NHK朝ドラ『半分、青い。』第119回(第20週)感想&あらすじ 鈴愛、花野に仙吉の死はカブトムシの死と同レベルと洗脳

『半分、青い。』第119回(8月17日)あらすじ

仙吉の葬儀。
葬儀の最中、花野が見当たらないと思ったら、祭壇の仙吉の布団の中で昼寝していた。花野は、仙吉じいちゃんが亡くなったことが理解できない様子。

そうかと思うと、夜は鈴愛と一緒でないと眠れない。不安定な様子を見せた。

つくし食堂2号店はほぼ完成。
開店の日が待ち遠しい。

 

そんな中、和子さんが仙吉の霊前に挨拶に、律を伴い楡野家を訪れる。

2号店の開店を仙吉が見届けられなかったのは残念だったが、残された家族としては、仙吉を失った悲しみを開店準備の忙しさで気を紛わすことができてよかったと晴は言う。
それに対し和子は、楽しみを残して逝かれるのも幸せだったのではと。自分も先が楽しみに思える何かを始めたいと話した。

 

宇太郎はこの2号店の名前を、これまで名付けがことごとくボツにされてきた仙吉に是非名付けて欲しいと思っていた。
しかし、仙吉にもはや聞くことはできない。

ところが、花野が生前仙吉から店名のアイデアを聞いていたとリーク。
皆、驚いて花野に訪ねるが、花野は「おじいちゃんと約束したから内緒」と口をつぐみ、言うのを拒否。

鈴愛が問いただしても、花野は頑なにしゃべらない。
困った鈴愛は、律に相談。
律から花野に聞き出してほしいと頼む。
 

『半分、青い。』第119回(8月17日)感想

葬儀でいきなり仙吉さんの遺体と一緒に寝る花野!
やっぱりホラーや。
いくら5歳児でも、いやもう5歳児ともなれば、普通その場の空気を察するわ。

そして鈴愛はやっぱり育児放棄のネグレクト母と断定。
葬儀の最中、花野が見当たらないことに一切気付かないし!

普通ああいった場では、幼い子の母は常に子どもの気持ちを落ち着かせるように付き添うはず。そして子どもがぐずったり、場違いなことをしないよう目を離さないようにするもの。
鈴愛は、そんな基本的な親としての責任さえも、完全に放棄してたよ。

 

コントにしたかった?
でも、花野が図々しい子どもだってイメージも既に付いちゃってるし、この花野の失態は鈴愛のネグレクトによるものなので、不愉快でしかなく。何にも面白くなかった。

不愉快どころか、もう不謹慎で笑えません。

 

ドラマ的にもあのシーン、むしろ無駄だった。
このせいで本気でコントにするつもりかと見ていて錯乱しちゃったし。
その割に何も面白くないし、そのトーンでずっと続くわけではないし…。

そして、その後畳みかけるようにして続く、
鈴愛が花野に仙吉の死を説明するシーンとその後の花野の反応は…

完全にホラーだった。

 

鈴愛、お前は仙吉じいちゃんが大好きだったんじゃないのか?
そしてお前はマンガ家だったんじゃないのか? 想像力、情緒の世界、少女マンガの世界に生きる人ではなかったのか…!?

幼い花野に分かりやすいように、カブトムシの死と重ねて説明するとしても、あまりにもぶっきらぼうで無味乾燥。思いやりの無い言い方。仙吉じいちゃんにも、花野にも、カブトムシにも愛のかけらも感じない。吐き気がしたわ。

鈴愛、自己中どころではなく、血も涙も無い人間なんだなと。
鈴愛はネグレクトどころでなく、
何か完全に壊れてる。

こんなのが母なんだから、花野は当然冷酷な人間になるわな。
母は日常の生活の世話は一切してくれず、
自分の気持ちに寄り添うことも一切してくれずに、
いきなり
「おじいちゃんは死んだ」、「カブトムシみたいに」だし。

冷酷になれ、命を大切にするなと、鈴愛、花野を積極的に洗脳中。

晴さん、形だけたしなめてたけど、事の恐ろしさが全く分かってない。
鈴愛のこと野放し。

 

そして、5歳児だけあって花野の吸収は早い。
母の洗脳をあっという間に素直に受け入れ、仙吉の死をカブトムシと同等と解釈。
泣いている健人に花野は、
「健人、仕方無いぞ、カブトムシも死ぬからな」
と冷酷にコメント。
末恐ろしい…。
そして、それを誰も咎めない大人達。鈴愛に対して忠告も無し。
不気味な楡野家。

 

その一方で、その後花野は、ママがいないと眠れない日々が続く。

…これ、まさに洗脳の恐怖のリアル再現でない?

  • 善悪の判断ができない状況下では、人は洗脳に抗えずに受け入れてしまう
  • しかし、これは自分の意志とは違う
  • 自分の本心を抑圧し自分にウソをついて受け入れている。
  • しかし、この抑圧された本心が、度々頭をもたげて来る
  • 求められる価値観と、自分の求める生き方との間に大きなギャップが。むしろ正反対
  • 自己矛盾が生じて苦しむ
  • 不眠、情緒不安定など様々な症状が
  • この矛盾を処理できないままでいると自己崩壊

そんな、洗脳を受けた人のメンタルが辿る課程そのまま。
ママがいないと眠れない花野は、精神を蝕まれ苦しむ姿そのものよ。

 

花野は幼い。そして相手は母。
呪縛から解き放たれる望みはかなり薄い。
自分の中に矛盾があると自覚しないまま、押し付けられた価値観に染まって行くパターンです。

こうやって悪魔が生まれるんだな。
花野、半分どころか、ホントにホラーだ。

以前、仙吉さんが花野に涼次に会えなくて淋しくないか訊ねたとき、花野は「地球がお家だから、悲しくない」って平然と答えてた。それ聞いて違和感あったけど…やっぱり病院に連れて行くべきだったのよ。そして鈴愛と即行引き放すべきだった。仙吉さん、感動している場合じゃなかったんだよ!

でないと、花野はどんな怪物になってしまうか…!! 手遅れかもだけど。

…あ! 鈴愛が育児しないのは、楡野家の人々は、花野と鈴愛をなるべく接触させないようにしている…!?!?

 

ただ、この葬儀のシーンで唯一感動したのは、宇太郎さん。
宇太郎さんが眼をウルウルさせて「お疲れ様でした、お父ちゃん」って言ってたところだけは、滝藤さんの表情すごーい! と感動。

この一言だけで、仙吉と宇太郎のいい関係、仲良し親子で一緒に店を守ってきたこれまでの歴史と、やっぱり宇太郎さんにとって仙吉さんは大好きなお父ちゃんだったんだなあ~って一瞬で伝わって…ウルッ! と涙が出ました。

…この宇太郎さんで感じたジーーーンがその後持続しなくて見ているこっちは、それが哀しい。

 

そして、母の洗脳を受けた花野は、本当に恐ろしい。

仙吉じいちゃんのお店の名前のアイデア、「おじいちゃんと内緒って約束したから」と、この期に及んでくったくのない、気の利かないピュアな子どもアピールで「言わない」と。

 

ウソだろ!?
何か、悪意を感じる。

これまで名付け親になったことのない仙吉のアイデアは完全に葬り去る、仙吉の存在を完全に抹消しようという、何か徹底した意志の強さを感じる。

仙吉の死=カブトムシの死と結び付けられた花野なら、やらないことはないけど。

 

そしてこんなことも口実にして、鈴愛はいちいち律にアプローチ。
子どもネタだもん。
格好の口実だわ。

律もいい迷惑だなー。
こんなサイコパスな親子、本当にいたら寒気がするわ。
律、一旦大阪帰りなよ!
帰れないなら、仕事忙しいふりしてずーっと会社にいなさい。
鈴愛と花野が寝ている時間だけ家に居るようにしなさい!

 

和子さんが、楡野家に挨拶に来たシーンだけ、今日はまともに見られました。
晴、和子、律の3人だと思いやりに溢れ、優しい空気に包まれた情緒的なシーンで素敵でした。

もう、鈴愛と花野抜きでドラマ進めてー!!!