁された。

民子は岡山に帰ることに決めた。
燐太郎のことはやはり好きだが、今は人を愛する自信が無い。
しかし自分のやりたい事も見えてきた。
これから何をするのがいいのか一度岡山に帰って考えると言う民子。

やりたいことは何かはまだ秘密。
翌日には岡山に帰ることに決めた。

「今度会う時はあぐりみたいにちゃんと自分の足で歩ける女になってるから」
民子は笑顔で別れを告げた。

 

書斎でエイスケを囲む淳之介とその友達たち。
エイスケは、未来を予言した新聞記事を淳之介たちに読んでみせる。
その記事には
電話は線が無くなる。
遠距離写真が発明され東京の新聞社は編集局にいながらその状況を写真で見ることができる。
しかもその写真は天然色。
鉄道は早くなり東京から神戸を2時間半で行けるようになる。
「君たちが大人になる頃には人が人として自由に生きられる時代が来るさ。
今のようにがんじがらめの社会じゃなくてね。
君たちの時代は素晴らしいぞ!」

そしてエイスケは皆で未来を語った記念に皆の写真を撮った。

 

翌朝あぐり美容室にパーマを否定する嫌がらせの貼り紙がベタベタと貼り付けられていた。
一部の人たちによって繰り広げられてきた反パーマネントキャンペーンはこの頃より激しくなってきていた。
「外国かぶれ。恥を知れ」の貼り紙を見てエイスケは、激しく憤り貼り紙を破り捨てた。
珍しくく感情を露わにしたエイスケにあぐりは驚く。

「エイスケは怒ってるんだよ。この世の中に」
最近エイスケの作風が代わって来たと言う燐太郎。
これまで書こうともしなかった社会的に抑圧されてきた人間ばかりを書くようになった。
エイスケは世津子や森が追われたことが大きく影響しているようだ。

貼り紙を破り捨てて以来、姿を見せなかったエイスケが1週間後ふと戻ってきた。
エイスケは沢山の洋服を選んで弟子たちにプレゼント。
そしてあぐりには翌日の休みに箱根へのドライブをプレゼント。

その頃、宮大工になると言う安吉が、これから修行先の新潟に立つと淳之介に別れを言いに来た。
安吉は出発する前にエイスケに聞きたいことがあって訪ねに来た。
安吉は、未来の予言で何もかもが機械化され便利になるなら宮大工は要らなくなるのではと心配していた。
淳之介はかならずエイスケに質問して答えを手紙に書いて送ると約束。
そしてこの前撮ったの写真を淳之介は安吉に渡した。
「僕たちはずっと友達だぞ」

箱根に着いたエイスケとあぐり。
「あの雲はどこへ行くんだ?」
「それは風が決めることだから」
以前のようにあぐりが答えると

「風は気紛れだな。あっちに吹いたりこっちに吹いたりだ」
エイスケの寂しげな表情にあぐりは驚く。

その晩、淳之介は安吉からの伝言をエイスケに伝える。
未来になって何もかも機械で作られるようになったら寺や神社も機械で作られるようになるのか。
そうしたら宮大工は要らなくなるのではないか。

「いなくならないよ」
どんなに世の中が便利になっても人間にしかできないことが必ずある。
どんなに優れた機械でも人の愛には勝てない。
人間はそのくらい素晴らしい。
エイスケはそう安吉に伝えてほしいと淳之介に言った。

その翌日、新聞記事にエイスケが筆を折る?との記事が。
エイスケはこの混とんとした時代の文壇も自らの生きる場所を失いつつあった…。

民子、岡山へ帰ると決意

民子岡山に帰ることを決意。
やりたい事が見えてきたから、これから何をするべきかゆっくり岡山で考えてみると。

いかにも90年代好みの結末ですねえ~。
自分も含めてちょっと考えたいとか思ってたよ。
男女雇用均等法が施行されて10年ちょい経ったところで
当時は世の中の女性が男性社会で働くことに疑問を持ち始めたところだったと思う。
今考えると、「男社会」と女性が入ってきてもガッツリやり方変えないままで価値観を押し付けてた方がおかしくて
そのことに対して憤るべきだったんだけど。
でもそのときはちょっと考え直したいって素直に思ってたわ。

民子、何かというとすぐに恋愛に活路を求めるタイプなので、落ちついて考えてみるとなったのはよかったこと。

ちなみに燐太郎さんのこと、好きっていってたけど…そんなんだ!
私はてっきり、居場所の無い夫との結婚生活の不満のはけ口にしただけだと思ってたんだけど…。
まあどっちにしても帰るからいいか。

ただ…岡山に帰って落ち着いて考えられるだろうかと疑問。
あの理不尽で封建的な父親の元だもんねえ。
岡山と地方都市だし大人の頭も固い。
離縁されて出戻って来た娘となれば恥さらしの扱いだろうし
やりたいことの自由も得られない可能性も大。

まあ戦争になる未来を知っているこっちとしては東京に一人で残るのも心配だけど…。

民子のやりたいことって何だろうか?
戦後に再び東京に出てきてそのときに分かる?
一応楽しみに。
そのときにはうざい民子でないだろうしwww

 

エイスケさん、少年たちと未来を語る

エイスケさんの書斎はネバーランドですねえ。
子供たちは様々な国の衣装を身にまとい、彼らのまだ見ぬ広い世界を見せて貰える場所なのねえ。
ワクワク。

新聞記事の未来予想を元に未来を語るエイスケさんと少年たち。
いいシーンです~。

エイスケさんも自由を求めて突き進んだ、少年そのものですよね。
少年が次代の少年に夢を託して語る。
ただその少年は自身の中に限界も感じていて…。

爽やかでもあり、切なくもあり…。

 

安吉君との別れ

安吉君はとうとう新潟へ。
安吉くん、すごーーーーくいい子で好きだったから寂しい。

旅立つ前にエイスケさんに質問。
全てが機械化してしまうと宮大工は必要なくなるのか?

それに対してエイスケさんは
どんなに便利になっても人間しかできない仕事がある。
どんなに機会が優れていても人の愛には勝てない。

いい言葉。
相変わらず、今の社会でも未だに問いかけられ反芻している言葉ですね。
この予言がすっかり実現して、さらに先に突き進もうとしている現在も。
エイスケさんが記事を読み上げている昭和初期はもちろん
97年代の物事がOA化されつつあった当時も。
そしてIT化が進む令和の今も。
文明が進化する限り、この問いかけは繰り返されるのかもねぇ。

そしてエイスケさんはこの言葉を自分にも反芻しているんでしょうねえ。
世の中が厳しい状況に向かう中、それでも心の自由は失われないことを信じて。

来週のタイトルは「エイスケ死す」。
エイスケさんに残された時間が無いことを知ってしまったので
なおさらこのエイスケさんの気持ちがせつない…。

安吉君、別れるときに泣いていましたね…。
淳之介は、とっさに皆で撮った写真んを安吉君にプレゼント。
「僕たちはずっと友達だよ」
と永遠の友情を誓う。
ちなみにこの写真いい写真だから焼き増ししてメンバー全員にあげてほしいよ。
焼き増しってこの時代できるの?
是非お願いしたいよ。

安吉くんは旅立ち、淳之介たちは中学へ。
少年期の終わり。

子供たちのストーリーは爽やかで甘酸っぱくて泣けたなあ。
楽しい1週間でした。

来週からは、エイスケさんが亡くなり戦争へ。
いよいよ暗いパートの始まり。
覚悟して見ないと…。