【あぐり】感想ネタバレ エイスケさん筆を折る!?

『あぐり』あらすじ(ネタバレ)第103話

昭和13年(1938年)春。
昭和12年に勃発日中戦争が長期化。
その影響は国民生活にも及んだ。
贅沢、華美を戒める風潮が強まり、
昭和13年の1月には警視庁から美容院業界に対して
「パーマネントを自粛するように」という通告がなされた。

町内会の者にパーマネントの営業をやめるよう勧告を受けるあぐり美容室。
その一方でエイスケは小説を書くのを辞め、株の売買で派手に儲け、豪華な車を買ったりと羽振りがいい。

父親が小説家であることを密かに誇りとしていた淳之介はエイスケが筆を折ったことは相当なショックだった。

エイスケが株にのめり込んでいるという噂はカフェ・セ・ラ・ヴィにも入っていた。
蛎殻町に事務所を開いて相当派手に売り買いしているらしい。
株の世界は当たっている時はいいが一つ間違えると大変…。

燐太郎はエイスケに、なぜ小説を書かないのかと訪ねた。
燐太郎は、世津子が別れ際に言った「いいものを書き続けて」という願いを肝に銘じて今も細々と書き続けている。
いつか自由な時代が戻ってくる。
そのときに世津子や森に合わせる顔があるのかと燐太郎はエイスケに訴える。
しかしエイスケは聞く耳持たず。
「お前が小説を捨てるなら、もうここへは来るな!世っちゃんに対する侮辱だ」
さすがの燐太郎も声を荒げたが、
エイスケは無言で去って行った。

 

あぐり美容院にはまたパーマネントをやめようと書かれた貼り紙が。
街ではパーマネントを敵視した言葉を歌にして歌う者も出てきていた。

その日の午後、かつての先輩である時子が訪ねてきた。
時子の店も嫌がらせにあっていた。
大阪の新聞ではパーマネント自粛型の髪型を紹介したり
神戸の博士は「水豆良い」という平安時代以前の髪型を紹介したりと明らかに時代に逆行。

チェリーはパーマネントが目立たない髪型を発表するらしい。
チェリーはどんな時代でも女性は美しくあるべきと信念を貫こうとしている様子。

パーマネントの自粛運動でお客がさっぱり。
そんな中、女流作家の平山真佐子が来店しパーマネントをリクエスト。
驚くあぐりたち。
真佐子は思いっきりチリチリのパーマネントを掛けて、「パーマネントを掛けましょう」と歌いながら銀座を歩いて挙げるわと笑顔で言った。
「警察が女の髪型に介入するなんて馬鹿げてるわよ」
真佐子の言葉に励まされるあぐり。

 

その晩、エイスケが酔っ払い上機嫌で帰って来た。
淳之介はエイスケを避けるように自分の部屋へ。
光代はエイスケに小説はどうするのかと聞くとエイスケは「やめました」と。
光代は株やなんてやるなら望月組を継げばよかったと嘆くが
「人生いろいろありますからねえ」
とエイスケははぐらかしてそのまま居眠り。

あぐりはエイスケに小説を書いて欲しいと訴えた。
パーマネントを国賊のように言われている自分もエイスケと同じ。
自由に自分を表現できない時代に自分の夢を怪我されたくないエイスケの気持ちはよく分かる。

しかし、そんな自分のためにわざわざパーマネントをかけにきて応援してくれるお客様がいる。
エイスケにも応援してくれる読者や仲間がいる。
そんな人たちに応えるためにも書き続けてほしい。

あぐりは何があってもパーマネントを捨てないことにきめた。
エイスケにも小説を続けてほしい。
エイスケの心の穴はお金では埋められない、書くことでしか埋められないのだとあぐりは訴えた。

「珍しくシリアスですね。今日のあぐりさんは」

あぐりの熱弁もむなしく、その後エイスケが筆を持つことは無かった。
時分にはエイスケの心の穴を埋めてやることはできないと痛感したあぐりだった。

パーマネント自粛勧告

先週の子供たちの爽やかストーリーは終わり、とうとう戦争へ…。

戦争の長期化から国民の意識は「我慢」、「贅沢は禁止」にスイッチオン。
で、パーマネントはやり玉…。

これ、今とつくづく重なりますねえ。
日本人って、今も昔も、こういう流れになると自分から自粛していくものなのね…。
今のコロナ禍のマスク警察もそうだし。
危険を感じていろいろ言われる前に気が付いて、自主的に行動を控えるというのはいいのですが
そのままエスカレートして同調圧力になってしまう…。

日本人は農耕民族だからか?
暴動が起きない代わりにそっち方面に危険。

しかしこれまでのデモクラシーの時代、ハイカラさんの時代からよくまあ見事に切り替えるなあとも驚き。

あぐりさんたち美容業界は本当に大変だったろうなあと思います。

吉行あぐりさんご自身は心底サッパリした性格のようで
原作「梅桃が実るとき」には、お客様が少なくなったけど要望がある限りと続けていたと淡々と書かれていただけでしたが、
実情はコレだったんだよね…。
かなり動揺しただろうし、大変だったろうと今回見ていて実感しました。
あぐりさん、どこまでサッパリしてるんだかwww

しかし神戸の博士が提唱したパーマネントをやめて「水豆良い」って…汗
あれは厩戸聖子じゃんか!爆

なーんか本末転倒と言うか…そもそもそんなことで揉めてる場合かと…。
いつの時代もなんか違うというところで議論に花が咲く物なんだなwww

誰もかれも危機を直視したくないがための代償行為というのか…。

 

困難の中、あぐりはパーマネントを続けると決意

吉行和子さん、幼少期は喘息で大変だったようですねぇ。
そんな幼い和子ちゃんが出てきたと思ったら、
その次は大人のリアル和子さんがご出演。
この流れいいなあ~!

パーマネントを諦めなければならないのかと戸惑っていたあぐりのところに
吉行和子さん演じる女流作家の平山真佐子さんがやってきてパーマを所望。
ちりちりにパーマをかけて銀座を歩いてやる!と笑って言って励ましてくれました。
カッコイイ。
さすが女流作家。

この役を吉行和子さんがやるっていうのがまた素敵!
自分のママを勇気づけてる…!!
いいセンスしてる~。

あぐりの大らかさ、素直さはそのまま強さになってますね。
こういったポリシーある平山真佐子さんがお得意様になってくれて困難にあるときも励ましてくれる。
その気持ちを素直に受け取りエネルギーにして立ち続けることができる。

素直さって大切だなあとつくづく思います。

 

エイスケさんは株で大儲け

エイスケさん、筆を折っちゃったんですねえ。

原作ではただ「エイスケさんはその頃はもう筆を折っていて」と淡々と書かれていただけでした。
あぐりさん自身エイスケさんが筆を折ったことにそんなに悲しんでない様子でしたけど
戦時下では物を書けなくなってしまったということだったんですね。

まああぐりさんのサバサバ性格と、あの時代の女性の謙虚さからエイスケさんの内面については敢えて詳しく書かなかったということもあるでしょうが。

でも私の読みが浅かったのかもしれないけど、エイスケさんはサクッと商替えしちゃったくらいのイメージでした。
あぐりの美容室の経営そのものは当初からエイスケさんに任せていて
エイスケさんは経営に興味を持ちその流れで投資会社も作ったのかなあ~くらいなもので。
時代も時代だから書くのはバカバカしくなって一旦辞めてたのかなあくらいな感じ。

もし長生きして戦後を迎えたら復活したのでは…涙

 

あぐりがエイスケさんに説教するシーン、印象的でした。
エイスケさん、あぐりと違ってすごーーーく繊細でクヨクヨなのよねえ。

エイスケさんの気持ち、エイスケさんの目にポチっと光る涙の粒で痛いように分かった。
苦しいんだよねえ…。

あぐりの気持ちは分かるけど、
確かにこうなるとエイスケさんにとってはあぐりは強すぎて素晴らし過ぎるんだろうなあ。
エイスケさんの孤独は深まる…。

エイスケさん、いつか自由な世に戻ることをを信じて、その場で出版されなくても構わないから書き続けてればいいのに…と思うけど…燐太郎みたいに。
実際に花子さんも密かに書き溜めてたんだもんねえ…。
実際に隠密に書き続ける文士も多かったと思うんだけど
繊細過ぎるエイスケさんにはそれはムリだったのかなあ。

エイスケさん、難しい役どころだけど野村萬斎さんやっぱり見事に演じてらっしゃいますよねえ。
ぶっ飛んだところも、繊細さも…相反するものが見事に融合してきちんと一人の人物になってる。
しかも斬新で魅力的なキャラに。

とはいえ、実際にこんなにクヨクヨした旦那だったら…めんどくせーーーっ!www

ただ繊細クヨクヨならまだいいけど、そのはけ口に株やったり浪費したり女作ったり…私ならやっぱり無理だわ笑