『おちょやん』あらすじ(ネタバレ) 第16話
テルヲが岡安を訪ねにきた。
千代とは8年ぶりの再会。
テルヲの話によると、栗子は子供を連れて出て行ってしまい今はヨシヲと二人で暮らしていると。
ヨシヲもようやく働くようになり借金も全て返すことが出来た。
千代の働き口も見つけたから一緒に暮らそうとテルヲは言う。
しかし、千代は岡安で働くことを決めたところ。
「昔のことを恨んでる?」というテルヲに千代は「恨んでる。一生許さへん」と即答。
一方、天海一座が久しぶりに道頓堀に戻ってきた。
その頃の道頓堀では須賀廼屋万太郎一座が一番人気。
劇場は連日満員。
劇場オーナーである鶴亀株式会社の大山からは天海一座の客入り悪ければ中日で打ち切りとプレッシャーをかけられた。
岡安を定宿としている天海一座。
千代たちが、天海一座にお酌をしていると、須賀廼屋千之助が万太郎より自分が上だと荒れ始める。
そのどさくさで一平は部屋を抜け出して芸子遊びへ。
一平は芝居の稽古に身が入ってない様子。
一平にハナがいつまでたって二代目を襲名できないよと言っても知らんふり。
シズから一平を見張るように言われていた千代が一平を引きとめる。
一平とも久々の再会。
一平は千代が父親が迎えに来て嬉しそうだと言った。
すると千代は「悔しい」と。
散々恨んでやっと忘れてここで生きて行こうと決めたところだったのに、テルヲに一緒に暮らそうって言われたら嬉しかった。
この8年は何だったのか、こんなに悔しいことはない。
お暇を貰ったら里帰りしてみようと思う。
ヨシヲにも会いたい。
一平は俺のオヤジは迎えに来るとしたらあの世に行く時だから、それまで悔いの残らないようにやりたいことをやっとかな…と結局芸子遊びに抜け出してしまった。
一平が芸子と飲み屋にいると、偶然テルヲが。
テルヲは借金取りらしき男たちに娘を売り飛ばして借金のかたにすると話している。
「千代に話をつけて身売りでも何でもさす」
一平は千代のことだと気付いた。
テルヲは相当なクズ父
あ~…テルヲ、とんでもないクズです~!!!
お金無心しに来たと思ったらそれどころじゃないのね!
千代を売り飛ばそうと画策しているとは。
千代の子供時代、ヨシヲと千代が迷子になってしまったとき、テルヲは捜しながら泣き叫んでました。
あの姿に、テルヲは本当にクズだけど、絶望の淵にあってどうしようもなくなっちゃってるんだなと、そんな弱さも感じてしまった。
そこからはテルヲのメチャクチャも不愉快ではなくなっています。
そこの理解はあるんだけど…でも相当だわ。
夜逃げしてからの8年間、テルヲは何一つ報われないままの8年間だったということね。
テルヲは、千代の母を失ってからずーーーーっとどん底のママで。
栗子と一緒になっても浮かばれないままだったのね。
何一つ浮上することなく、負の連鎖で。
テルヲにとっては千代の母を失ってからずーーーーっとどん底のまま。
テルヲ、要するに、もう壊れちゃってるんだよね…涙
栗子もやっぱり出てっちゃったんだねえ。
最初はダメだったけど、千代といろいろ揉めてた時の表情から、悪人じゃないことは分かってある種共感。
悪人じゃなくて、ただただ自分とお腹の子を守るために必死な弱い人なんだなあと。
千代を追い出して無事にテルヲと一緒になれたとしても、テルヲはお風呂無しの家に住む甲斐性無しだったんだから所詮栗子にはムリだったのよね。
それで夜逃げまでしたんだから、栗子にしたらたまったもんじゃなかったのでしょう。
テルヲと栗子、弱い者同士で寄り添いあって生きて行きたかったんだろうけど、世の中甘くないからねえ…。
今の社会は、生活保護があったり、メンタルケアを受けたり、社会的弱者に対する理解や様々なサポートがありますが、それがなかった時代は人生に疲れてしまった人たちにとっては相当きつかったんだろうなあ~と思い知らされます。
しかし、それにしても借金のかたにわざわざ娘を引き取って売り飛ばそうとするなんて!
テルヲどこかで、野垂れ死んでくれればよかったのに~と心底思ってしまう。
死ななくてもいいから、どこかの山奥で人知れず住んでりゃいいじゃんよぉ…涙涙
あさイチで華丸さんと大吉さんが、トータスさんが怖くなってきたって言ってましたが、ホント!
でもトータス松本だから、見られるって気がすごくするー。
他の俳優さんだったら、本気で怖くて憎らしくなっちゃいそう。
どこか愛嬌があるから、きっつーっと思ってても見られますねえ。
ヨシヲはいつ出る?会える?
千代はもちろんこっちも気になるヨシヲのその後。
あの可愛かったヨシヲは無事なの?
テルヲはようやく仕事ができるようになったと言ってましたが…。
このタイミングで素直に出さない…ということは、ヨシヲも絶対ひねくれてるな!
澪つくしと同じく、この脚本も素晴らしく良くできてるから、千代の思いを思いっきり裏切ってくれるでしょうー!
状況的にも夜逃げした後、散々な生活だったんだろうし。
栗子は自分の子だけを連れていなくなった、ということは母親と思って慕っていた人に裏切られたわけだし。
で、残されたテルヲとの生活は…どう考えても破綻。
ヨシヲはむしろ千代のことを恨んでるんじゃないの!?
自分を置いてサッサと逃げ出したって…。
別れの日、ヨシヲの「ねえやん、ねえやん」って声に、千代は必死に涙をこらえ振り向かず走って出て行きました。
振り向かなかったのは、自分の気持ちが崩れちゃうから。
振り向かなかったんじゃなくて、振り向くことさえできなかった。
その場を走って立ち去るしかなかったのに…。
もしかしたら、ヨシヲにとっては、あの時の千代の後姿さえもが憎らしいものとして胸の奥に残っているのかも…。
ああ、なんて皮肉。
なんて哀しい。
…よくできてるなーーー!
「悔しい」という千代。けなげな子供の心理。
千代、あんなに辛い思いをしてたのに、テルヲに「一緒に住もう」と言われたら嬉しい。
つい嬉しく思う自分が悔しいと。
子供って、けなげ…涙
あんなに、酷い目にあって心傷つけられても、それでも親を求めちゃうんだよね。
子供、なんだかんだ言って親が好き。
親に受け入れて貰いたいって思う生き物ですからねえ。
だから、嫌いだ、憎いって言いながらも、親が自分に優しい目を向けてくれる瞬間を必死に見つけようとするものです。
「嫌い」は愛情の裏返し。
でも、子供はそうやって期待しても、親も所詮ただの人だから。
子供が嫌いだ、憎いって思う部分はいつまでも歴然とあって、再び近づくとまた同じ思いをすることになる。
私も親と考えが違うところでよく衝突するので、この気持ちよく分かります。
他人だったら一度イヤな思いをしたら黙って縁切ればいいんだけど。
親だとつい、期待しちゃうんだよね~。
離れて暮らしてるとイメージが美化されたりするから。
親子関係って美しく書かれることが常ですが、現実はそうでもないと思う。
一般的には親子は仲良しであるのが常という風潮ですが、そんな風潮に良心の呵責を感じる自分がいます。
千代とテルヲの関係、誰もが心の片隅に持っている、そんな親子の複雑な思いもえぐり出してくれることになるのかも。