【あぐり】感想ネタバレ第112話 安吉の出征

『あぐり』あらすじネタバレ第112話

日本の戦局はかなり厳しい状況。

幼馴染みの安吉に召集令状が来た。

淳之介たちは戦地に赴く安吉のために何をしてあげたらいいかと相談。

そこに、妊娠している辰子の夫が戦死したという知らせが入った。
泣き崩れる辰子。

身近な人の戦死、残された者の悲しむ姿を目の当たりにした淳之介は、安吉が一番喜ぶ事をと安吉と諒子の二人きりのお別れ会をセッティング。

淳之介のリクエストを受けて、笑って送り出すなんてできないと言う諒子。
安吉には大きなお寺を作る夢があるのを諒子は知っている。
「お国のために死ね!それに何の意味があるの!?」
諒子は憤った。

安吉と諒子の二人きりのお別れ会では
諒子は安吉のためにピアノでショパンの「別れの歌」を演奏した。

「絶対に帰って来て」
諒子は安吉に帰ってきて大きな神社や寺を建てる夢を叶えて欲しいと強く言った。

その夜、安吉は淳之介にお礼を言いに訪ねてきた。
「みんなの気持ち嬉しかったよ」
そして淳之介に諒子を頼む、諒子は淳之介が好きなのだと笑顔で言った。

安吉はエイスケと語っていた俺たちの時代はやはりまだまだ先だと話す。
「俺はそんな時代を見てみたいよ」
淳之介は絶対に見られるよ。
絶対に帰って来られるよと安吉に伝えた。

そして翌日、安吉は淳之介たちが見送る中、戦地に旅立った。

戦死が伝えられたのはそれから僅か半年後のことだった。

今日は朝から号泣

今日はいきなり朝から泣いてしまいました…。
あぐりで泣かされるなんてええ。
意外ですが。

さっぱり爽やかなタッチで明るく描かれるあぐりだからこその涙だったなあ。
こんな感じだとゆるふわな戦争話になるのかなあと期待半分にしていましたが、とんでもなかったなあ!
いつもの朗らかで明るい雰囲気をベースに保ちながら容赦無い現実を突きつけられていくって感じで。
市井の人の普通の生活の中にこうやって戦争が忍び寄って来たんだなあと。
逆にリアルだった。

あの可愛らしい楽しい4人組が出征なんて。
たけしくん、ハイ!がもうお別れなんて。

悲しすぎる。
寂しすぎるー。

 

淳之介たちはエイスケの書斎で麻雀

4人はエイスケの書斎で集まるのがお約束。
いいですねえ、幼馴染み。
でも今は麻雀w

原作『梅桃が実るとき』でも淳之介さんが夜な夜な友達と集まって麻雀してたとありました。
さすがエイスケさんの息子だなあ、こういう時期にも麻雀ジャラジャラできるなんてw

淳之介たちはエイスケさんと書斎に籠城した思い出を語り合います。
エイスケさんのシーンを回想しながら。
エイスケさんのインディアンのコスプレ、やっぱりいいよねえ。
確かにピーターパンやね、エイスケさん。

さらに淳之介たちはエイスケさんと語り合った未来の話をしっかり覚えていました。
面白いけど広い世界を見せてくれた人だよね、エイスケさんは。
少年たちを心の冒険に誘ってくれた人。
やっぱりいいお父さんだったね、エイスケさん。

時代は戦争に入って、エイスケさんと話をした未来の話が切なく思い出されます。
こんな形で響いてくるなんてねえ…。

そしてその話からの安吉からの召集令状が来たとの報告。
この流れが切ない。

安吉くん、どんな思いでいるのかと。

戦争前の時代がキラキラ自由だった分若者たちは辛かったでしょうねえ。
物質的なひもじさよりも、成長著しいときに心の自由を奪われるって大変なこと。

 

角替さんの母の姿にも涙

隣組の副組長さん、角替さんまた来ました。
麻雀の音が近所迷惑、不謹慎だと。

夜中麻雀はさすがにどうかと思っちゃったよー。

原作でも確か淳之介たちが夜な夜な麻雀して近所に気を遣ったとあぐりさん書いてらっしゃいました。
あぐりさんも戦時下でも自由だなー甘やかし?と思ってましたが
あぐりさんとしては、いつ戦地に行くかもわからないとの思いからだったんですね。

しかし、一方で角替さん演じる副組長さんの言い分も説得力ある。

副組長さん、すでに息子さんを戦地に送っていました。
母としては戦地にいる息子のことも思ってあげて!ですよね。

そして周りの人も。
戦地に行っている人のことを思うと楽しむ気分になれないということから自粛する空気に。
何もかも自粛警察が取り締まっているおかげでエスカレートしたわけでもないし。
自粛警察にも切なる思いがある。

副組長さんがセリフを言い切った後の間と帰るときの姿に母としての切実な思いを感じました。
ああして、厳しいおばちゃんやってないと悲しみで崩れちゃうんだよね。

角替さんの演技、胸に刺さる。

戦時下、理不尽な時代に、皆それぞれに気を張って必死に生きていたんだなあと悲しくなる。

 

諒子はショパンで安吉を送る

諒子ちゃん、安吉くんの出征を理不尽だ笑って送り出せないと憤っていました。

あの頃の少年少女もそう思ってたんだよねえ。
自由な時代を知っているから尚更。
そして自分たち世代が犠牲になることが納得行かなかったんでしょうねえ。

諒子ちゃんの言葉は当時の若者の本音として響きました。

 

安吉くんはナレ死

安吉くん、諒子とのお別れ会のあと、淳之介のところに。

諒子は淳之介が好きだから諒子をよろしくなって…知ってた涙。

そしてエイスケさんの未来の話を見たかったと。

今日のドラマの冒頭、未来の話から俺の時代がもう来てる!と出征の話を持ち出して
今ここで、俺たちの時代はやっぱりまだだったなと否定。
最初の俺たちの時代がもう来てるは強がりだったのよね。
でも諒子ちゃんとお別れできて、淳之介たちの思いを受け取り素直になれたんだね。
そして「僕らの未来は、まだだ」と。
「俺もそんな時代を見てみたいよ」と。

安吉くんの絶望が悲しいよ。

淳之介の「絶対に見られるよ」という言葉もね。
祈るように、そしてそうとしか言えない。
溢れる気持ちを精一杯抑えて平静を装っての言葉。

そして安吉くんは…ナレ死!

このナレ死は雑ということじゃなくて強烈に刺さったー!

そうだよね、戦争が始まろうが人の性格は変わらないし。
普通の会話、普通の生活の中にジワジワと戦争が入ってきてだからこそ悲しさ辛さがあるんですよねえ。

あぐりのようなコミカルで呑気な話でもしっかり戦争を描いている。
戦場や空襲を描かれていなくても、ドラマのカラー上、敢えてそういうことは書いていないようですが
歴然とした事実が伝えられて人の心が動いていく。
その人の心の動きがとてもしっかりと描かれていてリアルで泣けます。

やはりこの時代、製作者側に戦争の記憶がある方がいらしたのかなあと感じるリアル感でした。