【澪つくし】感想ネタバレ 第154話 かをる、艦載機に襲われる。助けてくれた人は…!

『澪つくし』あらすじ(ネタバレ)第154話

昭和19年7月東条英機内閣が総辞職。
新内閣は一億国民総武装を決定した。

銚子高等女学校女学生たちが報国隊として生産活動の手伝いに来た。
「温良、貞淑、至誠」の伝統を守って頑張ってとかをるは励ました。

 

かき氷を食べている久兵衛。

来年は創業300年になる。
盛大な式典をやらないと
公正会館に市長と議員、名士を読んで、夜は暁星会館で大宴会をしようと。
土産物は何しようかと考える久兵衛。

このご時世だから派手なことはできないと言うと、久兵衛は入兆は銚子一の老舗だからケチなことをしたら皆に笑われると言う。

英一郎が来たら12代目を継いで貰おうとるいが話を合わせると、久兵衛は英一郎が帰ってこないと言う。
昨晩、英一郎が血みどろになって夢枕に発ったと。

るいはそれは逆夢だと必死に否定する。
英一郎が帰ってこなかったらどうしようと言う久兵衛。
久兵衛の淡々とした話しぶりにるいは泣き崩れる。

 

この夏、陸軍はビルマ戦線で苦戦を強いられた。
勢いに乗る米軍は沖縄台湾を猛爆撃。
10月にはフィリピンのレイテ島に上陸した。

 

かをるは、アミと昭彦、和彦とともに神社に。
神の手にすがりたい気持ちで、梅木たちの無事を祈る。
かをるは優勢を誇る敵の砲火を前に醤油づくりの使命を果たさねばならない夫を思うと胸が張り裂ける思いだった。

日本が戦争している限り、醤油と味噌は欠かせない。
アミは、梅木も栄二も最後まで工場を離れないだろうと、諦めているとかをるに話す。
かをるは、2人共帰っていると信じていると話すが、アミは竹田が戦死してからはそうは思えなくなったと。

かをるはアミにもう一度祈ろうと言う。
すると、そこへに神山たちやってきた。

皆も梅木たちの武運長久を祈りに来てくれた。
泣き崩れるアミ。

かをるたちは、もう一度神に皆の無事を祈った。

 

広敷では、釣鐘も半鐘も、箪笥の取っ手も火箸も鉄瓶も、金物は全て供出だと話している。
大砲の玉にするため。
広敷の食事もサツマイモのツルやドングリの入ったおかゆを食べている。

サツマイモのツルやドングリの食事では仕事ができないと愚痴を言っていると、神山がやってきて
明日から働かなくていい、報国体の人たちもお別れだと言いに来た。
材料が底を尽き、醤油の生産が出来なくなってしまった。

 

「神風が吹いたぞ!」
久兵衛が新聞を手に騒いでやって来た。
フィリピンで神風特別攻撃を行ったと久兵衛は興奮気味にかをるたちに話す。
飛行機に爆弾を積み込んで体当たりをした。
敵艦と刺し違えてて国に命を捧げたと。
「これぞ大和魂!神風が吹いたんだ!」
これで形勢が良くなる!
アメリカは肝をつぶすと久兵衛は喜ぶ。

「ひどいわ!」
体当たりと言うことは死にに行く事だとかをるは否定。
突っ込むときに怖かっただろうと言うツエ。
その代わり敵お多くをやっつけたのだと久兵衛は反論。

家族はどうなる、英一郎がそうなってもいいのかとかをかをるが訴えるが、国のためなら仕方がないと言う久兵衛。

「私は嫌です!そんな残酷なことは言えない!」
とかをるが言うと、
「女に戦争は分からん!」
久兵衛は怒鳴り散らしてちゃぶ台をひっくり返した。

 

米軍は日本の特攻攻撃にも屈せず、フィリピン各地に上陸死闘を繰り広げた。

 

昭和20年になるとB29の本土爆撃が繰り返され、銚子上空はその一つの通路となっていた。
2月16日米軍機動部隊が硫黄島攻撃を開始した日のこと…。

かをるが、名取家のぎんのところに食糧を分けて貰おうとリヤカーを引いていると、米軍機の狙撃を受ける。
頭を抱えてうずくまっていると、男がやってきて、かをるを抱きかかえ防空壕に連れて行ってくれた。

お礼を言い頭を上げると、その男は、惣吉だった。
サイパンで戦死したのではないかと思っていたかをるは、惣吉が生きていたと安堵。

サイパンが攻撃されたとき、惣吉は横須賀にいたのだ。
もう役目は済んだのかとかをるが聞くと、惣吉は今度は来月に沖縄に行くと話した。

艦載機がこれだけ来ているということは航空母艦が近くに来ているということ。
これからは油断するなと惣吉はかをるに忠告。
そこにまた外で爆撃が。
かをるは思わず、惣吉に抱き着くが、すぐに我に返り、惣吉から離れた。

久兵衛さんの老化が激しい…涙

久兵衛さん、かき氷を食べながら創業300周年の式典の話をしていましたね…涙。

ボケちゃてる?
どうかは分かりませんが、ご老体の久兵衛さんは、そんな空想をしていないともたないのでしょうね。
それだけ相当メンタルにダメージを受けているということ。

久兵衛さん、公正会館で式典をやって夜は暁星館で宴会って言ってました。

公正会館って実際にあるようですね。
大正時代にヤマサ醤油の第10代目当主が私財を投じた建造物。
モダンな近代建築の建物です。
(参照:銚子市公正市民館

当時は最先端の建物。
そこで、式典なんて、さすが久兵衛さん、好きそう。

 

そして宴会の暁星館とは、まんまはみつかりませんでしたが、ぎょうけい館という老舗旅館がありました。
数多くの文人・画家に愛された銚子ナンバーワンの老舗旅館だそうで。
(参照:ぎょうけい館)
入兆の祝賀会は確かにここで決まりね。

ああ…辛いわねえ。
それを聞いているるいさんも辛い。

終戦の年を300周年にぶつけてくるジェームスも当然っちゃ当然ですが、そんなに年寄りをいじめちゃダメだよ!
ジェームス!

しかし、津川雅彦さんの老けっぷりすごいわ。
そして、加賀まりこさんも!
あのキラキラ美しい加賀まりこさんが…!おばあちゃん演技を!とビックリ。
その後、年相応の役をやってらしてもキリリとキレイな背筋が伸びたマダムのイメージあるからなあ。
花より男子の松潤のママとか。
だから加賀まりこさんのおばあちゃん演技、貴重なのではと!!

でも最近加賀まりこさんテレビでお見かけしませんねえ。
お元気かしら??

 

久兵衛さんの「神風!」にもビックリ

ボケてたと思った久兵衛さんが、「神風だああ!」と狂喜乱舞。
まあこの狂喜乱舞もボケの傾向の一つかもしらんが…。

しかしあの、律子さんに「人間は複雑怪奇な生き物だ」と諭していた久兵衛さんが!
2.26事件で青年将校の暴走を批判的に見ていた久兵衛さんが!
英一郎に「生きて帰って来い!死んだらダメ!」と言っていた久兵衛さんが…!

「神風だ」と特攻隊の体当たりを美しい死に方だと感涙する…!!

もう追い詰められてるー。
日本人の殆どはそんな思いだったんでしょうね。

現代見ている私たちは、まさに他人事、過去の過ちとして見ているけど、
ジェームス、きちんと年々の戦況をとても分かりやすく説明してくれているし、
銚子にも愛宕山に基地ができ、屏風ヶ浦に高射砲陣地の設営をしとアメリカ軍の本土上陸を想定している状態。
前回の善吉さんの「本土上陸」の言葉にゾッとした。

久兵衛さんとしては、いつ皆殺しにあうか…とも不安でたまらなかったんでしょうね。
家族を、皆を守らないと!と思っている久兵衛さんとしては、苦しくてたまらない。

そこに、命を投げ打って攻撃したと聞いたら、久兵衛さん的な人としては涙涙だったんでしょう。

かをるが「ひどいわ!」と怒るのは、我々と近いけど
まだ自分事に思っていないところも。

「女に何が分かる!」
とちゃぶ台ひっくり返すほど、久兵衛さん、追い詰められるのね…。

この状況の久兵衛さんの気持ちは分からなくても無いが…。

でも、そもそも違うねえ。
「女に何が分かる!」
って男がが背負い過ぎる文化もまずかったんだよねとも久兵衛さんの孤立に思い知りました。

 

ジェームスはこの澪つくしを反戦ドラマとして描いているのねともつくづく思う。

でもこの久兵衛さんの神風のやりとり、よくある反戦ドラマのように、久兵衛さん的立場の人はただクレイジー!と描くだけでなく、かをる的立場の人をエライ!正しい!と描くだけではなく、それぞれの立場で、それぞれの視点で言ってる者としてだけ書いている。
ここまで追い詰められた状態でも、かをるのように「ひどい!」と正しいことを言い続けられるか?
久兵衛さんみたいに追い詰められて狂気にならないかと、こちらに問いかけてるみたい。

軍国主義思想の批判だけではなく、個人が本当の自由とは何かを考え続けなくてはいけないんだろうなあ…。

 

かをる、惣吉さんに再会!

惣吉さんは梅木とフィリピンで再会と思ってたら、もっと壮大でしたねぇ。

惣吉さんは、フィリピンに留まってはいずに、横須賀~サイパンを行き来していたり、様々な地を回っている様子。
フィリピンのスパイは、フィリピン情勢まずくなってやめたのかしら?
そのあたりの細かいことが分からないけど…。

しかし、ここで惣吉さんに会えるというのもなかなか劇的な!

名取家に向かっていると聞いて、ぎんさんに会えるかとちょっと期待。
会えなかったのは哀しいけど…。

軍服にヘルメットの惣吉さんは、漁師の時の素朴だけどキラキラした惣吉さんとは違って見えて…少し寂しかったよ。

爆音を聞いて、つい抱き着いてしまうけどハッと我に返り離れるかをる。
複雑だよねえ…。
つらい…。
個人的には腑に落ちないけど、かをるとしては子供もいるし10年以上経ってるわけだし、一応過去のものになってるのよね…。
でも、今日のことで寝た子を起こすことになるのか!?
なって欲しいけど…!!!

惣吉さんは次は沖縄に行くって言ってました。
沖縄ってことは…!?!?

 

惣吉さんの、命が心配。

もう戦争パートで2回連続ってホントきついわ…。
ジェームス、非常に見事に克明に事実を分かりやすく解説しながら、ジワジワと庶民が追い詰められていく様子が描けてる。だからこそ、本当に辛い。
これはもちろん褒めてるし、褒めてるどころでなく、後世の者たちに歴史を実感を持って学ぶ資料としても素晴らしいと思う。でもだからこそ辛いのー!