【おちょやん】感想ネタバレ 第28話 千代の舞台デビュー

『おちょやん』あらすじ(ネタバレ)

 

足をくじいてしまった清子は千代に主役の代役を依頼。

千鳥は、舞台未経験者の千代に主役は猛反対。
普段の演目に変えようと言うが、『正ちゃんの冒険』を楽しみにしているお客さんたちをがっかりさせるわけには行かないと、千代は主役を演じることを決意。
座員皆の決意も固い。
千鳥は「勝手にしたら」と出て行った。

そうと決まったら練習。
悩んでいる暇は無い。

ところが、舞台が初めての千代は、腹式発声ができていないため声が客席まで届かない。

 

夜遅くになり、千代は一人で練習を続けている。
するとそこに千代がやってきた。

稽古を見に来てくれたのかと千代は言うと、千鳥は千代の困る顔を見たいだけだと。
しかし誰もいないより見てくれるだけでありがたいと千代は千鳥に感謝。

千鳥はしばらく千代の稽古を見ていたが、あまりのダメさに居てもたってもいられなくなりなぎなたを持ってきて腹式発声をスパルタ指導。
棒読みでもいいから、とにかく声を腹に響かせるようにと何度もダメ出し、物を投げまくって猛特訓。

とうとう本番。
千鳥の特訓のおかげで声は客席に届くように。

しかしクライマックスで小道具の探検を忘れていたにの気付く。
ピンチの千代。
短剣を出して山賊と戦いを始めなくてはならないが…咄嗟にアドリブで
「お友達になろう!」と言い出した。

いろいろ辛いこともあっただろうけど、「皆で一緒に楽しい冒険を続けよう」と。
見ていた観客は拍手喝采。
観客の子供たちからは正ちゃんコールの嵐。

千代は無事に初舞台をやり遂げることができた。

おちょやんには珍しい棚ぼた展開?

千代ちゃん、いきなり主役!?
おちょやんにしては珍しい、春夏期の朝ドラみたいなご都合展開だな~と思いましたが、どうもこれは史実だったみたいですね。

主役が急病になりセリフを暗記していた浪花千栄子さんが主役に抜擢されたと。
確かに舞台ではそういったアクシデントがあるあるですから~。

でも、そこで抜擢されても下手くそで苦労するというのがこのドラマのきちんとしているところ。
千鳥先生の特訓でどうにか形が整うってところも、理屈は通っているし。

 

発声法は一晩ではなかなか難しいとは思うけど、まあなんだかんだ言って大劇場ではないし、まだ当時の演劇って技術的にもそう高くなかったと思うので、どうにか乗り切れたということかなあと思います。

 

千鳥先生の特訓

夜になり、千代は一人劇場に残って練習。
舞台前日にこの状態で、よく皆帰れるなあ、この状態なら皆で徹夜で練習じゃないか?
清子さん、呑気過ぎ!不安じゃないの?
という疑問は残りますが…ここは千鳥さんとマンツーマンで稽古させたかったから仕方が無いわね。

皆を追っ払うのに納得の内容を見せたら15分では書ききれないだろうし。
それよりも15分間で書かねばならないことはいっぱいあるから。

 

千鳥さん、「アンタの困る顔が見たい」なんて言い方して来ましたが、放っておけないのよね。
さすが座長。
やっぱり姉御肌で優しい。
座員の皆がついて来るだけあるわあ~。
そして密かに千代にデレてもいるwww

 

あんまりにもダメダメな千代に、耐えられなくなった千鳥さんはとうとう稽古をつけ始めました。
貧乏ゆすりしてイライラしている千鳥さんの気持ちを表す“附け打ち”が効果的!

千鳥さん、なぎなたを使えば腹式発声を実感できると指導。
なるほど。
一夜漬けで舞台に乗せるなら、とにかく腹式発声ができるようにする。
感情を込めるのは後回しという指導方法は理にかなってる。
『正ちゃんの冒険』だから、複雑な心情表現はほぼ無いわけだし。
セリフだけは完全に入っているんだから、発声がきちんとできていれば後は普通にやればどうにかなる。

 

千鳥先生、千代に特訓するうちに「違ーーーうっ!」といつもの物投げまくり状態に。
これまでパワハラ!と思ってましたが、千鳥さんの真剣さと愛が分かった。
今回は千鳥が手取り足取り教えるのを見てきたから。
座員の皆も、元々なこういう感じで丁寧に教えてもらっているのでしょうね。
その積み重ねがあるから物投げられても辞める人はいないのねと納得。

こんなところにも、実は違ったんだ…と種明かしがある。

 

一夜明けて、座員の皆が劇場に来ると、台本の紙が散乱した劇場で、千代と千鳥が倒れていました。
月影先生と北島マヤみたい~!!!爆

月影先生と北島マヤみたいな千鳥と千代を見て、やっぱり清子さんたちは帰らず舞台裏とかにいればよかったんじゃないかな?と思ってしまいました。
千代、千鳥の2人とそれ以外の座員との芝居に駆ける熱量に差があるなあと感じてしまう。
千代と千鳥のマンツーマンレッスン見せたいために、皆を帰らせてしまったのは簡単な解決法だったかもしれないけど、いろいろ整合性が無くなっちゃったかなと。

皆が稽古しているところで千鳥「こんなんじゃだめだ!千代は私が見るから!」みたいに言わせてもマンツーマンレッスンに入るのでもよかったんじゃない?
で、他のメンバーは楽屋でセリフ読みや、小道具諸々の確認をしている中、舞台では千代と千鳥が延々と稽古。
様子を見に来た清子さんが2人の壮絶な様子に「こ…これは一体…!?」とか言って驚愕すればいいかと…。
そして、清子さんは恐ろしくなってその場を離れ、翌朝2人のところに行くと、倒れている2人を発見…!!!
コレじゃ、ただのガラスの仮面か(笑)

ちなみに千鳥さんの大福もちをムニューと伸ばちしてる食べ方が美味しそうで。
大福食べたくなった。
美味しそう!って惹きつけられた感じは、私の中ではハイジのチーズに匹敵します。
あのいい具合にムニューっと伸びる感じもこだわって作ってるんだろうなあ~。
若村麻由美さんと消え物担当の方のこだわりが伺えます。

今日のおやつは大福もちにしよう。

千鳥さんの附け打ちもそうだし、小道具や劇判、細部にわたってこだわりがあってBKドラマはホント素敵。

 

千代はアドリブで女優開眼

千代、小道具の聖剣が鞄に入っていなくてピンチ!
そこを咄嗟にアドリブでしのぎます。

コレも史実みたいですね。
緊張のあまりにセリフを忘れて咄嗟に飛んだり跳ねたりしてそれが大ウケしたらしいです。
ドラマだと都合良過ぎな気がしないでもないですが。
事実は小説より奇なりということですねえ!

舞台初体験の千代がアドリブで凌げたのも信太郎君という存在がいたからですね。
“観客”という漠然とした存在に対峙しているだけならこのアドリブは無理だったと思う。
でも信太郎君という具体的な対象がいたから言えた。
あの可愛い元チビチビ武志、信太郎君が重要な役割を果たしていたー。

千代の場合は、史実の飛んだり跳ねたりではなくセリフでアドリブ。
闘うはずの山賊に「お友達になろう」と言い出します。
山賊も寂しいからお姫様をさらったんだろうと共感し、
「いろいろ辛いこともあっただろうけど一緒に冒険しよう!」と。

その後皆さんつじつま合わせが大変だったろうなあ~と思うけど(笑)
いいなあ!
私も小さい頃、戦い系の漫画やお芝居見ると怖くなっちゃって、もう皆仲良しになっちゃえばいいのに~とよく思っていたなあと思い出しました。

いろいろ辛いこともあったけど一緒に冒険しよう!
信太郎君へのメッセージでもあり、千代の自分自身を癒す言葉でもあり、世の中皆へのメッセージでもある。

なにもいちいち闘わなくてもいいじゃない。
お互いを分かり合おうとすれば闘いなんか無くなるんじゃないか、というメッセージ。

最近の殺伐とした世の中で固くなった心に投げかけてくれる優しい言葉。
沁みます。

そしてこのアドリブが千代の女優としての目覚めをもたらしました。
千代は、メッセージ性のある人物ということで女優になる必然性がある。
伝えたいものがある。
これも女優には欠かせない才能。
女優の才能について、技術的でない部分を言及したのはめずらしいのでは?

千代はこのアドリブによって、自分を表現することを知り、観客とのコミュニケーションを体感しました。
まさに女優開眼ですね。

 

本日ここが一番見せたかったのはこの千代のアドリブですよね。
千代の女優開眼の瞬間。
この状態で座員よく帰れるなとか、千代ちゃん一晩でここまで上手くなるかとか少し気になることはあったけど、言いたいことをハッキリ見せて貰えたし、そこに感動できてるから十分OKと思いました。