【澪つくし】感想・レビュー 第55話 惣吉(川野太郎)VS久兵衛(津川雅彦)、初対決

『澪つくし』あらすじ(ネタバレ)第55話

昭和3年の正月、松岸の遊郭で入兆の広敷の連中とと利根川丸の漁師たちが大乱闘。
双方いケガ人を出した。

その騒動に決着を付けようと、惣吉は源八を伴い入兆を訪問。
久兵衛は惣吉のみを家へ上げ、一対一の直談判。
ケンカの始末の交渉から、かをるとの結婚を認めるか認めないかの話に。

両者意見が折り合わないまま、久兵衛が醤油屋になるなら認めるというと、惣吉は「沽券にかかわる」と突っぱねて解決に至らず。

しかし、かをるは惣吉の正々堂々とした態度に感動。
一生結婚できなくても惣吉のことを思っているだけでもいいと思った。

律子はピアノリサイタル

律子さんはピアノリサイタル。
ヴァイオリニストの宍戸と組んで演奏。
律子さん、イヤだイヤだと言いながらちゃっかり共演!
なんだかんだ言って銚子芸術協会の面々と仲良くやっているみたいー。

演奏曲はドヴォルザーク『ユーモレスク7番』 。
律子さん、ドヴォルザークお好き?
前に、かをるに日本交響楽協会のリサイタルに行った話をしていたときに聞いていた曲もドヴォルザークの『新世界』でした。

そしてこのドヴォルザーク、昭和初期が舞台のドラマではよく使われ気がする、今ではあまり登場しないなあ~と。
自分が子供時代は、今よりもこれらの曲が身近にあった気がする、懐かしいなあと。
このユーモレスクにも昭和の匂いを感じました。

クラシックは詳しくはないのですが、このユーモレスクは1894年の発表。
ドヴォルザークは律子さんたち大正の人たちにとっては最先端の作曲家だったってことかも。

 

この演奏会の開催資金、メインスポンサーはもちろん入兆ですかねー。
お嬢様っていいわねえ~。
弾くとなると、いきなり立派な会場を取ってリサイタルできちゃうんだから。
ドサ回りなんて無縁。

しかも観客には広敷の連中まで動員して満席に。
何から何までお膳立て…苦笑

優雅だけど、最先端だけど…無力。
ただのお飾りの残念な図。

いかにもお嬢様らしい、優雅で眼福、耳福なシーンですが、同時に律子さんの痛い部分も晒してる。
ジェームス様ったら、残酷です。

 

しかし、そんな優雅なリサイタルの最中に、吉武一家が来たとの報告を受けて広敷の連中はバタバタと退場。
頭の神山(牟田悌三)さん、連中を叱って引き留めるも、気になって「ちょっと…ちょっと…」と着いて行っちゃってww

そして最後にはかをるも…。
迷惑千万な入兆メンバー!爆

 

 

 

入兆の前では小畑(高品格)と梅木(柴田恭兵)が惣吉に対応

坂東家の家の前では惣吉さんと源さんが。

梅木わんこは、スゴイ目で惣吉さんを睨んでウウウーッ!!!と睨んでます。
そんな目つきの梅木さんも、カワイイ。

そして番頭 小畑(高品格)さんは、
「とりあえずけえってくんな…これ以上こじれっど血の雨降っぞ」
…高品格さん、いかにもベテランの番頭さんって感じでいいんですよね~。
大した出番は無いのに、言動がいちいち印象に残る。
小浜のことを「目つきが気に入らねえ~」とか、小浜が『何が彼女をそうさせたか』を持っていると知って「危ねえ、危ねえ」って反応したり。
そうかと思うと、弥太郎と久兵衛の将棋の勝ち負けをかをるに「どんなあんべえだ?」って聞きに来たり。
…いちいちカワイイwww

首が無い感じもカワイイ。

川野太郎も、柴田恭兵も、津川雅彦もいいけど、実は自分、高品格推しかも…!!!

 

そして「血の雨降っど」の小畑さんに、惣吉さんは表情変えずに「血の雨を降らせないための相談です」って…。
この人たち…どこまでケンカが日常なんだか…www

 

惣吉VS久兵衛の初対決

惣吉たちを小畑と梅木が突っぱねていると、広敷の連中がやってきて惣吉にちょっかいを出して騒ぎに。

ハッキリ言ってさあ、最初から一貫して失礼なのは入兆だからね。
特にさんま!
さんまが毎回ケンカに持っていくようなこと言い出す怒。

入兆は謝ろうとは考えないの?笑
松岸の遊郭にちょっと事情を聴けば、入兆が悪いって言われるハズー。
ケンカになる前から客として失礼千万な態度だったし。笑

 

んでまあ、その騒ぎを聞きつけて奥から久兵衛さんが出てきて惣吉と対峙する形に。

ついこの前、ジェームス三木さんと川野太郎さんの対談記事を拝見しました。
2年くらい前の記事かな?
『澪つくし』撮影当時のことを回想していました。

川野太郎さん、初めての久兵衛さんとの絡みのシーンでは非常に緊張されたと。
でもその緊張は、そのまま惣吉が久兵衛に対峙するときの緊張と重なると考えて体当たりで頑張ったと語っていました。

そのシーンがこれかな?

若いのに堂々とした態度で、さすが漁師のプリンスといった感じがよく出ています。
いかにも若者らしい合理的な考えも持っていて、賢くて。
貫禄の久兵衛さんと見事なコントラスト。

惣吉と久兵衛さんのセリフのやりとりは、その2人の考え方の違いを見事に表現。

まず惣吉さんは、今回はかをるを嫁に下さい話は置いといて、ケンカの後始末の方法を切り出します。
お互い謝って仲直りの手打ちにしたいと。
ケガ人の医者代、休業手当は吉武家が持ち、手打ち式(いちいち式までするんだ!)の費用、松岸の弁償代は折半を提案。

すると、久兵衛は惣吉がかをるを諦めさえすればケンカはおさまるんじゃね?と核心ついてきました。
それに対して、惣吉はむしろ結婚できた方が双方が仲良くなれるはずだと切り返し。
なるほど、惣吉さん上手いわ~。
そうかもー!
若者、実に前向きー!
共に仕事をする仲間となれば確かに誤解は解けそうだ!
惣吉さんとかをるのキラキラカップルならやれそうだ!

でも久兵衛さん、「虫のいい理屈こねるな!わしは絶対認めんぞ!」と一蹴。
そのときの惣吉さんの、ちょっと困ったなって感じにプンってなった顔がカワイイー。
くったくのない少年感がスゴイな、いいな~♪

 

かをるを嫁にやりたくない久兵衛の本当の理由

久兵衛さん、惣吉との結婚を認められない理由は、単なる漁師への偏見だけではありませんでした。
久兵衛さんの言い分としては、

  • 漁師は危険な職業。特に銚子の海は難所。毎年20人-30人の遭難者がいて後家さんがゴロゴロいる。
  • 荒い漁師を扱うのは陸者の娘ではムリ!

なにも惣吉が気に入らないのではなく、かをるが漁師の家の嫁になるリスクが高すぎると。
惣吉が遭難して未亡人となってしまったら…と心配。
なるほど、父親としてちゃんとかをるの幸せを考えていました。

でも、久兵衛さんは飽くまでも結婚=“家”なのよね。

それに対して惣吉は

  • 醤油屋ではなく、かをる自身と結婚したい
  • 港も整備されて船の性能も良くなっている。安全性は上がっている。
  • 浜には浜の良さがある。一年も暮らせばかをるも分かってくれると思う。

さらに旦那を信じている。
旦那がその気担うrまで3年でも5年でも待つと宣言!

 

両者とも一歩も引きませんが、惣吉さんの方が分があるかなあ~。
久兵衛さんも、もう突っ込みようがないねえ~。

 

そしたら、久兵衛さん、醤油屋になるなら結婚を許すと最後のカードを出してきましたー!
やっぱり惣吉さんの事、なんだかんだ言って気に入ってるなwww

すると、若者らしいポジティブ発言をポンポン言っていた惣吉さんが、なんと!漁師をやめるのは「沽券にかかわる」から絶対ダメー!と。

「沽券にかかわる」
おやおや惣吉さん、最終的には最も古典的だぞwww
男って「沽券にかかわる」の一言で、結婚しても捨てるものゼロでいいのよねえ~と、令和の今ではまた別の感情も動いてしまうwww
惣吉さん、結婚すると妻にワンオペ育児させるタイプの典型かもよ笑
まあそれは置いといて、いかにも当時の理想とされる筋の通った男!

久兵衛さんは、してやったりという感じでそんなこと言ったらこっちも醤油屋の沽券にかかわる!と言い返して両者決裂。
ハイ、第一ラウンド終了ー!

「沽券にかかわる」という意味では、久兵衛さんは、かをるの「沽券」を守ろうとしているってことでもあるのか…。
なかなか…ぐるっと回って…難しいねえ。

惣吉と久兵衛、結構そっくりだな、2人…www
漁師VS醤油屋の構図さえ無ければ、惣吉さんは久兵衛の一番のお気に入りになりそう。

 

 

かをるは惣吉感動

吉武家が来ていると聞いて落ち着かないかをるは、ピアノのリサイタルから抜け出し戻ります。

かをるさん、お着物姿美しいー。
今日もそうですが、かをるの着物で走る姿、わりと多いですが練習頑張ったんだろうなあ~なんて思いながら見てしまう。
玄関を上がり、草履の向きを直してから奥の部屋へ…という一連の動作も滑らかで、デビューして間もないのにそういった着物の所作の訓練も大変だったろうなあと。
ちなみにこういった所作の指導が細かいのもさすがNHK、さすが昭和!と感心してしまいます。

惣吉と久兵衛のやりとりを障子の向こうで聞いていたかをるは、涙…目薬かなwww
しかし、惣吉さんに気付いて、泣き顔からと精一杯の笑顔を見せるかをるの表情はさすが。
胸がいっぱいで涙涙だけど、惣吉にはとびっきりの笑顔を見せていたいという乙女心が手に取るように分かります。

そしてかをるを見たときの惣吉さんも…キラキラの笑顔。
この2人、先週も道端でばったり会えた時も本当にキラキラで。
なかなか会えないけど恋している、思い合ってる2人の会えて嬉しい笑顔なんだわあ~とうっとりしてしまいます。
この2人の笑顔、全ての棒を吹っ飛ばすパワーがある。

かをるは惣吉さんの堂々とした態度に感動。
結婚できなくてもいいやと思うくらい、惣吉さんに感動。

かをると惣吉はお互い一目惚れで、そのパワーだけでここまできていて本当に大丈夫?と思うことがありますが、こうやって結婚までの困難を乗り越えていく過程でお互いの人柄を知り、より愛を深めていくのですね~。