金曜10時の『透明なゆりかご』、ビデオに取ってあったものを遅ればせながら見ました。
第1話は途中から。第2話は見逃して、しまったと!どうにか再放送で録画した第3話。
内容は、田畑智子さんが妊婦で、すっごくイライラ、触れればナイフみたいに尖がっている妊婦さんで、主人公アオイはめちゃめちゃ当たられるんだけど…
なぜ田畑さん演じる妊婦さんが怖いかって言うと、
ご主人様が盲腸の手術後、稀に起こるトラブルでこん睡状態に陥っていて命が危うい状態だったから。
医療ミスとも言えず、誰にも怒りをぶつけられない悔しさ、やるせなさ、絶望感と夫を失う哀しみ、将来への不安で一杯一杯になっているからでした。
このドラマは、人の生死にかかわるテーマ、非常に重いテーマを取り扱っていますが、実に繊細に丁寧に描かれていて、すごく悲しいことが描かれているのだけれど、だからといってただ涙涙涙なのではなく、どこか優しく包まれているような安心感がある。
見ていて、怖い、哀しい感情だけで終るのではなく、次につながる何かがあります。
命について自分なりに考えたいと思える、学びのある作品です。
そして思いやりに溢れていて不思議に温かい気持ちにもなる。
脚本の方をはじめスタッフの皆さまが、真摯な姿勢で、生きることや命について、まっすぐに見つめて取り組んでいるからかな。その気持ちがきちんと伝わるのかなと。
ナナコロビヤオキは気が付いたら涙が溢れて止まらくなっていました…。
以降の3話分もビデオ録画してありますが、泣けて泣けて、心が震えてしまって…そういう意味で以降を連続で見られなかったです。
この静かな感動を心の中でしばらく噛みしめていたくて。
妊婦の田畑さんの演技と言い、ヒロインアオイとのぶつかりあいといい、素晴らしかったし。
ナナコロビヤオキもヒロインアオイと共に学び、反省しました。
こういったイライラと怒りを露わにする人も、その背後にはいろいろな事情があるのかもしれないなと。その態度だけで単純にその人を責めるのは安易なのだろうなあ~と。
映像も美しい。
どこか懐かしい情景を眺めているような感じもします。
そして何より、ヒロインの清原果耶さんの透明感と繊細な演技が素晴らしい。
清原さん、あさが来たでふゆやってたよね。
あのときも可愛らしかったけど、女優として見事に成長されてますね。
こんな、比べた言い方したくないけど、『半分、青い。』とは大違いだよ…。
同じNHKで制作しているとは思えないレベルの違いです。
このレベルのクオリティを求めているから、普段朝ドラを見ているんだけどなあ…。
田畑さん演じる妊婦さんの旦那様の臨終のシーンで、赤ちゃんをご主人の横に置いて、田畑さんと三人の顔が並びますが、もう、これだけで十分!涙。
余計なセリフなんて必要無い。突飛な動きなんか全く無くても、いろいろな思いが感じ取られて胸が一杯になって涙ボロボロでした。
こういった脚本を演じられて、俳優さんたちも誇らしく幸せだろうなあと思います。
こんなシーンでも、ホント、ただ見世物的にカワイソー涙涙で終わっちゃうのではなく、はたまた説教臭くもないのに、こちらは素直に命の大切さについて真面目に向き合って考えてみたいなと思える。不思議とね。そして、今の自分に感謝しようと考えたり、反省したり、素直に思える。心の真ん中にこのドラマのメッセージがストンと入って来る、そんな不思議、心地よさも感じます。
アオイが、亡くなったご主人のベッドを新たにベッドメーキングするシーンで、田畑さんの家族を思って涙するシーンはまた素晴らしく印象的でした。
ヒロインのじんわり浮き出た涙。本当に美しい涙でした。こちらも貰い泣き!
これぞ女優の泣きの演技!
その情緒性と演技力にも感激でした。
…つくづく『半分、青い。』の永野芽衣ちゃんのボロ泣きは違うなあと!
アレは、演技ではなく、特技=泣きなんではないかとも、同時に思ってしまいました…。