【澪つくし】感想ネタバレ 第151話 仕込み樽が泣いてる!

『澪つくし』あらすじ(ネタバレ)第151話


昭和16年12月8日日本はアメリカ、イギリス軍と戦闘状態に入った。
第二次世界大戦開戦。

 

入兆では久兵衛が従業員を集めて、皆に梅木を先頭に一致団結してあらゆる困難を乗り越えて醤油生産の向上を図るようにと檄を飛ばす。

 

夕食時の風景。
久兵衛は昭彦、和彦にご飯を一粒も無駄にしてはならないと言い聞かせている。

るいが戦地にいる英一郎がどうしているかと口にすると、久兵衛は、軍人として大御心に沿うことが勤め、生きて帰ってくるとは思っていないと話す。
そんな薄情なと言うツエに対して、るいは、久兵衛は日本人としての心構えを言っているのだと諭す。
久兵衛は、かをるに梅木にもいつ召集令状が来るか分からない、覚悟をしておくようにと伝えた。

日本はどうなるのかと心配そうに聞くツエ。
日清、日露と勝ち進んできたから大丈夫だと言う梅木。
でもアメリカは強いのではと心配そうに言うツエに対して、久兵衛は
「負けへん言うたら負けへんわい!」
と怒鳴りつけた。

陸海軍は破竹の勢い。
開戦から半月ほどの間に香港、グアム、ウエーキ島を攻略。
開けて昭和17月1月にはマニラを、2月にはシンガポールを占領。
5月にはフィリピンのコレヒドール要塞を陥落させた。

 

入兆では、経理部の野呂秀太郎、生産部門の殿岡忠義にも召集令状が来た。
2人は従業員に挨拶。皆は拍手で送り出す。

そこに梅木がこの場にそぐわないかもしれないが報告にしたいことがあると、広敷の職人だった竹田徳十が3月にジャワ島で名誉の戦士を遂げたことを伝えた。

婚約者であった竹田の死を知ってアミが泣き崩れる。

 

17年4月、日本本土は米軍機による初めての空襲を受けた。
軍当局は銚子市の愛宕山頂上にに最新式のレーダーを設置した。

愛宕山と言えば、高神村騒擾事件の集合場所となったところ。
ツエはかをるに惣吉はどうしているかとかをるに尋ねた。
かをるは「さあどうしてるのかしら…」とそのまま答えず。

かをるも惣吉のことを忘れているわけではない。
かつて夫婦だったと言う重みこそ歳月によって風化されていたが、心の中ではいつも安否を気遣っていた。

 

梅木とかをるは、小麦と大豆が不足しているため、このままでは醤油生産が半減してしまう。
山川が開発した醤麦(しょうばく)を代替えの材料い使用したいと久兵衛に訴える。
醤麦とは、小麦にフスマ混入した物。
そんなものでいい醤油ができるはずがないと反対する久兵衛。
しかし、かをるは醤油不足で悩んでいる国民に対しては質より出荷量の確保が業者の務めだと訴える。

大豆は脱脂大豆を使うと言うと、久兵衛はさらに呆れる。
丸大豆は割り当てが限られているので丸大豆での生産は不可能。

入兆は295年も続く醤油屋。
そんなインチキ醤油を作ったら入兆始まって以来の屈辱だと嘆く久兵衛。

さらに、梅木とかをるは、徴用や出征で職人たちが減る中、女性を雇ってはどうかと聞く。
女性は辛抱が無いからダメだと最初は受け入れないが、それしか方法が無いと聞くと、
久兵衛は隠居した身だから好きにしろと諦めた。

 

醤油の原料はますますひっ迫。
特に小麦はパンやうどんや代用食に使われるため、割り当てを受けるのが大変だった。

清次の方も秋田杉が手に入らず樽を作れないと嘆く。
せっかく軍用醤油の注文が来たのに樽が無ければ生産できない。

かをるは、昭和樽を提案。
昭和では挽き材を集めてこしらえた樽、大手では使っているらしい。
清次は、挽き材をかき集めたような樽では通用しないと怒るが、るいはそれなら契約違反だから他の樽屋に変えると口ゲンカ。
「ちゃんとした材料さえあれば、立派な樽こさえて、納めてやるのによ…」
溜息をつく清次。

かをるはおじさんの気持ちも分かるが、入兆でも6割もフスマの混ざった醤麦で醤油を作っているからと清次を慰めた。

 

昭和17年6月日本軍はミッドウェー海戦で初めての惨敗を喫した。
さらにソロモン群島でも無念の撤退を余儀なくされた。
以後の戦局は日本側の防戦一方となっていった。

 

醤麦を使った新しい醤油が出来上がり、味見をする久兵衛。
「なんちゅうこっちゃ!これが入兆の醤油か!」
久兵衛は、仕込み桶が泣いている。御先祖様になんとお詫びをしたらいいかと涙を流した。

 

 

 

久兵衛さんの顔つきが違う…!!

この前、英一郎に「生きて帰って来い」って言ってた久兵衛さんが、英一郎が帰ってくるの思ってない!大御心に沿うことが勤め!と言ってる…。

軍人にイラついて愚痴って、るいさんに外でそんなこと言っちゃダメと言ってた久兵衛さんが、大日本帝国が絶対に勝つ!心を一つに!って言ってる。

久兵衛さんの顔つきが変わってる!

これまでは冷静に国の政治を見つめていた久兵衛さんだったのに。
2.26事件の青年将校についても冷静に見ていたし、軍人であっても命が大事と言ってたのに。

久兵衛さんみたいな年配者で見識の広い人でも、あんなになっちゃったんだなあ…。
そうしないと自分がもたなかったのかもしれないけど。

日米開戦以降は、皆の雰囲気も一変。

出征する人も、送る人たちも、不安を口にすることは許されなくなってきて。
あのだらしない広敷の連中が背筋を伸ばしてピッと立ってて。

広敷の連中、嫌いだったけど、あれも自由の象徴だったんだなあと、今となっては思うよ。
なんで女性視聴者が殆どの朝ドラで広敷の若い衆の描写が細かいんだ?と思ってたけど、良くも悪くも自由の姿を見せんだ…。

 

この日米開戦までのジワジワ感、開戦以降の空気が一変した感じ、すごくリアル。

今日はちょうど、おちょやんでも日中戦争が始まりましたが、あちらとでは重さが全然違う。
作り手に戦争の記憶がある人たちが多いと、描き方が全然違うんだなと実感する。

 

清次さんに泣けた…!!

当時の醤油づくりは大変だったんですね。

大豆も小麦も全然足りず、醤麦という、小麦にフスマを混ぜたものを代用して製造。

今日は樽屋の清次叔父さんのところも秋田杉が取れなくて、樽が作れないと嘆いていました。
どうにか代用品で原材料を調達しても醤油を入れる樽が無いって…ピンチ…!

あのお調子者の清次さんが、秋田杉以外はダメだって言って。
挽き材を使えばって提案すると、そんなことできるか!と怒り出し。

るいさんと口ゲンカしたあげく、最終的には受け入れてくれますが…。
大きなため息。

あの清次さんが溜息ついてたー!

 

清次さん、お調子者だけど、職人として自分の仕事にプライドはあるんですよね。
寺田農さんのお調子者演技、いい塩梅に悪者っぽく面白くて好きでしたが、今日の清次さんの溜息には涙、涙。

「ちゃんとした材料さえあれば、立派な樽こさえて、納めてやるのによ…」

人が死んでいくだけじゃない。
物資不足だけじゃない。
戦争って、本土にいる人々の仕事への誇り、生きる上での誇りも傷つけたんだと実感。

今日胸に一番刺さったのは、この清次さんの溜息だった。

 

久兵衛さんも涙

清次さんに続いてとどめに久兵衛さんも。

「仕込み樽が泣いてる。ご先祖様になんとお詫びをしたらいいか…」
と嘆く久兵衛ささん。

あの誇り高い久兵衛さんが情けないって泣いてるのがたまらないわ…涙。

前回、かをるが樽に祈ってましたよね。
醤油の味を決めるのは微生物。
御先祖様が微生物に成り代わってもろみの熟成を手伝っていると。

日本のそういう信仰、素敵だなあと思いますが、久兵衛さんの言葉にこの前のかをるの言葉が重なって、久兵衛さんの辛い思いが身に染みた。
久兵衛さん、よく先祖代々って言いますが、尊大な感じで言ってるんじゃなくて、一族のつながりを大事に思って言ってたんだよね、人生掛けて守ってきたのよねと。

その思いを滅茶苦茶にされたときの絶望感、情けなさたるや…。

神山さんも頭を下げて謝ってたけど、皆、皆、傷ついてる…涙。

 

しかし、これを受けて
「やっぱこれおかしいよ!こんなのやめようよ!」
じゃなくて
「何もかもアメリカ、イギリスのせい!」ってなるのが仕方が無いとはいえ、今の時代から見ると残念過ぎる。辛すぎる。