『あぐり』あらすじ(ネタバレ)第156話
ある朝、起きると林がいない。
フランスに発つと言う置き手紙が布団の上にあった。
あぐりが玄関に向かうと、まさに林が出かけようとしているところ。
「やっぱり僕にはエイスケさんみたいに華麗に消えることはできなかったね」
林はあぐりに見送られるのが辛くて、あぐりが気付く前に出ようとしていたのだ。
「ちゃんと帰ってきてください」
「いい絵、描くんですよ」
林は、あぐりに今のままで満足かと問いかけた。
あぐりは、見失っていた夢を見つけたと言い、笑顔で林を見送った。
あぐりはチェリー山岡にお願いがあるとカフェ・セ・ラ・ヴィに呼び出した。
その後あぐりはビューティサロン光美堂に行き、
従業員に本日をもってビューティサロン光美堂の副社長と美容技術管理の職務を辞めることを告げた。
これはチェリー山岡も沢田も了承済み。
今後は、チェリー山岡に一任することに。
本店と事務所は近いうちに移転。
沢子には新たな本店の店長になってほしいと伝える。
急なことに驚く従業員たち。
沢子たちは辞めないでほしいとあぐりに訴えるが、あぐりはこの事は自分のたっての希望なのだと笑顔で伝え頭を下げた。
カフェ・セ・ラ・ヴィにいるチェリーにの燐太郎が声をかけた。
「あぐりさんの仕事、引き受けたそうですね」
日本一の美容院を簡単に手放すなんて、面白い人だとチェリーが言うと、
燐太郎は、それが「あの人」だ、いつか森があぐりは人生を冒険旅行しているのだと言っていたことを話す。
「今回のことも彼女に取ったらバスから電車に乗り換えたことくらいかもしれませんよ」
淳之介の病室を訪れた森は、今回のあぐりを思い切った決断を偉いと褒めた。
母は夢を捨てたのかと聞く淳之介に、森はあぐりは遠い日に置き忘れた夢を取り戻しにいった夢を取り戻しに行こうとしている、彼女はそうやってないと気が済まないタチなのだと笑う。
「厄介な性格ですね」
淳之介が言うと、あぐりだけでない、淳之介も、エイスケも、和子も理恵もみんな厄介だと笑った。
そして吾輩も幼き日の夢を取り戻すために旅に出ると、相変わらず淳之介にお金をせびった。
呆れる淳之介。
森はとっておきの方法で淳之介を励ますぞ!と言い出す。
淳之介は踊り子かと期待すると「いやいや結構、大いに結構!」と、踊り子を呼んでくるかと思いきや、そのままいなくなった。
「あの人が一番厄介だよ」
あぐりが光美堂を辞めると聞いて驚いた、民子、辰子、とめも駆けつけるが、あぐりは行方不明。
ママはこのまま帰ってこないのではないかと和子も理恵は心配している。
あぐりは自殺するかもしれない警察に連絡しようかと大騒ぎ。
その頃、あぐりは一人屋根の上に。
すると、晃と美佐が現れた。
あぐりは自分の夢を見つけた、自分のやりたいことを見つけたのだと晃に伝えた。
そんなに夢がコロコロ変わってどうするんだと言う晃に
美佐は初めに戻っただけだと笑顔。
ハッと目覚めると、もう晃と美佐はいなかった。
夢だった。
あぐりの夢が実現したのはその翌年の春の昭和30年(1955年)5月。
チェリーはあぐりの店を訪ねた。
店内は鏡も椅子もたった一つだけ。
あぐりの夢は、お出迎えからお見送りまであぐりが一人で担当し、
じっくり時間をかけてお客様一人一人にあった髪型を作ること。
一人のためのたった一人の美容院。
「素敵だわ。でも儲からないわね」
「いいんです!」
笑顔で答えるあぐりに、チェリーは変わった人ねと笑った。
「立ち止まるなよ」
エイスケの言葉を胸に、
あぐりは愛する自分の店で、たった一人のお客様のために心を込めて髪型を作っていく。
爽やかなドラマのラスト
わーん、とうとう終わってしまいましたねえ。
最終回って、いつもとても淋しいものですねえ。
でもとっても爽やかな気持ちになりました。
ラストの回想シーンもグッと来てしまいましたねえ。
この時期から色々なドラマでラストに回想シーンダイジェストで持ってくるっていう手法がようく見られるようになったんじゃないかしら?
でもこの回想シーン、とっても目に楽しくて素敵だった。
ただのつなぎ合わせじゃない、きちんと効果的な回想のダイジェスト。
エイスケさんの存在感ったらないし。
そしてこの回想シーン見ていてつくづく、このドラマは大正ロマンのオシャレや自由気ままな空気感がふんだんに取り入れられ、見事に再現されていたなあとも。
実に楽しかったなあと。
草笛光子さん、名取裕子さんが出てくると、当時の華やかな元気がある空気感が溢れて。
大正〜昭和初期のハイカラさんってこんな感じだったんだろうなあ…なんて憧れてしまった。
うん、とても時代の空気を捉えて、それがこのドラマの作風そのものになっていて
トータルするととてもオシャレでおちゃめな作品で可愛らしいものに仕上がったなあと。
おしんや、澪つくしみたいな、情熱的でグイグイくる話も好きだけど
こういうライトな感覚で爽やかに楽しめるこのドラマも、これはこれで楽しかったなあ。
ところどころご都合はあったけど、それぞれキャラはきちんと描かれていたし、全体の空気感がトータルして作られている様式美も感じられて素敵だった。
ラストのオチもあぐりらしくて素敵
そして最終的にラストは、あぐりさんが自分の本当の夢は、一人一人のお客様にじっくりと向き合ってお客様に最も合う髪型をつくる店にしたと言うのも素敵。
実際に吉行あぐりさんも、戦後は自分のお店を自分なりに、長年のお得意様を大切にやっていたようです。
流行りよりもお客様に似合う髪型をと言うお考えだったようです。
確かに、その後の高度成長期からバブルに向かっては洋服も髪型もとにかく流行を追うことに世の中夢中だったと思いますが、あぐりさん、そこは冷静に自分のペースを貫いていらした。もう若いわけじゃないから最先端を追うのも…という判断もあったと思いますが、儲け主義には陥らず職人堅気を貫いた感じだと多いますが。
でも世の中がとにかく上を目指す見たいな流れだった中で自分を見失わないあぐりさんすごい。
そしてこのドラマでの取り入れ方も素敵でした。
ラストの小さな。一人のための美容院、とっても愛らしいお店でした。
あぐりにピッタリ。
幸せな気持ちになりました。
田中美里さんはあぐりにピッタリ!
最後の回想シーンも素敵。
あぐりの「はい!」の重なりが、ああそうだよねえ、この「はい!」特徴的だったよなあとも。
あぐり、元気で明るくてとことんサッパリしてて、でもただの能天気、無神経ではなくて。
そんなあぐりのキャラクターがこの「はい!」に凝縮していたなあと、改めて気が着いた。
田中美里さんの言い方が絶妙なんですね。
田中美里さん、見事にあぐりを自分のものにして演じられていたんだなあと感心します。
田中美里さん、これデビューでしょ?当時20歳だったんでしょ?
すごいなあと思います。
エイスケさんの夫婦コントも面白かったし。
最後の森潤も面白かった
いつもたかりに来る森潤、SNSでは嫌われていたようですがw
私は、森潤結構好きで。
最後の淳之介とのコントで思い切り見せてもらえてよかったわ。
最後踊り子さんまで出てくるか???とちょっと期待しましたがww
エイスケ周りの森潤も燐太郎さんも、このドラマのハイカラ、インテリ感を彩っていて素敵だったなあと思います。
大正デモクラシーの自由な空気を笑いを持って表現しているし。
そう、なんだかんだで、このドラマ、一つも重なるキャラいなかったですねえ?
みんな彩豊かで。
それぞれの役者さんたちの役作りも素晴らしかった。
ドラマって脚本がいいことがもちろんですが、それを肉付けするキャストの俳優陣のクリエイティビティによって最終形は随分と違ってくるものなんだろうなあと、思い知らされます。
そういう意味で、森本レオさんの演じられた森潤像、すごく面白かったし、素晴らしかったんじゃないかしら?
セリフとト書きだけじゃここまでは描ききれないし、ただの品のないおっさんになっちゃうかもしれないところをユーモアたっぷり、明るさたっぷりに演じられて、このドラマのハッピーな雰囲気に大貢献してらっしゃると思いました。
このやたら明るくて、自分話に巻き込んじゃう感じ、でも話してる内容は結構アカデミックな感じわ個人的には私の叔父に似ていて好きでした。叔父はたからないけどw
なんといってもエイスケさんの存在感
そしてこのドラマ、やはりなんといっても野村萬斎さんのエイスケ像が素晴らしかったですよね。
リアル吉行エイスケさん、実際はなかなか普通の人には理解できない人だったと思います。
外に女性もいたし。
それをドラマのキャラクターとしては、まるでピーターパンのようなファンタジックなキャラに位置付けたと言うセンスが素晴らしかった。
そしてまた演じる野村萬斎さんが、なんとも不思議で捉えどころのない、でもなんだか気になって存在に仕立て上げて…。
このエイスケさんの描き方、脚本家さんと野村萬斎さんのセンスは素晴らしいと思います。
エイスケさんの存在が、ドラマのお洒落でカラっと爽やかな雰囲気にいいスパイスになっていたんだなあとつくづく思います。
野村萬斎さんのエイスケさん、底抜けに明るかったり、自分勝手だったりするのに優しかったり、時折見せる彼の内面にある孤独や苦しみの表情がまた印象的で…。
素敵でしたねえ。
そうですよね、本来だったら、家に寄り付かず、外に何人も女がいてめちゃくちゃな人が、こんなに可愛らしく魅力的になっちゃうんだから!
ところどころ、雑だろ!とかオヤ?とか思うところがあったにはあったのですが。
不思議とまた見たいな〜と思っちゃうドラマですね。