【おかえりモネ】高村さんにネット民胸熱も…違和感。ジェンダー問題を感じる

※「おかえりモネ」をシンプルに楽しめている方は、こちらの記事を読むのは
お控えください。

 きっと気分を害されると思うので。

 

おかえりモネ、第90回(第18週)では、高岡早紀さん演じる番組責任者高村さんが話題となりました。

第89話、第90話に渡って台風が関東を直撃。
台風の報道を夜通し続けるJテレの現場の緊迫した(?)様子がリアル(?)に描かれていました。
終盤では台風一過でひと安心(安心するな!)と思いきや、台風の影響で長野県の番場川がまさかの越水!
緊急放送をしなければ!となりますが、仮眠後の内田と莉子はパジャマ姿(ウソだろ!)。
番組責任者でありキャスター経験のある高村さんがカメラの前に立つというストーリー展開。

高村さんは、前々から常にスーツで決めてハイヒールをカツカツ鳴らして歩く常に隙のないスタイルの方でしたが、ここでそれが活きたってことで。

この高村さんのキャスター電撃復帰劇にネットは感動の嵐。
放送終了後、即「高村さん」がトレンド入り。
「ここで高村さんのハイヒールの伏線が回収された!」
「高村さんキャスターに感動の復帰」
「高村さんのプロ根性」
等々と…皆さん胸熱。
高村さんは理想の上司だなんだと大騒ぎ。
感動の嵐が吹き荒れまくっていた様子。

 

でも…私には、この高村さん像が、かなりな違和感。

ちなみに中の人は関係ないです。中の人、私も好きです。キレイだし。
高村さん役の演技そのものは見事なものだと思いますが、
この作劇、演出に私はかなり違和感を感じました。
そしてモヤモヤと不快感…。

その違和感、不快感についてここでは書き残しておこうと思います。
個人的な意見なので、今回胸熱だった方、高村さんファンの皆様ごめんなさい。
なので、本タグのでドラマをエンジョイされている方は見ない方がいいです。

 

高村さん=ふた昔前のデキる女

高岡早紀さん、その涼しげで丹精な顔立ち、ショッとした出立ちで、
本当に美しくて私大好き。
演技も素敵。
今回の高村早紀さんご自身、ファッションは似合っていて素敵だと思いますよお〜。

眼福ではありますよね。

でも…なんか、なんかな…。

いつもシンプルでスタイリッシュなスーツでキメキメ。
ハイヒールカツカツ鳴らして歩いてる。

このカッコよさ…いつの時代だあ??と。
ちょっと見ていて恥ずかしい。

気が強そうでプライド高っ!な性格。
男性とも同等に渡り合ってる感。
仕事には厳しい。
でも後輩には優しい。

そして不敵な笑み…w

こういうデキる女感…
バブルの時代の方ですかあ??

ダブル浅野でたっぷり見せていただいたので、もうお腹いっぱいw

バブル期当時の私はまだまだ世間知らずだったし、単純にああいうのカッコええ!と憧れていたけど、
今の私は、アレは勘違いだったなあ〜何も分かってなかったなあ〜と今まさに反省中。
令和の今の目線で見ると、上っ面に随分と騙されてたよなと後悔もしているので。
今コレ出されても、恥ずかしいだけなんだよなあとw

あのキャリアウーマン像、まだまだ男女差別の裏返しですものね。

令和の今、そういった「デキる女」のテンプレ自体がジェンダー問題に翻弄された結果だと、もう明らかなのに、未だにコレを出すのかよと、ビックリ。

なんだか難しい言い方しましたが、
要するに、
古いっ!古過ぎるー!!
古いも古いでバブル臭プンプンがコレまた恥ずかしいっ!

この脚本、バブル期から時間が止まったままのおっさんが書いてるのかよと思う。

 

ハイヒールは女性のキャリアの象徴?Ku Tooは!?

高村さん、当初から黒いハイヒール履いてコケることなくカツカツ闊歩していました。
カツカツカツ…の高村さんの歩く音は高村さんがいる限り常に聞こえてたー。
デキる女の象徴=ハイヒールカツカツらしいw
音声さんは拘ったんだろうなあw

それに対して莉子初登場の時もパンプス履いてました。
莉子は高村さんほどヒールは高くなく。
そして確か柔らかい色味のパンプスでしたね、いつも。
高村さんと莉子の対比w
役作りへの拘りw

莉子はスタジオでの初仕事ではパンプスで大コケ(可愛いそうに)しましたが、
今回キャスター電撃復帰を果たした高村さんは、真夜中の3時?にもかかわらず
スーツ着て、痛がりもせずにハイヒールを履き続け、そのままカメラの前に向かいました。

カメラの前で凛とした姿の高村さんの美しさよ。

この高村さんと莉子とのパンプスでの対比はキャリアを表すのでしょう。

ネットでは
高村さんのハイヒールはコレまでのキャリアウーマン(古臭い言い方ですが敢えて使う)人生の象徴なのね!
高村さんのプロ根性はまさにハイヒールに象徴されていたのね…!

と、このハイヒール描写に感動の嵐だったようですが…。

コレって時代に逆行じゃねえか!?と…

昨今ではKu Too運動が起こったり、ジェンダー問題が議論されたり
そもそも仕事の現場でなぜ女性がハイヒールを履くことを強制されるのかと言われ始めているのに。

Ku Too運動で女性ばかりが、常に容姿の美しさを求められていることに対して疑問視されるようになってきました。
このそもそも論は、女性の真の解放のためにはとても大切。
だって自分が当たり前だと思っている価値観自身も、女性蔑視の文化で刷り込まれていることだったりするから。
それの代表格が女性の美意識。
ハイヒールなのに。
だからKu Too運動が意義深いのに。

それをこのドラマの制作陣は何も分かっちゃいないのか?

自分も含めて世の女性が刷り込まれている「女性は常に美しく」の意識から解き放たれることから始めないと本当の女性の自由は始まらない。
そこのそもそも論に世の中がやっと気づき始めたところなのに、

なのに、こんなタイミングにありながら
高村さんの美しさはまさにバブル時代の、まだまだ男女差別が根強い社会の女性像。

NHKが、しかも女性をメインターゲットとする朝ドラがこういう演出するのかよと。

女性の自立、女性の開放なんて全く気にないオッサンが書いているのが見え見えだなと。

おっさんは今も変わらず、
女性にはどんなに忙しくても、真夜中でも隙のないファッションでいてほしいのね。
自分は風呂に入らないままオフィスにいても女性には常に美しい姿でオフィスにいてほしい。
そんなオッサンドリームの象徴が高村さん…。

 

そしてこのハイヒール描写が高村さんと莉子とのキャリアの違いを表すものだとしたら
莉子にコケさせるまでするとは、莉子に失礼。
莉子を貶してるだけだよなあと思います。
登場人物への愛が無い。
誰かを上げるために誰かを貶す手法AKドラマの定番ですが、こういった描き方は悲しくなる。

足元のカメラワークが不愉快

このハイヒールの描写でのカメラワーク、
今回の演出としては、高村さんのキャラ表現に拘った演出なんでしょうけど。。。
カメラさんの拘りなんでしょうけど。。。

あの執拗にハイヒールだけ映すカメラワーク、なんとも不愉快。

ちょっと女性に対して失礼じゃないかと。

私は、莉子初登場の時の足元描写からなんか嫌だなあ〜と不愉快でした。
足元映すなんてバカにしてる、セクハラかよお!と。

ちょっと趣味悪い…。

ハイヒール表現そのものも疑問ではあるけど、
そのカメラワークそのものがまたね…何とも嫌だったー。

 

莉子と内田は高村アゲのために貶められ

高村さんの電撃復帰、これに引いてしまったのは、シチュエーション作りのわざとらしさもありました。

台風一過で台風報道も一段落し、仮眠を取っていた莉子と内田がパジャマを着てたから
きちんとした格好の高村さんしか出られなかった!と。

莉子も内田もすっかりリラックスーのパジャマ姿。
莉子なんて髪の毛もボサボサで。

普通仮眠であそこまでリラックスできるか?
わざわざパジャマまで持って出勤していたのか??

一旦台風去って仮眠とってって言われても、普通、職場であそこまで無防備な格好できないでしょ。
しかもJテレは莉子や内田にとっては客先。

あと、若いお嬢さんの莉子は皆の前で一人であんな格好、莉子自身できないと思うよw
いくら夜通し報道していたからと言ってもアレでオフィスの廊下を歩くんかい!?

ここでも一人をアゲるために他を貶す手法によって、莉子と内田が非常識で無能な人になってしまって…。
そんな短絡的な手法による高村さん登場だったこともあり、
私としては感動も何も全然思い入れられず。
莉子も内田も皆自覚なしだよな、レベル低いなとしかw

 

このドラマ、キャスターの話だった???

そして、高村さんがカメラの前に立ったことで、このドラマのファンの皆様は感動の嵐だったようですが、
さらに私の中には、このオチを見て、オチそのものに対する疑問が。

このドラマはキャスターの話だったの…かい???

確かに高村さんはアナウンサー出身の番組責任者。
過去にアナウンサーを降ろされ、そのまま出る場を失いアナウンサーとしては引退した状態になったという経緯の方でした。

でもアナウンサー降りた話はもう10年以上も前の話だよねえ?
今は「あさキラッ」の番組責任者だよねえ?
高村さんにとって、確かにアナウンサーを辞めさせられた時点ではそれは不本意だったかもしれないけど、キチンとキャリアアップできていると認識していました。
もう高村さん自身キャスターはもう卒業と納得していると思っていたので、

高村さん自身、ここで出ても嬉しくもなんとも無いんじゃね?とw

昔取った杵柄で、準備がない状態でもキャスターとしてそつなくカメラの前に立てるというのは確かに鮮やかで素晴らしいですが、
コレは彼女にとっては当たり前のこと。
彼女が望むことをやり遂げた瞬間では全くないと思っていたので、
胸熱になること自体理解できない。

と同時に、
このドラマ、テレビに出ることだけがゴールなのか??
とも…。

さらにアレ?このドラマ、キャスターのドラマだったっけ????と…。

確か、気象予報士のドラマのはずだった気がするけど…。

ちなみに今回の夜通しの台風報道している最中は、高村さんの業務は何だったけ?とも混乱。
これまではアナウンサー出身の目線で報道番組を作っている人かと思っていたら
今回はすっかり気象予報士の先輩になってて…
アレ?どっち畑の人だったけ?と混乱。

いろいろ混乱。

まとめ:高村さんジェンダー問題を感じた

高村さん、絵面は確かに美しいですが、
仕事がデキる女性は、どんなにバタバタな現場で何日泊まり込もうが常にメイクバッチリ、服装にもスキがなく美しくあらねばならないという、
男性社会から押し付けられた、デキる女のイメージに過ぎない。
男社会に入ってきて対等にやるならその犠牲を払った上でやれと言われているみたい。

ハイヒール=女性というイメージ表現、感性そのものも胸糞悪い。

Ku Too運動で、
「ハイヒールを履くこと自体おかしいんじゃないの?」
「女性として美しくありたいと自分が思っていること自体騙されてたんじゃないの?」
と、女性自身が自分の置かれた立場の理不尽さをやっと自覚できるようになってきたところなのに、
そんな時代の空気を全く読まずに相変わらず女性を男都合の価値観に押し込めようとする、
それが今回の高村さんの人物描写であり、高村さんの胸熱なストーリだったと思う。

自分自身、騙されていた部分もあると自覚しているから
高村さんのキャラを見ると、騙されていた自分を思い出して
なんだか恥ずかしいなあと思ってしまうのです。

バブル時代のものを見ると恥ずかしくなる、その原因はきっとコレだ。

だからネットで胸熱ってなっていると知り、もしや若い女性はまだ気づいてないの?と
ちょっと心配になりました。

まだデキる女性が美しくもあることに憧れてるのかい?
そう思ってしまう自分に疑問を持たないの?

そして女性の「美しくあらねば」の刷り込みはとんでもないほど根深いのか?とも愕然とします。
確かに女性は美しくあらねばという価値観、クレオパトラの頃からすでにありましたからね。
遺伝子レベルで刷り込まれているだろうからコレを払拭するには大変だと思いますが。

でもそこに女性自身が気づいてアクションを起こし始めない限り、女性が本当の意味で自由になるのは難しい。

高村さんの人物像と、それに胸熱になるネット民にジェンダー問題の深さも感じてしまいました。
高岡早紀さんが美しいから、その凛とした美しさに感動はするけど、騙されちゃダメだよと思います。