NHK朝ドラ『まんぷく』感想 第106(第19週) 「10歩も20歩も前進です!」 萬平さんは麺を乾かす方法を悩み中。忠彦さんは新境地を開拓!

『まんぷく』第106( 2月 6日)あらすじ

※ネタバレ含みます。

萬平はラーメンを常温で保存するために麺を乾燥させようと考える。
天日干しを試すが、
思いの外早く乾いて、これはいい感じ。

さっそくお湯をかけてみる。

1分経過だけでは、麺はまだほぐれず。
2分経過、3分経過でそれぞれ試食してみたが、
いずれも硬いところとふやけたところが混ざってしまっている。

天日干しだと外側だけ先に乾いてしまって
中と外で乾き具合が不揃いになってしまうからだ。
「ならば陰干しをしてみては?」
と福子が提案。

萬平は陰干しする時間を
1時間、2時間、3時間と差をつけて
実験してみることに。

いよいよラーメンが完成するかも…と
ワクワクが押さえきれない福子だが、
ここで切り上げ白薔薇に出勤。

 

一方忠彦の壇蜜モデル騒動。
「私を描いて!」
とマンボをかけて突如踊り狂う秀子に
圧倒された忠彦は一切筆が動かず。
「何も書けないの?
どうしても自分の殻を破れないのね」
と言い捨てて秀子は帰って行った。
忠彦は茫然自失。

翌日も秀子はやってきてマンボで踊り狂った。
しかし今日は、忠彦は立ち上がって絵筆を力強くキャンパスに走らせた。
「そうよ!先生描けるじゃない!」
そして絵は完成。
「僕の新境地や!」
ハァハァ…。

秀子の役目は今日で終わり。
帰り際、秀子は克子に
「奥様、芸術家の妻があれくらいのことでうろたえてはいけませんわ」
と一発かました。
壇蜜退場。

 

克子たちはアトリエの忠彦のところへ、完成した絵を見た。
タイトルは『踊る女』
「僕は秀子のパッションを描いた。
彼女からほとばしる情熱を描いた。
それをキャンパスに表現できたんだ!」
と忠彦は感動に打ち震えているが…
皆はさっぱり絵を理解できない。

 

帰宅した福子が楽しみに研究所を覗くと
萬平はショボン。

陰干しは、3、4時間置いても生乾きのままだった。
これでは常温保存するのはムリだ。
これ以上陰干ししたら、麺がいたんでカビも生えてくるだろう…。

 

萬平さんは家族で食卓を囲んでも凹んだまま。
それを見た源は
「勉強が足らんと違う?」
と一言。

源はいつも福子から、先生の言ってることが分からないのは勉強が足りなからだ、
しっかり勉強しなさいと言われているからと。

それを聞いた萬平は
「確かにそうだ!やみくもに試しても意味が無い。もっと麺のことを勉強しないと」
とハッとする。
「どうしてそう言ってくれなかったんだ。
お前が僕のことを一番理解してるんだ。
僕の暴走を止められるのはお前だけだ福子!」
と萬平は福子に指示をおねだり。

福子は照れながらも萬平に
「萬平さん!明日図書館に行って麺のことをしっかり勉強して着なさい!」
萬平に指示。
楽しい団欒風景。

 

 

『まんぷく』第106( 2月 6日)感想

 

萬平さん、今度は麺の乾かし方をどうするか。
簡単に天日干しというわけにはいかないのねー。
うどんやそばの乾麵と違って固まって干すんだし。

こうやって失敗失敗を繰り返すのって、
いちいち凹んだりストレスですが、
昨日萬平さんが言った通り、
失敗は「これがダメだ」ってハッキリ見えたこと自体が大前進なのよね。
凡人は慣れないから喪失感の方を強く感じちゃうものだけど…。

すぐに方法が見つかるのは確かに安心するしラクだけど、
それだと他の可能性を試しきらずに中途半端な状態で納まっちゃうかもしれない。
中途半端な状態で満足して世に出してしまうと、
もっと簡単でいい方法を他の人に見つけられて
あっという間に乗っ取られてしまうかもしれないから。

だから失敗することで可能性を一つ一つ潰していくことになるから
いいことなんだよね。
ゴールが見えないときは確かに凹むけどね…。

 

萬平さんと福ちゃんの開発シーン、先週から研究所の中でだけなんだよね。
そして二人芝居。
しかも萬平さんは研究所の福ちゃんとのシーンのみ。

この状態で楽しく見られてるのって、
すごいことなんじゃないかなあと思って見てます。
ハセヒロと安藤さんの演技の賜物ですね。

 

…ただ、夫婦二人三脚での開発、
福ちゃんが参加している様子を描くため、
そして萬平さんが思案する過程は一人芝居になって表現しにくいからでしょうけど
福ちゃんからのアイデア出しの方が多く見えて、目立ってしまって
福ちゃんの方がアイデアマンに見えてしまう傾向にある気が…。

今日の「陰干しは?」では、さすがに福ちゃんの方がメイン開発者か?と。
福ちゃんの方が指示出ししているようにも見える。
その辺の微妙なバランスって難しいですね。

でもね、いかにも仲良し夫婦の開発♪って感じで、
暗中模索ながらも頑張ってる様子が微笑ましくて
見ていて楽しいことは確かー。

そしてね、白薔薇に出かける福ちゃんに、
萬平さんは素直に感謝の気持ちを表してくれるし。
福ちゃんが出て行った後、福ちゃんに敬礼する萬平さんの姿に感動しました。
この時代の旦那様にしたら、珍しくリベラルなお方。

そしてラストの家族の食卓のシーンでも
源ちゃんの意見を真摯に受け止めて福ちゃんに指示出しおねだりするし。
萬平さん子供にもきちんと向き合って、そして妻を信頼して頼って。
こういう夫婦の姿を見ていたら、源ちゃんも幸ちゃんも意地悪には負けないよなあと。

当時の亭主関白の概念にとらわれる人間だったらそうは行かないわ。
萬平さん、そういう心が自由な人だからラーメン開発が成功したのね。

 

ところで忠彦さんと壇蜜!

忠彦さんは新境地を開拓。
この時代、絵もリアリズムから抽象絵画、前衛アートへと潮流が変わっていくところ。
ピカソもミロもマティスもダリも…当時のモダンアートの芸術家たちは
こんな感じでモデルと対話して絵を描いてたのかなあ。

萬平さんのラーメンも、
これまでの世の中の常識をブチ破るすごい発明なんだよねえと
このシーンを重ねて見てました。
この時代のテーマは全てのジャンルにおいて
既成概念の殻を破る時代だったんだあ…!!

忠彦さんが絵描きだって設定は、実はこれを重ねるためだったのね。
チキラーのひよこさんのためだけではなかったのね
(ひよこさんのデザインに絡むかどうかはわからない。ナナコロビヤオキの期待だけですが)

壇蜜、意外とあっさり素直に終っちゃったなあ…残念。
もっと絡んで克子姉さんをやきもきさせるかなとも興味津々だったのですが。

でも壇蜜は
忠彦さんの新境地開拓、
萬平さんの「既成概念を破る開発」、
これまでとは違う新しい躍動感に溢れた1960年代
という新たな潮流を象徴するキーマンと言うことで。
壇蜜、ただの引っ掻き回し、不倫疑惑要員って安っぽいものではなく
なかなか含蓄のあるいい役だったのねえ…。
素敵。

明日は天ぷらでいよいよ麺をフライにするのを思いつく?
明日も楽しみですー。