NHK朝ドラ『まんぷく』感想 第91回(第16週) 「あとは登るだけです!」 萬平さん理事長辞任。自宅を後にし新たな出発

『まんぷく』第91回( 1月19日)あらすじ

※ネタバレ含みます。

萬平は理事長辞任を宣言。
その提案は梅田銀行幹部にも認めてもらうことができた。

梅田銀行から理事長を招き経営判断を梅田銀行に委ねることにより、
織田島製作所をはじめとする融資の継続も可能となった。

 

福子は敏子につきあってもらって物件探し。
先日敏子には涙を見せた福子だが、
あの時に、泣いたおかげでスッとしたと今ではすっかり前向き。
家賃2000円の物件を見て、古いがが裏庭が広い、庭で野菜が作れると即決した。

 

自宅での最後の食事。
家財道具も全てが無くなったが、家族が元気で笑顔があれば大丈夫。

翌朝、萬平と福子は源、幸を連れて8年間過ごした我が家を後にした。
昭和32年の暮れのことだった。

 

 

『まんぷく』第91回( 1月19日)感想

 

萬平さん自らの決断で理事長辞任。
…こういうの、日本人好きね。
切腹と同じでね。
切腹文化、根強いわね…。

そういうことすると一発で全てがキレイ事のお話しとなり
萬平さんは一躍ヒーロー。
これまでやらかしたことも、一切言及されずに済んで
全て帳消しー♪

 

あの梅田銀行の矢野さんも萬平さんに
「頑張って下さい」
と言い出すほどの人の変わりよう…。
矢野さんのあの態度から、萬平さんのことは最低評価だったんじゃないと思っていたのに。

これまでの態度からしたら、矢野さん、信用組合の財務状況、融資の状態を見て
「これ、完全に私情じゃんか!不正融資だよー」
と判断してたんだろう、そして
「とにかくこいつを追い出さないと」
と思ってるんだろうなあ~と推測していたんだけど。

立花家の自宅を差し押さえに来たときも、
帽子も取らずに後ろで控えちゃってさぁ…爆
しかも斜め向きの姿勢で睨んでて…爆爆
まるでマフィア映画かと思ったくらい怖かったよぉぉ~爆爆爆。
しかし、銀行員、あんな帽子被って仕事先に行くのか??っとも疑問だしたが。
…不思議な悪人演出に…失笑。

 

そして福ちゃんはすっかり前向き。
明るくボロい物件でも笑顔で即決。
そうよぉ~朝ドラヒロインは何があっても笑顔でいないとね。
どんなに、ボロい物件でも、イヤだとか言ったりしちゃいけないの。
これまでのゴージャスなお家と比べて嘆いたりしちゃいけないの。
…日本人ってこういうのも好きだよね。
お金じゃないの。
ゴージャスな生活よりも家族の健康が大事。
お金より愛が大事ってね。
贅沢は敵視。

 

今日は今週の信用組合破たんの件のまとめで、
理事長辞任→引越しでまるっと納めただけで。
その流れに従い、事実が描かれていただけなので
特に感じることもなし。

っていうか、
この内容でも十分感じられるものがあれば感じられたと思うんだけどね。
特に心は動かず。

それには、福ちゃんが内心どう思ってるかの描写が一切描かれてないからかな。
だからこっちは事実を追って見せられるだけになっちゃって、
気持ちを乗せられないのよね。

福ちゃんの本音、この前敏子ちゃんの前では泣いちゃった件も、
実はあの後すぐ泣きやんだのよで片付けられてたしなあ。
「泣いたらスッキリした!そうよね、敏子ちゃんもハナちゃんも、皆いるもんね」
でケロッと笑顔に戻ってキレイ事にして終わり。
そんなに、泣くのダメか?
旦那様のグチって一言も言っちゃいけないの!?
…この福ちゃんの態度、明るく前向きを表現したかったんだろうけど、
こっちは裏切られたかのように見えたわ。
そして福田さん、そんなに女性のことを男性の都合の良い生き物に描きたいのかとも…。
…ちょっと福ちゃんの描き方に失望…。

ちなみに敏子ちゃん、余計かもしれないけど
自分が織田島製作所を紹介しちゃった件が、
今回の騒動に何か影響してるんじゃないかと心配しないか???
その辺は萬平さんも話してないしで、敏子ちゃんも気付いてないってこと?
でも、敏子ちゃん織田島製作所と知り合いなんだもんね?
事情を知らないとしても、
織田島製作所を心配してとか、自分の呉服店も口座あると思うし
あらゆる方面から情報が入ってきて、
福ちゃんの心情以外にも、心配したり力になったりすることはないのかい?
…まあいいけど、敏子ちゃんの存在も、
ただの情報提供者と応援団に成り下がっちゃったってことね。
そしてこの情報提供者と役割者の役割も分断してて関連性無く、
別々の2人の人格がやってもよかったじゃんくらいに
敏子ちゃんが演じる必然性も無くで…。

 

今日でどうにか信用組合破たん→理事長退任の件は片付きました。
まあマイナスのくだりはこれで終わりのようだからまずはよかった。
…でもなあ、前にも言ったけど
ここまでのくだりを年末までにすれよかったんじゃない?
ちょうど福ちゃんたちが家を後にしたのも年末なんだし。
お正月に文なしは縁起が悪いからダメってか?

でもさ、文なしは避け、
縁起良くお金持ちからスタートしても
正月明けにいきなり勘違いな成金ファミリー見せられた方が何倍も不愉快だったぞ。
しかもそこから下り坂なんだし。
ラーメンにまだまだ辿りつかないストレスも大きかったし。

全てを失い家を出るという今日の終わり、絶望で涙涙じゃなかったわけだし。
むしろ希望が見えてたでしょ。
萬平さんもこれまでの8年間は本当にやりたいことじゃなかったって、
自分を見つめ直すことができての
ゼロスタートなんだから、
これぞ明るいスタートなんじゃないの…??

…それとも制作側こそが、
登場人物の心情より、文なしの方をタブーとしたか!?
そうだとしたら、むしろ制作側の方が物欲に捉われてってことになるけど!?
そして、このドラマのテーマの捉え方、間違ってないか…???

ナナコロビヤオキとしては、
これで年末は終わり、正月明けからはゼロからのスタートっとなった方が
すっきりさっぱりしてよかったよぉ!
正月明けからは心機一転ラーメンだねえって楽しみに
正月明けのドラマ再開に希望が持てたと思うんだけど。

百福さん、実際にもっと波乱万丈だったみたいですけど、
これが史実なんだから仕方が無いでしょう、実際はもっとひどかったよ
というご意見も聞きますが、
そういった内容をまんな描くかどうかの問題以前に、
ドラマ全体の構成も難ありだなあと思います。
そういった見せ方失敗している。

史実だとしても、なぜ萬平さんはそういった行動を取ったのか、
「いかにも、この人ならやるわ」
と納得できれば、見られるし、
そして視聴者を飽きさせない見せ方、構成、展開ならどうにか見られると思う。
そこが全然成立できてないんだなあ。

今回の萬平さんの辞任劇、萬平さんの心意気を描いたかもしれないけど
その心意気がキレイ事過ぎてまた、つまらなかったしな…。

年末までのくだりを不幸てんこ盛り、
年明けからはラーメン開発って明確に分けた方が、
百福さんのジェットコースターぶりに楽しくつきあえたなあと、つくづく思います。