【澪つくし】感想・レビュー 第53話 ハマー(根岸季衣)は惣吉を「頼もしい青年」と評価

『澪つくし』あらすじ(ネタバレ) 第53話

画家の沖田が古美術商の竹馬堂を伴って入兆にやってきた。
沖田が竹馬堂を連れてきたのは、竹馬堂で売られていた平田篤胤の書が入兆の物かどうかを確認するため。

久兵衛が確認すると確かに入兆の家宝の掛け軸。
掛け軸が何者かに盗まれていたのだ。
結局久兵衛は、300円大枚をはたいて掛け軸を買い戻した。

久兵衛は、かをる、律子を呼んで心当たりはないかと確認。
女中部屋も調べるという騒ぎに。

ちょうどその頃、入兆の門前には惣吉が。
ハマーが対応。
久兵衛はもちろん門前払いに。
久兵衛はハマーに惣吉の印象を聞くと、ハマーは広敷の者とは比べ物にならない頼もしい青年だと褒めた。

平田篤胤の掛け軸の件は律子の仕業ではないかと、かをるは律子に問いただすと、律子はあっさりと認めた。
水橋に届けた封筒のお金は、掛け軸を売って作ったものだった。
罪の意識は無いのかと聞くかをるに、律子は「今に分かる」と言った。

 

久兵衛は、銚子醤油醸造組合の会合に出席。
醤油業界全体が困難に直面しているのは政府からの醤油の値上げ禁止。
陳情しても受け入れられないようなら、後はカルテルしかない。
業界全体で話し合って生産量を減らし、操業短縮をしてコスト削減をしようと。

出荷が減れば、売り上げが減る。
そうなれば人件費も減らすしかない。
入兆をはじめとした家族的経営の醤油屋にとっては大変苦しい選択だ。

惣吉は、久兵衛に会おうと組合の門の前で待っていた。
組合を出てきた久兵衛に惣吉はまっすぐに向かい「かをるさんを俺に下さい」と申し出た。
しかし久兵衛は「待ち伏せをするような奴はキライだ!」と言い捨て、車でその場を後にした。

 

科捜研の女、掛け軸盗難の犯人は律子と見抜く

平田篤胤の掛け軸は律子さんの仕業でした。
かをるが水橋に持って行った封筒のお金は、平田篤胤の掛け軸を売ってゲットしたお金。

小浜の時もお金渡してましたが…アレも?

小浜のときから、なんで律子さん、お金あるの?って思ってましたが。
現代の株式会社のオーナー一族なら、入兆の大株主になって配当金受け取ってるかもしれないけど、当時はまだそういう感じじゃないもんねえ。
東京の大学に行ってた時のお小遣いを貯めてた?とも考えていたけど…。
掛け軸売ってお金作ってたとは!
掛け軸を直接古美術商に持って行った人は誰だろう?

 

かをるは掛け軸が盗まれたと聞いてすぐ律子さんと気付きました。
さすが!科捜研の女。
昨日に引き続き勘が冴えてるぞ!
昨日『科捜研の女』放送日だったから、今日のかをるはマリコさんだったか?

律子さんはかをるに言われて即座にかをるを褒めました。
「同志、アナタは勘がよろしい!」

同志…って言われると…ドキッとしちゃうーwww

このドラマの当初、律子さんを見ながらついつい、桜田淳子さんは自由を求めるモガ女性を演じて…共感できたのかしら?
何か考えさせられたりしなかった?
と、よく演じられたなあと複雑な思いがしていましたが…。
でも最近の律子さんの行動からは、自由や信念のためには他者を破壊しても構わないところが…やっぱり共通してる?
そこに共感したから演じたの?とか…
ついつい中の人を重ねて見てしまいます…。

 

 

ハマー(根岸季衣)の人柄と演技に感動!

本日のハイライトは何といってもハマーでしょう!

惣吉が門前に訪ねに来たとき、久兵衛に言われてハマーが対応。
その後、久兵衛に惣吉がどんな男性だったか印象を聞かれると…言ってくれました!

「正直に言いますと入兆の若い衆とは比べもんになりません。漁師でさえなかったら頼もしい青年やよと思いました」

くううーーーっ!!
痺れるーーーーっ!
なんてカッコいい!
なんて素敵なの!
ハマーーーーっ!!!!

ハマーがこう来るとは!
ジェームス、憎いわー!

やっぱりハマーはただの意地悪じゃない!
常にフェアなお方だったのよー。

ハマー、当初はすんごい怖くてインパクトありました!
かをるを目の敵にするし、るいさんと平気で言い合うし。
プライド高っ!めんどくさっ!
おしんみたいな敵が出てきたーっと思っていましたが…。

回を追うごとに良いところが段々と見えてきましたよねえ!

かをるが女中見習いしていたときは厳しかったけど、入兆の娘として写真館に行った時はきめ細かくサポートしてくれてました。
入兆のしきたり伝統のレクチャーはお見事だった様子だし。
女中のザ・プロフェッショナルだと見えてきました。
プロフェッショナルだからこそ、千代への忠誠心が強くて、かをるやるいに偏見があるのだろうと理解できました。
敵なのは仕方ないよなあと。

そしてあるときは、早苗ちゃんが広敷の奴らにセクハラ受けると、代わりにうんと怒って守ってくれたし。
正義感があって弱い者に優しい人だとも分かってきた。

さらに興味深かったのは、かをるが入兆から古川家に戻ってきた時の事!
るいさんと清次が、かをるをどうにか入兆に戻らせようと四苦八苦している姿を見て…目からウロコ!
ああ!こっちこそ入兆に寄生しているじゃんか!
なるほど、これだよ!
ハマーが不快感示すのは当然だよと。

正義感の強いハマー、裏表のないハマーにとっては、るいさんたちの思惑をビビッドに察して生理的に拒絶だったんだろうなあと。
千代さんを守らなくてはと必死だったんだろうなあ…と、ハマーの気持ちが痛いほど理解できてしまいました。

 

それでもハマー、かをると小浜の密通の件が誤解だと分かると、かをるにきちんと謝罪してたし。
自分の過ちをきちんと認めて謝罪できる潔い人。
しかも、かをるが律子さんを守ろうとして小浜の件を弁明しなかったと知って、かをるを見直したみたいだったし。
ハマー、人に対して偏見を持たない人なのだとも。

ハマーって敵に見えてたけど、そうでもないんじゃね?
キツイけど意地悪じゃないんじゃね?
と、段々と分かってきたところでのコレ!!
「頼もしい青年やよ」だからーーーーーっ!

 

しかも、ハマーは、惣吉の姿、言動を見て一目で好青年だと察した模様。
その表情にハマーのキャリア、人生経験の豊富さ、人としての厚みを感じました。

惣吉さんの態度ももちろん素晴らしかったけど、このハマーが認めるなら惣吉さんはお墨付きだなあと思える説得力があった。
どこかのヒロインアゲで都合よくOKと言ってるワケじゃないのよ!

それは、これまでの丁寧なシナリオ描写と、根岸季衣さんの演技の積み上げの賜物!
コレぞ朝ドラの醍醐味よぉぉぉ!

惣吉さんの話しっぷりを見ていたときの感心したようなハマーの目、そして「確かに承りました」と誠実に言った時のハマーの表情、もう釘付け!
ハマーの女中頭としての見る目の鋭さと、公正さと、ハマー自身の人生経験と…全てがあの目線、表情に集結。

たった数秒のことなのにねえ。
すごいお芝居を見せて貰えたなあ~と気分が高揚!
ぞわぞわキターーーー!

ハマー、久兵衛さんと千代さんが全面的に信頼しているだけあるわ…。
久兵衛さんと千代さんが、ハマーを愛想が無いとか、暗いとか言うのはディスってるんじゃなくて親愛の情だったんだなあと。

根岸季衣さん、スゴイ女優さんなんだなと改めて!!!!
もう超好きになってしまいました!

 

惣吉さんは今日も爽やか

本日も惣吉さんは入兆を訪問。
直球で正々堂々。
もう爽やかで惚れ惚れするわー!

こりゃもう、毎日来たらハマーだけじゃなくてみんな好きになっちゃうよ笑
すでに広敷の男衆は黒鯛でやられかけてるみたいだけど…。

今日は源さんを伴っていませんでした。
とねさんが言う通り、毎日通い詰めたら漁に差し支えるから惣吉さんだけで来たのでしょうが。

惣吉が1人で来たとハマーから聞くと、久兵衛さん、オヤって顔してましたが、1人でも来る勇気のある男って思ってくれたのかしら?
または世話人を伴わないと無礼と思った…?
その辺の当時の常識感がピンときませんが。
勇気があると思って!

惣吉さん、きちんと皆に礼をするし、物おじしないではっきりと「かをるさん嫁に貰い受けたい」って言うし。
その正々堂々とした態度がいちいち気持ちいいったら!
そして、広敷の連中に、土産を持ってなかったことをからかわれると「すまん」って、素直に謝って。
広敷者にも偏見を持たないし!
ホント…いい子!!!!

 

惣吉さんって、体育会イケメンでいわゆる男らしい力強さもあるけど、まだまだ少年臭い素直さをビンビンに感じて好印象。
そこがまた可愛い!
「正々堂々と許しを受けて結婚しよう!」
って明るく元気に言っちゃえるところが若さであり屈託のないところ。
ただ男らしいよりもさらに魅力的。
惣吉さんとだったら何でも乗り越えられそう~と困難もワクワクに変わっちゃう感じがする。

そしてこの惣吉さんのストレートな感じ、久兵衛さんにとっては痛いところをグイグイ攻められるような感じもするだろうなあ。

そして梅木にとっても。
梅木、脅威を感じていたみたいですね。

 

 

しかし、本日は直球過ぎる惣吉がアダに…

まっすぐな惣吉さん。
しかし本日はそれがアダに…。

久兵衛を醤油醸造組合の前で待ち伏せてて、久兵衛さんを怒らせちゃいました。

源八さん、律子さんから言われたこと、ちゃんと惣吉に伝えたー?
醤油屋は直接ガンガン来られると引くって言われたよねえ?

入兆に日参することは、ポリシーだからいいとしても、久兵衛を待ち伏せしちゃったのはまずかったねえ。
しかも、醤油業界の苦難の話をした後でのタイミング。

律子さんが、「目的を達成するためには作戦が必要よ」と、かをるにアドバイスしていましたが、その通りになったよ!
セリフ、重ねてくるなあ!
律子さん、そんなところで言ってるだけじゃなくて、ちゃんと結婚させる同盟を招集してきちんと伝えてよー。

 

九兵衛さんも、惣吉を一目見て好印象と思ったようですね。
ハマーの言う通りだなと。
目を見ただけでよく分かった。

でも…でもでも、それにしても間が悪い!
久兵衛さん、醤油屋の重----い話をしてきた後だもんね。
カルテル…今じゃ違法だけど、政府が値上げを許してくれないから、業界で足並み揃えて生産量を調整するしかないと。
要するにコスト削減…ということは人員削減。
久兵衛さんのポリシー、入兆のモットーである“家族的経営”を捨てなければならないかも…。

こんな今までにない最も苦しい悩みを抱えているところに…。
惣吉さん、知るわけないけど間が悪すぎる。

しかも惣吉さんの、まったく影の無い、素直さ、爽やかさ、まっすぐさがー!
あのキラキラが、久兵衛さんにとっては超ストレスだったでしょう!

正しいことこそ、人を傷つける。
これを知るには惣吉さんは若過ぎる。
そしてまっすぐに育ち過ぎてる。

こんなちょっとしたタイミングでも、容赦なく不利な状況をぶっ込んで下さるジェームス、勘弁してほしよ(ハマー流)。